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浅田真央、涙の銀…それでも感動は金メダル級だ

 浅田にとっては忘れられない味だ。小学校5年生のころから約5年、深夜や早朝に練習を積んでいた「名古屋スポーツセンター」(名古屋市中区)のすぐ近くにある「互楽亭」。練習の合間や練習前など、多いときで週3日から4日通ったという浅田のお目当ては「チャーハン」だった。

 夕方5時半ごろに来店することが多かったという浅田は、決まって「いつもの」とチャーシューたっぷりのチャーハンを注文。食べ終わって浮かべる満足げな表情が井上さん夫妻を喜ばせた。一夫さんは「ほかのお客さんから“頑張って”と声を掛けられると、笑顔で“ありがとうございます”って返していました」と振り返る。

 浅田が高校に入学し、練習の拠点が変わると来店機会は減少。だが浅田は懐かしの味を覚えていた。2007年4月、バラエティー番組で「今、食べたいもの」として「互楽亭のチャーハン」を希望。一夫さんがスタジオまで出向き、腕をふるった。その時にもらったサインと記念写真は、店内に大切に飾ってある宝物だ。

 24日のSPを2位で通過。井上さん夫妻は逆転金メダルを願い、祈っていた。この日、店内にあるテレビに2人の視線はくぎ付け。演技が終わると、一夫さんは拍手をしながら「僕らにとっては最高の演技だった」とねぎらった。

 朱実さんは終始、手を胸の前で組んで祈るような表情。演技後は感極まって涙ぐみながら「4年間、よく頑張ったね」と浅田の努力をたたえた。「また、ウチのチャーハンを食べに来てほしいですね」と呼び掛けるまなざしには温かみがあふれていた。

 名古屋スポーツセンターでも約50人がテレビの置いてあるロビーに集結した。南山大1年の國枝久美さん(19)は「スピンでミスした後、立て直したステップに“絶対あきらめない”という思いが見えました」と感動の面持ち。現役スケーターが4分間の滑りで受け取ったものは計り知れない。

[ 2010年2月27日付 ]

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