ネット流出これでなくなる!?交換ソフト利用者に“警告”

2010.03.03

 これまでさまざまな“流出事件”の舞台となったファイル交換ソフトが岐路に差しかかっている。著作権者に無断で流通している動画や音楽、ゲーム、各種ソフトをネット上にアップしているユーザーに対し、刑事罰や民事訴訟を警告する文書が、著作権団体から送りつけられるようになったのだ。

 今月から始まったファイル交換ソフトユーザーへの対抗措置は以下のような仕組みだ。

 映画や音楽などの著作権団体やインターネットの接続業者(プロバイダー)などでつくる「ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会」(CCIF、桑子博行会長)が、ファイル交換ソフト上に流通する違法ファイルをチェック。発見次第、ファイルの流通元のIPアドレス(=コンピュータや通信機器ごとに割り振られた識別番号)からプロバイダーを特定。プロバイダーが、警告文をユーザーに代理送付する。

 協議会が直接、ユーザー個人の情報を把握することはない。ファイル交換ソフト内の情報のやり取りも、すべてのユーザーに公開されているため、今回のスキームで個人情報が暴露されたり、通信内容が傍受されるといった問題は発生しないが、これは事実上、ファイル交換ソフトの利用制限につながるのだという。ヘビーユーザーは、こう解説する。

 「ファイル交換ソフト上に違法ファイルをアップロードすることは犯罪ですが、違法ファイルと知らずにダウンロードする行為は罪に問われません。しかし、主なファイル交換ソフトは、ダウンロードした時点でアップロード状態、つまり他のユーザーもダウンロード可能な状態になります。違法ファイルをダウンロードすることは、知らぬ間にアップロード・ユーザーになるということです。そのため、一度警告を受ければ、以後は『違法ファイルとは知らなかった』という言い訳は通用しなくなるのです」

 したがって、今回のスキームが厳格に運用されれば、多くのユーザーがファイル交換ソフトの利用を中止するとみられる。

 ファイル交換ソフトをめぐっては、著作権法違反容疑で大阪地検に起訴された「Winny(ウィニー)」開発者の元東大助手に対し、大阪高裁が昨年10月、逆転無罪判決を言い渡したばかり。これを受け、ソフトウエア開発会社などで作る社団法人「コンピュータソフトウェア著作権協会」(ACCS)は、「著作権侵害行為が蔓延することは火を見るより明らか」と遺憾の意を示していた。

 そんな中で実現した今回の措置に、CCIFの事務局も務めるACCSは「著作権侵害に対する相当の抑止効果を期待している」(広報担当)と話している。

(ファイル 共有 ソフト ウィニー)