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森光子「放浪記」無念のドクターストップ

 女優・森光子(89)が東京・日比谷のシアタークリエ5・6月公演で主演を予定していた舞台「放浪記」が中止されることが26日、東宝から発表された。森は18日の健康診断で4時間公演を2カ月続けることは厳しいと判断され、5月9日で90歳を迎える体調面を考慮したもの。同作は昨年5月までに2017回上演され、単独主演として前人未到の記録を更新していた。東宝によれば、東京・帝国劇場100周年にあたる来年、主演作上演の可能性があるという。

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 森にとって、人生で最もつらい決断だった。18日に都内の病院で公演前恒例の健康診断を受け、19日に判明した結果は90歳を迎える女性としては何も問題はなかった。しかし、4時間&2カ月の大作。医師団4人は大事をとった方がいいと総合的に判断した。

 ただちに東宝、スタッフ、所属事務所などの話し合いがもたれ、61年10月からのライフワークの中止が決定。21日に本人に伝えられ、同夜「周りのいろんな人が、私のことをこんなに温かく配慮していただいたことが本当にうれしい」と言いながら了承したという。

 東宝の増田憲義専務取締役演劇担当(63)がこの日、都内で会見して事情を説明。ショックを引きずる森は欠席したが、手紙で「役者にとりまして、舞台をお休みするということは、これにまさる苦しみはございません」と胸中を明かした。同専務は、森が結核で片側の肺を失っていることを改めて説明し、風邪でも休演につながるとした。公演期間や時間の短縮も、森の今作への思いからふさわしくないとした。

 また、来年が初演から50周年となる「放浪記」再演の可能性について、同専務は「昨年の誕生日の(上演)2000回達成後も千秋楽まで日一日と体調が良くなった。今後、体調とご相談してできるものなら」と含みを残した。

 現時点でネックは“4時間”で、森の女優継続に支障はないという。代替公演については未定だが、ショー作品が上演される場合などには「森さんに舞台で1曲なんてこともできれば」(増田専務)とも。また、帝劇100周年での主演作も前向きに検討されていて、国民栄誉賞女優の生涯現役は変わらない。

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