【社会】学費滞納で卒業式出さず 愛知高、女子生徒1人2010年3月2日 16時00分 名古屋市千種区の私立愛知高校が2日に行った卒業式で、女子生徒1人を学費滞納を理由に出席させなかったことが分かった。同校によると、保護者の経済的な理由で学費を滞納していた。 学校の説明では、最終期限の2月25日までに納付が完了しなかったため、内規に従って卒業を保留とし、卒業証書を渡さなかったという。内規では、卒業の条件の一つとして学費納付を求めている。この日、女子生徒は自宅で待機した。 同校の学費は月額約3万6千円。女子生徒は3年生になってから滞納が目立つようになった。同校はこれまで何度か保護者に納付を督促するとともに、国の貸付金制度を紹介するなどの対応を取ってきた。 女子生徒は必要な単位を取得し、進学する大学も決まっている。保護者には、卒業式に出席できないことを伝えてあった。3月末までに納付すれば卒業でき、校長室で卒業証書を手渡すという。 同校は「結果的に、生徒が卒業式に出席できなくなり、かわいそうなことをした。保護者には説明しており、ご理解いただいていると思っている」と説明している。 この日、愛知高校では約500人が卒業した。 ◆不況、生徒にしわ寄せ 卒業に必要な単位を取得しながらも学費未納を理由に生徒を卒業式に出席させないなどのケースは昨年、全国各地で判明した。 山口県では私立7高校が卒業生計13人に証書を渡さなかったり、渡してもその後に回収したりしていた。山梨、佐賀、福井各県でも同じ事例があった。愛知県では県立4校で未納の生徒に渡さなかった。 不況の影響で学費の滞納は増加傾向。教育関係者によると、学校側が「学費を納めないと、成績にも影響する」と生徒に日常的に“圧力”をかける場合もあるという。 収入の少ない家庭の生徒のため授業料減免制度があるが、家族関係が崩壊している家庭では、申請に必要な所得証明書を保護者が用意できず、手続きができないケースもある。また、ポケットマネーで学費を肩代わりする教師も少なくないという。 (中日新聞)
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