スポーツ予算をムダ食いするJOCの役員メンバー
2010年02月26日17時00分 / 提供:ゲンダイネット
バンクーバー五輪の日本勢が、まったく振るわない。大会12日終了時点のメダル獲得数は3個。金はひとつも取れず、獲得数26個(金7、銀9、銅10)でトップの米国には遠く及ばず、隣国の韓国(10個=金5、銀4、銅1)にすら、大きく水をあけられている。
●清水宏保氏が告発したスポーツ後進国日本の実情
なぜ、日本選手はメダルを取れないのか――。国民の不満が募る中、23日の朝日新聞(夕刊)に掲載された、あるコラムが注目されている。タイトルは「スポーツ後進国 日本」。筆者は、スピードスケートの清水宏保氏である。驚いたのは、その内容だ。国のスポーツ行政やJOCの体質を批判する厳しいものだった。
【日本には国立スポーツ科学センターがある。韓国にも同じような施設がある。韓国ではそこに選手が集められ、招集された時点で、日当が出る。日本では利用するのに料金が発生する】
【バンクーバー五輪では、JOCの役員、メンバーが大挙して現地入りしている。予算は限られている。そのため、選手を手塩にかけて育てたコーチや、トレーナーがはじき出され、選手に快適な環境を提供できていない。お金の使い方が逆だろう】
清水といえば、前回のトリノまで4大会連続で冬季五輪に出場。金、銀、銅を獲得した日本を代表するメダリストだ。JOCにも世話になり、しがらみもあるだろう。“内部告発”に至ったのは、国やJOCのあり方が、よほど腹に据えかねていたに違いない。
事実、日本のスポーツ行政は腐っている。
バンクーバー五輪の日本選手団205人のうち、純粋な選手は94人だけ。残りはコーチや医師、JOCの役員やスタッフだ。役員の中には、目立った仕事は“腰パン”国母の説教役だけという橋本聖子団長をはじめ、物見遊山気分で訪れている“役立たず”も多い。
●選手強化費をかすめ取る怪しい団体
冬季、夏季を問わず、選手の強化対策もお寒い限りだ。北京五輪までの1年間に日本が国庫負担で賄った選手強化費は、27億円に過ぎない。274億円のドイツの10分の1。米国165億円、英国120億円、中国120億円、オーストラリア110億円、韓国106億円などと比べても、極めて低い。
「強化費の分配方法も、デタラメです。国からJOCに渡り、JOCの差配で、個人やチームにではなく、所属する競技団体に支給される。その差配には、各競技団体のトップにおさまる国会議員の政治力が、モノをいうのです」(スポーツジャーナリスト・谷口源太郎氏)
各競技団体が強化費を何にいくら使っているのかも不透明だ。トリノ五輪後には、日本スケート連盟の元会長が裏金をつくり、私的流用していた事件が発覚した。わずかな予算にえたいの知れない連中が群がり、中間搾取して選手の手元に渡る頃には“すずめの涙”。長期化する不況のあおりでスポンサー企業も激減だ。そのため、オフにはバイトに励み、自己負担で国際大会に出場している五輪選手も少なくない。
韓国では国のほか、各財閥が後ろ盾となって、選手個人を金銭面でサポートしている。金メダルを取れば賞金のほか、終身で毎月100万ウォン(約8万円)を支給し、男子メダリストは兵役免除など“ニンジン”も充実している。日本のデタラメ政策とは雲泥の差。メダル獲得数で3倍以上の差がつくのも当然だ。
石原慎太郎都知事は先週、日本勢の不振について「国家という重いものを背負っていないから、結局、高く跳べない。速く走れない」と語っていたが、バカも休み休み言えだ。大失敗に終わった東京五輪招致費用の税金100億円が選手個人に渡っていれば、違った成績となっていたはずだ。
●カネは出さずに口を出す愚かな政治
「結局、スポーツ行政には各国の文化水準の差が出るのです。スポーツが文化として溶け込んでいる欧米では、選手強化費用に巨額の税金をつぎ込んでも、日本のように国民から文句は出ません。国民の間でスポーツ文化に対する肥沃(ひよく)な土壌が醸成されており、トップ選手を育てるピラミッド型のシステムが完成しています。日本は痩(や)せた土壌から、たまたま才能の芽が出てくるのを待っているだけ。芽が開花しても、次の芽を育てようともしない。理念や戦略が欠如しているのです」(前出の谷口源太郎氏)
前出の清水選手は【五輪の時だけ盛り上がって、終わったら全く関心がないというのではあまりに悲しい】とコラムを締めくくっていた。
こうした問題に目を背け、五輪を商売道具としか考えていない大マスコミ、スポーツジャーナリズムの責任も重い。それに踊らされる国民も甘すぎる。ましてや石原のような“カネを出さずに口だけ出す”という輩(やから)の存在を許しているようでは、メダルの数が増えるはずがない。
(日刊ゲンダイ2010年2月25日掲載)
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