すべての市町村長が普天間飛行場の県内移設を拒否し、国外・県外への移設を求めた。琉球新報社が県内41市町村長を対象に行った緊急アンケートの結果だ。
外交、防衛が国の専権事項だとしても、全首長が反対する外交政策の強行は、民主主義国家では許されない。住民と身近に接する市町村長が「県内移設拒否」で足並みをそろえた意味を、日米両政府は重く受け止めるべきだ。
国外・県外移設の理由として、回答の多くが超党派で初めて県外・国外移設を求めた県議会意見書や、過重な基地負担の軽減を求める県民総意や願いを挙げている。
名護市辺野古への移設現計画に反対の候補者が全員当選した昨年の衆院選挙や県内移設反対の新市長が誕生した名護市長選挙の結果を含め、民意はより鮮明となった。
鳩山政権や与党は県内移設に依然こだわっているが、沖縄のマグマが噴出する前に米国に物言わぬ思考停止状態を脱すべきだろう。
日米は軍事独裁国家ではない。民主主義と人権の尊重、法の支配という価値観を共有する。沖縄県民もその恩恵を享受する権利がある。これは地域エゴではない。
戦後長く、米軍絡みの事件・事故、基地騒音、米兵犯罪などによって、県民の命と暮らし、人権が脅かされてきた。沖縄の歩みを踏まえれば、基地過重負担の現実は劇的な改善が図られるべきだ。
第2次大戦終結に続く占領、日米安保条約に基づく基地提供で戦後65年にわたり、外国の軍隊がこの国に駐留し続けている。
異常な外国軍隊の駐留を今後も長期に続けるのか。中台問題や朝鮮半島の緊張など東アジアの冷戦に終止符を打ち、自ら提唱した「東アジア共同体」を実現するのか。鳩山由紀夫首相には、構想力と決断力が問われている。
県民は基地のない平和で豊かな沖縄を望んでいる。軍事基地を平和産業基地に転換し、経済自立を遂げることは険しき道だ。しかし、あきらめない。目標の妨げとなる新たな基地の建設は認めない。これが大半の県民の思いだろう。
県内移設への執着は、県民の反基地感情を悪化させ、良好な日米関係の構築にはつながらない。
潮時だ。日米は米軍再編合意を見直し、国外・県外移設、撤去を追求すべきだ。県民の敵意にさらされる日米関係は誰も望まない。
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