中国のこうした敵がい心は、知る人ならみんな知っている。英エコノミスト編集長でソウル・東京特派員を務めたビル・エモット氏は近作「2020世界経済のライバル」で、「中国は日本を天敵と考えている。韓国以上だ」と書いている。
豊田社長は当時、中国本部長を務めた。誰よりもそのような情緒をよく知っている。苦い記憶もある。03年に中国SUV市場に進出した時だ。新車「PRADO」(中国名・覇道)の広告が問題になった。獅子像がプラドに礼をする場面だった。中国全国が沸いた。「中国の尊厳を象徴する獅子が日本車に頭を下げて自尊心が傷ついた」と非難が相次いだ。車の名前も問題になった。中国語で覇道は「荒い」という意味だ。トヨタはすぐに謝罪したが、中国人の怒りはすぐには収まらなかった。結局、広告をすべて廃棄した。車の名前も「普拉多」に変えた。その後、トヨタは中国消費者をなだめるのにさまざまな力を注いだ。そして5年の積功の末、08年にトヨタは約60万台の車を販売し、中国市場で2位になった。
このようなトヨタだが、韓国で謝罪する計画はまだないという。逆説的だが、幸いだ。その間、トヨタは韓国消費者をカモにしていた。昨年カムリを販売するまでレクサスだけを販売し、世界のどの国よりも高く売った。消費者の苦情が激しかったが、聞こえないふりをした。高くてもよく売れるのになぜ安く売るのかという具合だった。今回のリコールも「韓国には該当車はない」という態度だった。
そのような驕慢な態度は憎いが、安心もした。驕慢な相手には勝ちやすい。最近のトヨタの危機と現代(ヒョンデ)車の反射利益が良い例だ。それだからだ。豊田社長にどうか訪韓謝罪をしてくれるなと望むのは。もしそうなれば? それは韓国自動車産業にとって災難となるかもしれない。
イ・ジョンジェ中央SUNDAY経済・産業エディター
【時視各角】トヨタ、韓国には絶対に謝罪をするな(1)