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【プロ野球】筒香 マー君とやりたかった 横浜−楽天戦 津波警報で中止2010年3月1日 紙面から
前代未聞の出来事だ。28日に予定されていた横浜−楽天戦(宜野湾)は、沖縄県に発令された津波警報のため、試合開始25分前の午後0時35分に中止が決まった。プロ野球が津波の影響で中止になるのは公式戦ではこれまで例がない。球団関係者は、約7500人のファンに避難するよう呼び掛けるなど、対応に追われた。 日本の裏側の南米チリで起こった大地震の余波が直撃した。「多くのファンが楽しみにしていると思いますが、中止せざるを得ません」。伊波洋一宜野湾市長と佐藤貞二球団常務がファンに説明すると、ほぼ満員だったスタンドから大きなため息が漏れた。 午前9時33分に気象庁が沖縄県に津波警報を発令したのを受け、宜野湾市が防災対策本部を設置。午前11時20分に同市内の沿岸部での興行の中止を勧告した。横浜と楽天の両球団が協議し、午後0時35分に中止を決めた。午前11時15分に開門しており、すでに約7500人が来場していた。沖縄市から訪れた会社員宮里玲子さん(20)は「仕方がないけど残念。試合の途中まででも見たかったんですけど」と残念がった。 球団関係者は「相手がマー君だし、チケットもよく売れていた。損害は1000万円近くいくでしょう」と肩を落とした。笹川博史取締役が「津波で中止は野球界で初めてじゃないか」と首をひねる珍事。気象庁は午後3時に2メートルの津波を予報していたが、幸い大きな被害は夕方までにはなし。横浜はこの日から内川、村田らの主力もスタメン出場する予定だったが、結局対外試合未勝利のまま沖縄を去ることになってしまった。 (臼杵秀之) 沖縄で最後の実戦ができなくなり、横浜の選手たちからは一様に落胆の声が上がった。楽天・田中との初対決がお預けとなった筒香は「こればっかりはしょうがないですよね。次の機会を楽しみにします」と残念そうな顔を見せた。 もっともショックが大きかったのは先発予定だった藤江。23日の日本ハムとの練習試合では2イニングで12安打9失点。この日は雪辱を期していただけに「今日に賭けていた。調子も良くなっていたし、相手もマー君で不足はなかった。天気いいのになんなんすか津波…」とやりきれない表情。尾花監督も「いい調整で来ていたから見たかったね」と話した。 横浜は練習試合も含めて3連敗で沖縄での日程を終了。藤江は、この日2番手で登板予定だった小杉とともに3月2日の2軍の楽天戦(大田スタジアム)で投げることになった。 (臼杵秀之)
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