飲酒運転とアルコール依存症の関連を調べていた福岡県警は、「飲酒運転で摘発した人の25%にアルコール依存症の傾向がある」との調査結果を発表した。県警は結果を踏まえ、取り締まりと並行し、摘発した運転手の専門医療機関の紹介にも乗り出す。
県警は昨年10月〜今年2月、飲酒運転で摘発した運転手を対象に、世界保健機関(WHO)が作った「AUDIT(オーディット)」と呼ばれる飲酒状況についてのアンケートを使った調査を実施。普段の飲酒習慣から、(1)依存症疑い(2)危険(3)危険が少ない――の3段階で判定した。
飲酒運転で摘発された373人のうち25%が「依存症疑い」、39%が「危険」と判定された。同時期に一般ドライバー375人を対象に調べたところ、「依存症疑い」は6%、「危険」が22%で、飲酒運転で摘発された運転手よりもそれぞれ比率が低かった。
交通企画課の福原隆統括管理官は「飲酒運転と依存症には関係があることがわかった。飲酒運転をさらに減らすためには依存症対策にも手を広げる必要がある」と指摘。今後は飲酒運転で摘発した運転手に対して、県内のアルコール依存症相談窓口や専門医療機関を紹介するなどの施策を講じる方針だ。
飲酒運転を巡っては、2006年夏に福岡市で3児が命を落とす事故が起きて以降、市民レベルでの撲滅運動が活発化し、道交法改正で罰則も強化された。近年は飲酒運転による人身事故が減少傾向にあったが、福岡県では09年は296件と、前年より12件増えたという。