jognote 楽しく走ってステップアップ講座
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著者紹介
鍋倉賢治
1963年生まれ。1991年 筑波大学大学院博士課程体育科学研究科修了・教育学博士。
現在、筑波大学大学院人間総合科学研究科(体育センター)・准教授 ランニング学会常務理事を務める。専門は健康体力学、マラソン学。
モットーは「楽しく追い込む」。マラソンベスト記録は2時間29分09秒。
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今回はマラソンで4時間ぎりのトレーニングについて考えてみましょう。
3時間台で走ることは、多くのランナーの目標となり、サブ4は「マラソンランナーの証」とも言えます。
徐々に強度を増していくポイント練習など、基本的なトレーニングの考え方や期分けの概念はサブ5と同様です。
サブ4を達成するためには、平均5分40秒/kmで走りきる必要があります(トータル:3時間59分)。
ここでは、少し余裕を持たせた5分30秒/km(3時間52分)を目標ペースにして話を進めます。(目標が5分20秒の方、あるいは5分50秒の方などは、それに合わせてタイムを微調整してください)
ポイント練習として、LSD、距離走、ペース走が主役となります。
LSDや距離走の目的は、脚筋持久力や脂質代謝など、マラソンの基礎体力の養成であり、ペースよりも距離に主眼をおき、レースより遅いペース(6分/km以上)で15~25kmを走ります。
一方ペース走は、レースペースの基礎となるLTの向上、ペース感覚の養成などが主目的となり、距離は短くても設定したペースで走ることを重視し、10~20km程度を距離のわかるコースで行ないましょう。
ペースは、必ずしも5分30秒にこだわる必要はなく、その日走る距離、体調、トレーニングの進行状況に応じて設定します。
最後まで一定ペースでもよいし、後半ややペースアップするビルドアップ走でもよいでしょう。
フルマラソンだけを目標とする場合、スピード練習は必要ないかもしれません。しかし、サブ4レベルの人なら、LTを引き上げるためにも、フルよりも短いレースのためにも、スピード練習を導入する価値はあります。一段ステップアップすることができ、世界が広がることでしょう。
ここで言うスピード練習とは、フルの目標ペース以上で走ることを指しますが、競技者のような、乳酸をバンバン溜めるほど激しいインターバル走ではありません。あくまでもフルを目標にしたスピード練習です。
ビルドアップ走の要領で、短めの距離(10km前後)の最後の2~3kmを5分30秒より速いペースで走れば、立派なスピード練習となります。
以前のコラムで紹介した1km走を繰り返すインターバル走なら、5分15秒程度で行なえれば、LTを引き上げる効果的なスピード練習になります。(参考:コラム第18回 スピード練習②はじめてのインターバル走)
週3~4回のトレーニングを基本に、具体的なスケジュールは表のようになります(週末が休日の場合)。
レースの3~2ヶ月前を走り込み期と考え、LSDや距離走がポイント練習の中心となります。
月or火 [イージー] | 水or木 [ややハード] | 土 [イージー] | 日 [ハード] | |
3ヶ月 〜 2ヶ月前(走り込み期) | ジョグorその他の運動(30-60分) | LSD(60-90分) | ジョグ:リラックス(20-40分) | LSD、距離走(90-120分) |
2ヶ月 〜 1ヶ月前 (仕上げ期) | ジョグ:リラックス(40-60分) | スピード練習など(1km×5、ビルドアップ走) | ジョグ:リラックス(20-40分) | 距離走、ペース走(15-25km) |
1ヶ月 〜 3週間前 (調整前期) | ジョグ:リラックス(40-60分) | スピード練習、やや速めのジョグ | ジョグ:リラックス(20-40分) | ペース走またはレース(15km-ハーフ) |
3週前〜 (調整後期) | ジョグ:リラックス(30-60分) | やや速めのジョグ、12分間走などにトライ | ジョグ:リラックス(20-40分) | ペース走(距離は徐々に短縮:10-15km) |
備考 | 疲労チェック | 準ポイント練習 | ポイントのための身体慣らし | 重要 ポイント練習 |
2~1ヶ月前は仕上げ期となるので、走り込み期に比べてポイント練習のペースをより実際の目標に近づけましょう。ややハードの日に、スピード練習を取り入れてもよいと思います。
調整期は前・後期に分け、前期はペース感覚など総合力を高めるのが目的で、ハーフなどにチャレンジするのも有効です。一方、後期は疲労回復に主眼をおき、心身ともに超回復を狙いましょう。
サブ4を目標とする多くの方は、すでに十分トレーニングを積んでおり、提示した練習では、少ないと感じるかもしれません。
今回のプランは、単調な走り込みではなく、「メリハリ」を重視して、疲労&回復によるトレーニング効果を狙っています。その点をご理解頂き、ぜひお試しください。
(文:鍋倉賢治 イラスト:後藤徳一郎)
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