「東京マラソン2010」が28日、都内で開催され、お笑いタレントの猫ひろし(32)、タレント・上原美優(22)の有名人ら約3万2000人のランナーが参加した。所属事務所から「完走しなければコンビ解散」という指令を突き付けられていたお笑いコンビ・髭男爵のひぐち君(36)は、6時間52分06秒で制限時間ぎりぎりで見事完走。ゴールで迎えた相方の山田ルイ53世(34)に、コンビ愛を体全体で示し、大粒の涙を流した。
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冷たい風が吹き抜ける有明の空の下、ゴールを見つめるひぐち君のメガネは、汗と涙で真っ白に曇っていた。「ひぐち君〜!」と大声で呼ぶ相方の声を頼りに、制限時間の7時間をギリギリでゴールすると、涙の粒はさらに大きくなった。
1カ月前に行われた出場会見で、事務所から「完走しなければコンビ解散」の指令を突き付けられた。走るだけでも厳しいのにさらに襲った大きなプレッシャー。黙々と週2回、練習に励んだ。
しかし、現実は厳しかった。スタート時の気温は5度。冷たい雨が降りしきる最悪の条件に、体力は奪われていった。あまりのつらさにトレードマークのカツラを外した。観衆から「ひぐちカッターのニセモノだ」と言われた。ついには足が動かなくなってもつれ、立ち止まる。テレビで見守っていた山田も「無理やなと思った」という。だが、救護スタッフにも「やめますか?」と声をかけられたが拒否。「解散したくなかった。とにかくゴールしないと」と歩みを前へ進めた。
コンビへの執念が生んだ、奇跡的な「ギリギリセーフ」。残りは8分を切っていた。ゴール手前に山田の顔が見えた瞬間、涙があふれ出した。テープを切って山田に肩を抱かれ、絞り出した言葉は「解散しなくてよカッター!」。これには山田も「初めて『ありがとう』って言います。これからもよろしく!」と感激。美しいコンビ愛に周囲も“ルネッサ〜ンス”!と祝福していた。