【栃木】『逃げ得』許さない 那珂川の死亡ひき逃げ事件 ウィドマーク法で酒量推定2010年3月1日
那珂川町で死亡ひき逃げ事件を起こした男が、自動車運転過失致死と道交法違反(ひき逃げ)容疑で逮捕されてから約一カ月後に、酒気帯び運転容疑でも追送検された。決め手となったのは、酒が抜けた後でも当時のアルコール濃度を推定できる「ウィドマーク法」。事故を起こした後に飲酒発覚を恐れて逃げるケースが後を絶たない。ウィドマーク法は防御網となりえるのか。 (宇田薫) 追送検されたのは、那珂川町小川、旧小川町の元総務課長、守谷次男被告(67)=自動車運転過失致死などの罪で起訴。一月十八日夕、国道293号を自転車で横断中の女性を軽トラックではねて死亡させ、翌十九日に那珂川署に逮捕された。 その後の調べで、守谷被告は事件直前に近くの食堂で飲酒していたことが判明。ウィドマーク法で計算したところ、事件当時の呼気一リットル中のアルコール濃度は、基準(〇・一五ミリグラム以上)を超える〇・二一〜〇・八〇ミリグラムだったことが明らかになった。 ウィドマーク法は、欧州の法医学者ウィドマークが考案。飲酒量や体重、飲酒後の経過時間などを数式に当てはめてアルコール濃度を割り出す。理屈上は、飲酒してから何日たとうと摘発可能な魔法のような計算式だが、最大の障壁はデータ収集の難しさだ。 守谷被告の場合、「焼酎のお茶割り五杯を飲んだ」との供述が店側の証言と一致したため立件できたが、逮捕後に飲酒運転が分かった県内の別のひき逃げ事件では、データが十分でなく立件を見送っている。 県警交通指導課の五月女信夫次長は「逮捕までの時間が空くほど関係者の記憶はあいまいになり、証拠を集めるのが難しい」と打ち明ける。 全国で起きたひき逃げ事件で、以前は逃走理由の三割を占めた「飲酒」は昨年は一割程度にとどまり、罰則強化や積極的な取り締まりが功を奏したかに見える。だが、今回のような悪質な行為がなくならないのも事実。同署の君島正昭署長は「被害者をないがしろにする『逃げ得、飲ませ得』は決して許されない。ドライバーは肝に銘じてほしい」と訴えた。
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