第81回選抜高等学校野球大会

 

早稲田実

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第81回センバツ:早実、投打かみ合い8強 攻撃で上級生奮起 /東京

 ◇2年生投手、必勝リレー

ベスト8に進出し、大喜びで応援団にあいさつに向かう早稲田実ナイン=小松雄介撮影
ベスト8に進出し、大喜びで応援団にあいさつに向かう早稲田実ナイン=小松雄介撮影

 第81回選抜高校野球大会第8日の29日、早稲田実は9-2で富山商(富山)を降し、3年ぶりのベスト8進出を果たした。三回までに5点を奪って試合を優位に進めると、六、八回にも追加点を挙げて勝負を決めた。投手陣は1回戦と同じく2年生投手の継投で、長打を許さず2失点に抑えた。大会第10日の31日、第2試合(午後1時半)で、46年ぶりのベスト4進出をかけて21世紀枠の利府(宮城)と対戦する。【内橋寿明、中里顕】

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 ▽2回戦

富山商

  000100010=2

  13100301×=9

早稲田実

 生徒たちが肩を組んで体を左右に揺らす。エンジ色の校旗が風にはためく。三塁側応援スタンドにはチャンスや得点した時にだけ流れる応援歌「紺碧(こんぺき)の空」が一回から繰り返し流れた。三回までに計5得点。力強い歌声は、春の青空に吸い込まれていった。

 演奏する吹奏楽部員たちは楽器を左右に振って盛り上がる。部長の品田玲奈さん(2年)は「甲子園に来られただけで最高の気持ち。野球部に感謝しています」と声を弾ませ、懸命にホルンを吹いた。

 スタンドの歓喜のうねりはグラウンドの選手にも勇気を与えた。六回には、土屋遼太捕手(2年)の左中間への適時打などで追加点を奪った。1回戦から大太鼓をたたき続ける早稲田大2年の倉内悠さん(19)は「頼もしい選手たちです。これなら今日も勝てる」と腕に力を込めた。

 一回戦で後輩の2年生に活躍を譲った3年生が奮起した。二回、大矢崇弘左翼手(3年)が甲子園初安打となる適時打で貴重な追加点をたたき出した。変化球を器用に流し打ち、一塁ベース上で「ふう」と一息ついた。「やっと1本出ました」と本音がチラリ。スタンドの父真弘さん(52)も「ほっとしました」と胸をなでおろしていた。

 大野大樹遊撃手(3年)、中野弘也主将(3年)も2人で計5安打。このうち2本が長打だ。試合後、大野遊撃手は「2年生のお手本となる打撃ができた」。中野主将は「3年生が活躍してムードが良くなった。次も打って後輩の投手2人を助けたい」と笑顔で汗をぬぐった。

 1回戦に続き、スタンドではベンチ入りできなかった野球部員たちがひときわ大きな声援を送った。ゲームセットの瞬間、メガホンを打ち鳴らして喜びを表した村山光さん(3年)は「胸が熱くなりました。メンバー一人一人が頑張った成果です」と勝利の味をかみしめていた。

 ◇打線は力出せた--和泉実・早稲田実監督

 相手の先発投手は予想外だったが、立ち上がりに点を取ったことで動揺を誘えた。打線は力を出せた。つながりも出始めている。甲子園で3試合目も戦えることがうれしい。

 ◇打線、次につながる--中野弘也・早稲田実主将

 途中から出てきた相手のエースを早い回でとらえられた。自分も1回戦ではヒットがなかったので1本出てほっとした。打線がしっかり振れたことは、次の試合につながると思う。

 ◇こんなに打つとは

三塁側アルプス席では、3年前の夏の甲子園で優勝に輝いたOB4人が観戦。「この調子で突っ走れ」とエールを送った
三塁側アルプス席では、3年前の夏の甲子園で優勝に輝いたOB4人が観戦。「この調子で突っ走れ」とエールを送った

 ○…三塁側アルプス席では、3年前の夏の甲子園で優勝に輝いたOB4人が観戦。「この調子で突っ走れ」とエールを送った。4人は、チームが宿舎入りしてから打撃投手や球拾いなど練習の手伝いをしている。当時、主軸の一塁手として活躍した檜垣皓次朗さん(20)は試合開始前まで「選手たちが長い宿舎生活で疲れているかも」と心配していた。だが、先制点が入ると「こんなに打つとは予想外。波に乗ったらあいつらは本当に強い」と話し、応援歌を歌っていた。

 ◇「先輩の存在感」示し笑顔--森厚太一塁手(3年)

 一回の初打席。打順を告げるアナウンスを聞きながら、屈伸運動をして大きく深呼吸した。1死二、三塁のチャンス。甲子園の雰囲気にのまれないよう、ゆったりと打席に入った。狙っていた初球を鋭く振り抜き、左翼への大飛球。犠牲フライで貴重な先制点を生み出した。

 上級生の意地を見せたかった。天理(奈良)との1回戦では、投打ともに後輩の2年生が活躍したからだ。自身は一回のチャンスで併殺打に終わってしまった。九回には安打で出塁し、サヨナラ打で生還したものの、不満の残る試合だった。

 「今日はオレたちが打とうぜ」。2回戦の朝、宿舎で相部屋の大矢崇弘左翼手(3年)とこんな会話を交わした。身長187センチ、体重97キロの大型スラッガーで、打席では圧倒的な存在感がある。続けて4番で打たせてくれた監督の期待にも応えたかった。

 ノーヒットでも3四球を選んで得点につなげた。「先輩の存在感を出せました」と笑顔。準々決勝でもチャンスで打順が巡ってくるはずだ。「強い気持ちを忘れずに打ちたい」と高らかに宣言した。

〔都内版〕

毎日新聞 2009年3月30日 地方版

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