tsunami. Also (repr. a strict transliteration of the Jap. form) tunami.
[a. Jap. tsunami, tunami, f. tsu harbour + nami waves.]
A brief series of long, high undulations on the surface of the sea caused by an earthquake or similar underwater disturbance. These travel at great speed and often with sufficient force to inundate the land; freq. misnamed a tidal wave (see tidal a. 1 b). Also fig. and attrib.
tsunami, もしくは（日本語語形の厳密な字訳を表して）tunami. ［日本語のツナミから。ツは港、ナミは波］
地震もしくはそれに類する海底の地殻変動によって生じた、短時間のうちに打ち寄せる、一連の長く高い海面のうねり。これらは猛スピードで、またしばしば陸地を覆い尽くすのに十分な力を備えて、伝わる。しばしばtidal wave（高潮）と誤って呼ばれる（tidal, a. 1bの語義を見よ）。また、比喩的にも、限定語句としても用いる。
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昨年末インドネシアを中心とする広い範囲で津波が起こり、膨大な数の人々が亡くなった。自然災害というのは、どこに責任を問うても空しい分だけ、まことに痛ましい。
以来、世界中の報道で繰り返されたのが、「ツナミ」という日本語起源の単語であった。地震や津波といった自然災害に関しては、日本は古くから付き合ってきた分、研究も進んでおり、学術用語として定着したらしい。英語にもtidal waveという表現はあるのだが、上にもあるとおり、この表現は誤った概念を伝えかねない。同じ辞書でtidalの該当箇所を引いてみると、tidal waveへの但し書きとして「ツナミのことをこう表現することがあるが、ツナミは『潮 tide』とは無関係である」と書いてある。「海底地震に起因する大波」という概念を表す語として、「ツナミ」が定着しているわけである。
オックスフォード英語辞典は、とりわけ十年以上昔に英文学を学んだことのある者には、懐かしい辞書だろう。英詩の講読などの予習をするために、図書館で20巻に及ぶ同辞典を何度も引っ張り出したり戻したりしたものだ。かつての大学英文学科には、この辞書（通称OED）を上手に使いこなせるようになって初めて一人前、という暗黙の了解があった。上の語義にも出てくる"tidal, a. 1b"のような語義の指定の仕方もまた、懐かしい。たとえば、学生が担当箇所を音読したり訳をつけたりした後で、「ここで用いられているhecticは、OEDでは2番のfigurativeな用法のうち、bの"With reference to the hectic flush"というもので、まさにこの箇所が用例に採られています」などと、得意げに開陳するわけである。逆に、語義の選び方を間違えたりすると、先輩やら先生やらに（表面上はやんわりと）罵倒された。現在では、OEDもCD-ROM化され、巻を書棚から抜き出し、ページをめくる手間からは解放されたが、語義選びの難しさは相変わらずである。
tsunamiのように、OEDに採録されている日本語起源の単語は、案外ある。tsunamiの近くにも、ツバ（刀の）、ツボ（面積単位）、ツケモノ、ツクリ（柔道用語らしい）、ツツガムシ、ツツム（日本独自の包装芸だとか）といった語が目に付く。これらの語の語源、語義などを校閲したのが小池�だ萓犬世辰拭�先生は、昨年10月13日、78歳で天寿を全うされた。御供養にもなりはしないが、「ツナミ」の項を改めて引いてみると、用例の大半は、当然のことながら、科学論文か報道記事なのだが、初例はラフカディオ・ハーン、終例はウィリアム・ゴールディングと、文学作品からの用例が選ばれているのに気づいて、思わず粛然とした。
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