『「外で違う物食べたかった」…愛知学園の集団強殺』 2002/10/06(Sun) 読売新聞
愛知県春日井市の県立児童自立支援施設「愛知学園」(間宮輝明園長)で、職員の森野成雅さん(34)が少年4人に絞殺された事件で、少年らは「園内の食事は味の薄い和食ばかりで、外に出ていつもと違うものを食べたかった」と供述していることが、同県警非行集団対策課と春日井署の調べで5日、わかった。園内の生活は私服の着用も禁じられるなど規律が厳しく、県警は、少年らがこうした環境から逃れようとして短絡的な犯行にはしったものとみている。
関係者によると、園では、逃走防止のため、昼はジャージー、夜はパジャマの着用が義務づけられ、私服の着用は禁じられている。運動靴も、夜は鍵のかかるロッカーに保管されるなど、園生は厳しい管理下に置かれていた。
少年らは、少年鑑別所に移送されるといううわさを聞いて犯行を決行したことがわかっているが、「園以上に管理が厳しい鑑別所には、絶対に行きたくなかった」と供述しているという。
県警は5日、犯行に加わった4人のうち、中学3年生の少年(14)ら3人を、強盗殺人の疑いで名古屋地検に送検した。中学1年生の少年(12)と、便乗して逃走した2年生(13)の2人は、同日までに名古屋市内の少年鑑別所に移送された。
平成16年4月30日(金)
「愛知学園の処遇のあり方に関する検討委員会」報告書及び愛知学園における改善状況について http://www.pref.aichi.jp/jidoukatei/data/webpress_aichigakuen2004.html
「愛知学園の処遇のあり方に関する検討委員会」報告書及び愛知学園における改善状況について
平成16年 4月30日(金)発表 部課名 愛知県健康福祉部 児童家庭課 グループ名 家庭・施設福祉グループ 担 当 主 幹 加藤 幸夫 主任主査 幸田 政次 電 話 052-961-2111(代表) 内 線 3190、3191 ダイヤルイン 052-954-6281 部課名 愛知学園 担 当 園 長 市川 寿一 電 話 0568-88-0174
「愛知学園の処遇のあり方に関する検討委員会」報告書 及び愛知学園における改善状況について
平成14年10月4日(金)に愛知学園において職員が無断外出を目的とした入所児童に殺害されるという事件が発生しました。このような事件が二度と起こることのないよう、県は学園における管理体制を改善するとともに有識者 による「愛知学園の処遇のあり方に関する検討委員会」を設置し、入所児童の処遇のあり方を検討してまいりました。 平成15年7月28日に、それまでの愛知学園における改善状況及び「愛知学園の処遇のあり方に関する検討委員会」における検討状況について発表したところですが、このたび、委員会の報告書が県に提出されましたので、報告書の概要と、愛知学園におけるこれまでの改善状況について発表します。
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1 「愛知学園の処遇のあり方に関する検討委員会」報告書の概要について
第1章「処遇の基本的な考え方」 【新たな処遇プログラムの基本的考え方】
@処遇プログラムの共有と指導の統一性 職員の異動のある指導体制下では、処遇プログラムや指導方法について文書化して職員間で絶えず点検し、指導の統一性を図っていくことが重要である。
A個別処遇の重視 集団処遇の中で職員と児童との関係が希薄化することのないよう、個別処遇は非常に重要である。
B処遇、評価の透明性 児童が達成感と自信を持てるよう、目標や評価を職員と児童が一緒に確認できるようにする。
C入所期間 自立支援のため、おおよそ1年程度の処遇期間を前提とした処遇プログラムを考える。
D家庭環境調整 家庭・地域への復帰をスムーズにするために、入所時点から家庭や地域との調整の話合いを開始することが必要である。
E退所後のアフターケア 入所児童の最終目標は社会に向かって自立し適応していくことであり、退所後のアフターケアが重要である。
第2章「個別の検討事項」 処遇プログラム以外の個別検討事項について結果を報告。
@児童自立支援施設の対象児童
反社会的行動を繰り返す児童を中心に受入れるが、非行の有無や年齢だけにとらわれることなく、他施設との役割分担及び連携を模索していくこととが必要である。
A入所への動機付け
基礎からの勉強ができることや生活リズムが整い生活が安定して社会に戻れることなど、児童に入所の必要性を十分説明することや、ビデオなどにより学園の生活について十分伝えることが必要である。
B無断外出への対応
無断外出をして帰園した場合、従来は特別日課として作文や学習、作業等を行わせていたが、今後は個別面接や職員との濃密な関わりを通して支援・指導を行っていくことが必要である。
C生活のきまり
きまりを全ての児童に理解させることは困難であるが、職員との信頼関係の中で伝えて行くことが重要である。
D学校教育の導入
教育権の保障は児童の基本的で重大な権利保障であり、早急な学校教育の導入が望まれる。
E児童の権利の保障
自立のために自己決定する力を育てることや、懲戒において児童の最善の利益という視点から、児童の成長への影響を考えた適切な方法を選 択することが必要である。
F一時保護委託の受入れ
一時保護は、措置児童への影響を考慮することが必要であるが、緊急性必要性のある場合は受入れを積極的に検討することが必要とされる。
G職員研修体制
入所児童が抱える問題が困難化し、職員の研修が必要な事項は増えている。少年院の研修プログラムなどが参考となると考えられる。
2 愛知学園の改善状況について (1)平成14年度の改善状況
@当面の対応として宿直職員を増員 事件発生時、夜間は男子棟・女子棟それぞれ職員1名・嘱託員1名の宿直体制であったが、事件後、緊急対応として職員2名・嘱託員1名の3名体制に強化した。
A携帯式無線通報装置の導入 これまでも、職員スペースに他棟への通報装置は設置されていたが、より通報を迅速・確実なものとし、職員の安全を確保するとともに、入所児童の 問題に迅速に対応するため、夜間は職員に無線式の通報装置を携帯させることとした。
B赤外線センサー・防犯カメラの設置 外部からの侵入防止のために、棟の外回りに赤外線センサーや防犯カメラを設置した。
(2)平成15年度の改善状況
@平成14年度委員会の検討結果に基づく処遇の改善 平成14年度委員会の検討結果に基づき、愛知学園では平成15年4月から別記1のとおり処遇の改善を行った。
A平成15年度委員会の検討結果に基づく処遇の改善 平成15年度中に、委員会の検討に併行して、その検討結果に基づく処遇の改善を別記2のとおり行ってきた。 なお、委員会検討事項のうち、「入所の対象児童」については、当面、反社会的行動を繰り返す児童を中心とすることとした。
また、「学校教育の導入」については、今後も、関係者と調整を行っていくこととしている。
Bその他の改善 ア 宿直体制から夜勤体制への移行、及びこのための職員を10名増員 4月から職員を増員し、宿直体制から男子棟・女子棟それぞれ職員2名の夜勤体制に移行した。 イ 入所児童の指導がしやすいよう職員スペースを改修入所児童に目が行き届き、いじめや児童同士のトラブルなどに対し、より適切な指導ができるように施設の改修を行った。
(3)平成16年度の改善状況
@職員の増員と、受入れ児童数の拡大 平成16年4月から職員を8名(嘱託職員を含む)増員し、事件後からの男子16名の受入れ体制を、事件前と同様の32名受入れ体制とした。
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【別記1】 平成14年度委員会の検討結果に基づく処遇の改善
1 処遇内容の改善 (1)「個別処遇」の重視 職員と児童とのより良い信頼関係を構築するため、集団処遇に重点を置きがちであったこれまでの処遇を見直し、「個別処遇」の重視を明確にした。
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