「バンクーバー五輪・女子フィギュアスケート・フリー」(25日)
浅田真央がショートプログラムの1回と、フリーの2回を合わせ、五輪でトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を計3回成功させた快挙が、ギネスブックに登録される可能性が26日、浮上した。ギネス登録となれば、2002年のジュニアグランプリファイナルで日本人の女子で初めて4回転ジャンプを成功させた安藤美姫、1989年の世界選手権で初めてトリプルアクセルを決めた伊藤みどりさんに続いての快挙。現在、女子で2人しか跳べないジャンプが、世界に認められるかもしれない。
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トリプルアクセル3回成功で、ギネス記録へ‐。銀メダルとはいえ、今大会で浅田がやってのけたSP、フリーを合わせてトリプルアクセル計3回成功の偉業は、フィギュアスケート界の流れを大きく変える可能性が出てきた。
大会前、国際スケート連盟(ISU)のジャッジ資格を持つ関係者は「SPで決めただけでギネス級だけど、3回決めたら、申請すべき」と話している。日本人では、02年に女子で初めて国際公式大会で4回転ジャンプを成功させた安藤、89年の世界選手権で初めてトリプルアクセルを決めた伊藤さんの2人がギネスブックに記載。申請さえすれば、認定されるのはほぼ確実だ。
五輪SP史上初めて女子でトリプルアクセルを成功させたにもかかわらず、男子の4回転論議と同じく、“挑戦”への対価が低いことへの議論も呼びそうだ。現在、トリプルアクセルの基礎点は8・2点で、3回転ジャンプで2番目に高難度のトリプルルッツ(6・6点)とは1・6点差。同関係者は「今、世界で2人(浅田と中野友加里)しかできない技の基礎点としては低すぎる。その点は、6月のISU総会で訴えようかと思う」としている。
日本スケート連盟の吉岡伸彦強化部長も「フィギュアがスポーツである以上、難しいことをやって、勝てないのはおかしい部分はある。挑戦を奨励していくことは必要。ISU自体もこのままでいいとは思っていないはずだし、提案していくべきこと」と話している。日本としても基礎点の改正を積極的に問題提起していくつもりだ。
浅田がトリプルアクセルを初めて跳んだのは小学生のとき。ジュニアの夏合宿だった。「あれ、できちゃったって感じだった」。空中で3回転半、クルリと回って降りた。昨年秋にはまったく跳べなくなり、泣かされたことも。「本当に、トリプルアクセルとは仲良くしたい」。頼れる“親友”とともに、浅田がフィギュア史に名を刻む。