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2010年1月26日 (火)

【注目の本】ジェイク・エーデルスタイン『TOKYO VICE』

Tokyovice_6597_3そのあまりに過激な内容から日本国内での発行が断念され、昨年10月に英文で上梓されたのが元読売新聞社会部記者ジェイク・エーデルスタイン氏の『TOKYO VICE』である。

周知のように著者は、08年秋に除籍された後藤忠正組長らのアメリカでの生体肝移植手術を米紙でスクープ、一躍名を馳せた。同書は335ページの大著だが、後藤組に直接関連する部分は1割強で、残りは社会部記者時代の回想が中心だという。「月刊タイムス」2月号にその紹介記事(=写真)が掲載されている。

<小泉元首相の祖父が稲川会組員だった、衆院議員の小林興起が外人ホステス売春関連のナイト・クラブ取り締まりがらみで入管に圧力をかけた、亀井静香が五菱会関連企業から政治献金を受けていたなど一般読者には情報も豊富。日本ヤクザの半分は在日朝鮮人で、残りの相当部は同和関係と部落解放同盟が怒りそうなことも堂々と書いているし、警視庁内部に後藤組のスパイがいて、日本最大の芸能エージェンシー、バーニング・プロダクションは後藤組の企業舎弟、創価学会と後藤組の関連をほのめかしている所もあり、日本のマス・メディアの触れたがらないことも披瀝しているから、迫力もある。>

しかし、同書の圧巻は、何と言っても著者が、後藤組長らの生体肝移植をどうやってスクープしたかだ。情報源の山口組関係者との接触、後藤組からの脅迫、そして警察からの忠告など、その詳細な経緯が描かれているが、驚いたことにスクープの背後には「後藤組長追い落としの陰謀」が関連していた、と筆者は結論づけている、という。

<(08年秋に後藤組長の処分が決まった)直後、筆者によると、山口組のある首脳から電話を受けた。驚くべき上層部の一人で簡潔にこういったという。「この件では注意を促してくれてありがとう。問題を解決し満足している。君の猛烈な仕事には感謝している」

これで話が終わったわけではない。疑問が残っていた。後藤組長の肝臓移植の話を著者に初めて持ち込んできた男、つまりキュクロプス(=筆者がつけたあだ名)は当初から著者を情報操作に利用しようとしていたのではないか。「もちろんそうさ。お前が書いてくれるはずのことを書いてくれてりゃ、奴さんも2005年でおしまいだった。お前が書くとみんなに吹聴したけど、何もしなかったから俺は酷い目にあった」、「取引でどんな風に弘道会の連中を売ったのかもね。そういう記事を書いてりゃあ奴さんのキャリアもあの時、あそこで終わっていた」。>

月刊タイムス誌の紹介記事を読んだだけでも、非常に興味がつきない内容である。同書が英文のみというのは、かえすがえすも残念だ。

【追記】  筆者のジェイク・エーデルスタイン氏と思われる方が、本記事に興味深いコメントを寄せています。

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コメント

本の紹介はありがとうございます。日本語版を書いていますが、元新聞記者だから筆が立たないのです。英文の本を訳すのではなく、そもそも日本語で行われた会話を日本語に戻したりして時間がかかります。書き終えたところ、出版してくれる勇気のある出版社はあるかどうか、疑問です。
後藤元組長の引き下ろしに意図的に加担したわけではないのです。最近、僕は別の派閥に利用されたと思ってきました。自分が愚者と認めたくないが、そうだったかもしれません。自力で取った情報がほとんどだが、元々のネタ元は下心がありました。それを見破けなかった僕は未熟でした。

日本語版が出たら、ネット掲示板にきっと「ユダヤ人の陰謀」とか「アデルステインはCIAの工作員」と「ヤンキー、アメリカへ帰れ」「日本の問題をほっておけ。鼻を突っ込むな。アメリカを批判したら」など下らない書き込みが殺到します。まあ、覚悟しています。一応、言っておくが、日本に永住しています。この国が好きです。だから、あくどい物事があったら、それを無視できないでしょう。住めば都です。
理想家だから、新聞記者や調査報道のジャーナリストは社会正義を守るのが業務の一部と信じています。日本の社会でもアメリカの社会でも。

複数の人から後藤組長は真面目に修行していると聞いており、彼の面倒をみて指導している住職にも接触してきました。彼の過去はともあれ、(仏教徒として)改心している努力に尊敬の意を払わなくちゃならないのです。東南アジアで本当に善行を積んでいるもようです。不思議な世の中。

投稿: jakeadelstein | 2010年1月27日 (水) 17:28

小泉元首相の祖父が稲川会の組員だったというのは、
もしかしたら小泉元首相の選挙対策本部長を30年勤め、神奈川県議会議長までやった
竹内明氏の勘違いではないでしょうか?(FRIDAY記者の岩崎大輔著『ダークサイド・オブ小泉純一郎』(洋泉社)には竹内氏のインタビューが収められています)

祖父の又次郎氏は全身に入れ墨を入れた政治家でしたが、稲川会の組員だったとは聞いたことがないのですが。

投稿: | 2010年1月30日 (土) 20:52

祖父の又次郎は稲川会系組員でした。間違いないと思います。だから「入れ墨大臣」と呼ばれていました。浜田元代議士も稲川会でした。

投稿: jakaeadelstein | 2010年2月 5日 (金) 01:15

稲川会が出来たとき小泉の祖父はすでに80近い老人ですね。
組員であるはずがないでしょう。
入れ墨は港湾鳶の親方として明治時代は当たり前にいれていたわけです。
入れ墨を入れていたからヤクザだというロジックは馬鹿のロジックか、ためにするデマゴーグですね。
竹内明は博徒でした。田岡三代目の時代ですから今の暴力団と偉い違いだ。
浜田幸一が稲川会組員というのは周知の事実だが小泉の祖父と何の関係があるのですか。小泉の祖父は明治の人なんだよじぃくさんと言うお方。
誹謗中傷はいけないですね。
正義かポジショントークか、はいどっち。

投稿: あんたの本名は何 | 2010年2月27日 (土) 11:23

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