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過労死企業の開示を求める情報公訴訟の「実質的な弁護団長」、松丸正弁護士(堺法律事務所)。 質問者:渡邉正裕(『MyNewsJapan』編集長)
回答者:佐藤裕一(回答する記者団)
過労死企業の公表を求める訴訟、原告の話を聞きたい原告代理人の弁護士に話を聞きました
「実質的な弁護団長」である松丸正弁護士に話を聞いた。パナソニックの36協定が過労死ラインを超えていることや、居酒屋チェーン「日本海庄や」が正社員を最低賃金で働かせていることも話題に上った。松丸弁護士は、「過労死は労使合意から生まれる」と確信している。
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佐藤裕一
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渡邉正裕さん(『MyNewsJapan』編集長)からの依頼。 この人、エラいよ!同じこと考えてる人いるんだなぁ。取材して記事にしてください。 <過労死>企業名公表求め提訴 夫自殺の女性、大阪地裁に(2009/11/19 17:07) |
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佐藤裕一
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寺西さんは昨年11月、長妻厚生労働大臣に対し、過労死・過労自殺のあった企業名を公表するよう文書で要請するとともに、企業名の開示を求める情報公開請求訴訟を大阪地裁に提訴した。その裁判の「実質的な弁護団長」(訴訟関係者)である松丸正弁護士(堺法律事務所)に、約1時間、訴訟の意義を聞いた。 松丸弁護士は1980年代から労働問題の裁判を続けてきた。過労死・過労自殺を中心とした労災認定、企業賠償責任について、被災者側の立場で事件に取り組んでいる。過労死弁護団全国連絡会議代表幹事。1946年生まれ。 *過労死110番全国ネットワーク(電03-3813-6999)では過労死・過労自殺に関する相談を受け付けています。 (2010/02/24 05:38) |
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佐藤裕一
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厚労省は大企業の過労死を把握すべき──まず、今回の訴訟の経緯と争点を教えてください。 大阪では労働問題に昔から取り組んでいて、最初に36協定をやりました。36協定の現状がどうなっているか開示請求したら出てこなかったので裁判をして勝ったことで、今では情報公開されるようになりました。日本経団連の会長と副会長の出身企業の16社の本社のうち13社の36協定に、過労死ラインを超えた残業時間を定めた特別条項というものがあった。特別な場合があったときは残業が月80時間や90時間、120時間を超える協定があることがわかってきた。大阪ではそういう成果を上げています。 今回は過労死です。多くの過労死事件はご遺族が声を上げないままひっそりと解決されている。企業は社会的な非難を浴びず、金で解決して、職場は全然かわっていない。本来だったら労働組合や職場の中で、労使間の交渉の中で、健全な労働時間が作られていくべきなのでしょうけれど、残念ながら労使合意から生まれてくる36協定がむしろ過労死ラインを超えている。ということになってくると、もっと社会的な批判の中で過労死の企業についての公表制度が必要なのではないかということで始めました。 今回の裁判の争点は個人情報の問題です。企業名を開示することが個人の識別や個人の利益を害する情報あたるか当たらないか、仮に当たったとしても公表するだけの公益性があるかどうか、その2つが争点だと思います。 【画像】大阪労働局が開示した処理経過簿。「事業場名」のほか「生死」「職種」もスミ塗りされている。松丸弁護士提供。 (2010/02/24 05:40) この回答には会員向けに、上記内容の根拠や補足、続き、表・資料などがあります。 |
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佐藤裕一
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パナソニック、過労死ラインを超える36協定を締結していたたとえば松下電器を見ても、あそこには過労死があるんですね。過労死ラインを超える36協定があって、その改善について2009年6月に申し入れに行ったのですね。会社と労働組合に。会いもしませんからね。門の前のところで受け取るだけです。ですから、過労死は労使合意から生まれてくると確信を持って言えます。36協定は労使合意です。ではなぜ過労死ラインを超えるような36協定が生まれてしまうのか。職場の中でいろいろやらざるを得ないという状況もあって、それを労働組合が唯々としてしまうわけだね。過労死問題というのは職場の中だけの論理というか合意というか、なかなか解決のめどが見いだせないな、という感じがします。 【画像】パナソニック(株)生産革新本部の平成21年3月24日付け36協定。「労使間協議により100時間を限度」とある。松丸弁護士提供。 (2010/02/24 05:40) この回答には会員向けに、上記内容の根拠や補足、続き、表・資料などがあります。 |
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佐藤裕一
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過労死企業が公表される「不幸せな社会」──そういうことができるようになった社会は幸せな社会なのかなと思いますが、どうでしょうか。 不幸せだからそういうふうになっちゃうんですよ。本来だったら職場の労働条件は職場のなかで解決されるのは当たり前なんですよ。労使合意というのは本来なら歯止めになるはずなんです。それがないというのは一番不幸せな社会ですよ。 だからそういう歯止めがちゃんとできていなければ、社会的な制裁が与えられるとしてもまた別のところで矛盾が出てくると思います。職場の中の論理と外の論理が食い違っている。下手すると「公表されたってうちのところは労働条件ありまへんで」と労使一緒になって反論するというのもあり得ると思うんです。改善するという方向ではなく開き直ってしまうこともあり得ると思います。いまの企業の状況を見ていたらね。 「うちは人間尊重でやっているし、そんなこと起こるはずがない」と。仮に過労死が生じたとしてもそれについては特殊な問題にすぎない、本人の問題だと。過労死問題とか過労自殺の問題は裁判になると必ず企業側のそういういい分が出てきますからね。だから決して、行政が積極的に企業のマイナス情報を公表してそれによって歯止めをかけていくというのは幸せな社会とは思えません。逆にそれだけ不幸せな社会というか、歯止めが社会内部にないというときにそういう問題が起きてくるのだろうね。 (2010/02/24 05:40) |
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佐藤裕一
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過労死・過労自殺は認定数の10〜15倍ある──97年から07年までの11年間で、過労死・過労自殺をあわせて1500件ほどの認定があります。少ない印象を受けるのですが、どうでしょうか。 氷山の一角ですよ、僕らの見ている限り。労災を申請されない方は多いです。感覚的には10倍から15倍くらい過労死の問題はあるかと思います。 労災認定は、監督署でダメで、労災保険審査官に審査請求やってもダメで、それから東京の労働保険審査会に持っていってもダメと3連敗やって、4回目の戦いが裁判、行政訴訟なんです。そこでもダメだったら高等裁判所で5回目、6回目は最高裁。そこまで行ける。行政段階でダメになったけれども、あきらめずに裁判までやると半分くらい勝っています。知られていませんが、国が認めています。国は「由々しきこと」と言ってます。それだけ負けているから。 【画像】厚労省が都道府県労働局に宛てた事務連絡「当面の訴訟追行に当たって留意すべき事項について」。「国側に厳しい判決内容が少なくない」と懸念を伝えている。松丸弁護士提供。 (2010/02/24 05:40) この回答には会員向けに、上記内容の根拠や補足、続き、表・資料などがあります。 |
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佐藤裕一
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──今後、労働の仕方が相当きつくなるだろうし、きつくなっていると見聞きします。スーパーに勤める新卒の知り合いが「残業代が出なくなった」と言っていました。 いま、とくに新入社員の労働条件が完全に崩れてるね。正社員も最低賃金の賃金体系になっているし、パート・アルバイトも過労死するよう長時間労働がある。スーパー玉出(たまで)の過労死事件(1)なんてそうですからね、アルバイトが過労死しているケースですから。 「日本海庄や」などの居酒屋チェーンをもつ株式会社大庄の事件は、京都で私が裁判をやっています。新入社員が入社4カ月後に心臓発作で亡くなった事件です。就職情報、マイナビとかあれを見ると初任給19万円、18万8000いくらとかになっていた(2)。基本給がそうだと思いますよね。 (2010/02/24 05:41) この回答には会員向けに、上記内容の根拠や補足、続き、表・資料などがあります。 |
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佐藤裕一
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過労死・過労自殺に「安全地帯ない」──裁判になっているから知ることができますが、同じようなことをしている企業は結構多いのでしょうか。 外食系はちゃんと労働時間を把握したらみんな過労死ラインを超えていると思います。大庄の場合はとくにけしからんというわけではなくて、実態はみんな同じなんだと思います。 それから、世の中で「名ばかり管理職」「名ばかり店長」と注目されたけれども、一番大きな問題は「名ばかり課長」ですよ。課長なんてのは管理監督者として労働時間の規制から外される立場ではないですから。国が4〜5年前にホワイトカラーエグゼプションを言いましたよね、あの問題が起きたときに、課長職は果たして管理監督者に該当するかどうかの全国的な実態調査と専門家の意見を交えてまとめたんです。課長は管理監督者ではないと、実態は管理監督者扱いしているのはおかしいと。そんな報告をまとめています(3)。 (2010/02/24 05:41) この回答には会員向けに、上記内容の根拠や補足、続き、表・資料などがあります。 |
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