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(2009/12/28)

ものが売れない時代の勝者・宝島社「一番誌戦略」

 長引く不況で、廃刊に追い込まれる雑誌が多いなか、宝島社発行の雑誌は近年、『sweet』をはじめ、どの雑誌も軒並み部数を伸ばしている。それだけではない。05年よりファッションブランドのオリジナル付録をつけた「ブランドムック」を発売し、「オリコン2009 年年間“本”ランキング【BOOK(総合)部門】」で8位の『Cher 09−10 AUTUMN/WINTER COLLECTION』を筆頭に、TOP50内に6冊のブランドムックがランクインしている。ファッション誌を多く擁する同社は、不況の波をものともせず、ブランドファンという“潜在的な読者”を開拓して、新たなマーケットを生み出した。

 また、そこから派生して、さらに新たな市場を形成しつつあるのが、同社が発売するブランド手帳である。秋口あたりから、さまざまなスケジュール手帳が書店店頭にも並びはじめたが、その中でも「Cher」や「x-girl」等とのコラボレーションによるオリジナルのカバーデザインはひときわ目をひく。ページデザインにも工夫を凝らしており、早くもユーザーの人気を獲得している。

■『sweet』2月号は105万部発行へ

 今のような豪華付録つき雑誌が増えたのは、01年に日本雑誌協会が定める付録の素材や厚みなどの基準が改定されたことがきっかけだ。これにより、付録の形状や材質などの細かい規定が緩和され、豪華付録が実現可能になった。宝島社では02年に男性誌『smart』(02年5月合併号)で初めて自社制作の付録をつけ、その成功が女性ファッション誌に広がり、「ブランドムック」というジャンル確立につながった経緯がある。

 しかし、単に豪華付録をつけるだけでは、一時のカンフル剤にしか成りえない。ここへきて宝島社が大きな強みを見せている背景には、07年4月に同社が打ち出した「一番誌戦略」がある。各ジャンルでの「一番誌」になるため、業界の慣例を打ち破る「柔軟な価格設定」や、「付録の充実」、「宣伝販促の強化」を柱にした施策を、全社一丸となって実行した。その結果、08年、09年と部数の大幅増(グラフ参照)。2010年1月12日発売の『sweet 2月号』の発行部数が初めて105万部となることも発表された。そして、そこから派生した新たなマーケットの開拓と、成功を手中に収めたわけだ。

グラフ

 なぜ宝島社は「一番誌戦略」を短期間で達成できたのか。上記の戦略に加え、大きな理由として挙げられるのが、創業以来の、社員の創意性・自主性を重んじる風土、そして「業界の常識」にとらわれない独自路線を断行する、同社のベンチャースピリッツである。今年、同社は、そのスピリッツで、どんな旋風を巻き起こしてくれるのか。その動向から目が離せない。

『sweet』
2010年2月号(2010年1月12日発売)より発行部数が初めて105万部となる
人気女性ファッション誌『sweet』

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