番外その22:東京都青少年保護条例改正案全文の転載
第201回で元となった答申案のことを取り上げたが、東京都青少年保護条例(正式名称は、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」)の改正案がこの2月24日に東京都から都議会に提出された。この改正案の全文をhimagine_no9氏が都議会図書館から複写され(Scribdへのリンク、氏のサーバーのpdf文書(内容は同じ)へのリンク)、JFEUG氏がOCRを用いて比較資料を作成されている。
これらのリンク先から直接読んで頂ければ良い話なのだが、条例改正案は改め文で読みにくいので、ここでも、元の青少年条例の改正部分を示すという形でその全文を転載しておきたいと思う。(特に新しい情報が含まれている訳ではないので今回は番外とした。また、折角作ったので、JFEUG氏のファイルのさらに訂正版のテキストファイルへのリンクもここに張っておく。)
詳しくは下に載せる条例案本文を直接読んでもらえればと思うが、この東京都の青少年保護条例改正案は、第201回などで取り上げたその青少年問題協議会の答申を完全になぞり、やはり完全にパブコメは無視された形であり、その内容は、a.利用者と事業者から無意味にテラ銭を巻き上げることのみを目的とした携帯電話の推奨制度の導入(第5条の2)、b.児童ポルノを理由とした根拠なく曖昧な定義に基づく創作物(図書類又は映画等)の有害図書・不健全図書指定対象への追加(第7条第2号、第8条第1項第2号、第9条の2第1項第2号)、c.青少年の情報アクセスを超えて一般の情報アクセスに多大な制限を加えることになるだろう、1年間で不健全指定を六回受けたものに対する東京都による必要な措置の勧告・公表の導入(第9条の3)、d.都民は児童ポルノをみだりに所持しない責務を有するとする児童ポルノ所持の違法化(第18条の6の4。ただし、罰則はなし)、e.児童ポルノを理由とした曖昧な定義に基づく東京都に対する保護者と事業者に対する指導・調査権限の付与(第18条の6の5)、f.親から子供の監督権を奪い、子供の情報アクセス権・プライバシーを無視する形での携帯電話フィルタリングのほぼ完全な義務化と、携帯電話フィルタリングについての東京都に対する携帯電話事業者への勧告・公表・調査権限の付与(第18条の7の2)、g.青少年のインターネットの利用についての行政機関(想定しているのは主として警察だろう)による東京都への通報制度の導入と東京都に対する保護者への指導・調査権限の付与(第18条の8)という、違憲でない項目を探すことの方が難しいくらいの凄まじい規制のオンパレードである。
都民のパブコメはおろか、書籍出版協会・雑誌協会が出したパブコメ(pdf)や日本出版労働組合連合会が出したパブコメ(pdf)すら完全に無視された格好であり(恐らく他の多くの事業者・業界もこのパブコメには反対意見を出していたことだろう)、さらにこの条例の対象と今現在の日本における東京の一極集中を考えると、この表現規制の影響は、漫画やアニメ、ゲームなどの業界は無論のこと、出版業界全体、雑誌業界全体、アイドル業界、映画業界などおよそ表現にかかわる全業界に及ぶのは間違いなく、ネット規制という点からはあらゆるインターネット関連企業が関係し、携帯規制という点では、総務省の携帯フィルタリング導入騒動を考えても、全携帯電話キャリアとコンテンツ・プロバイダーがまたも甚大な被害を被る可能性も高い。
甚だ心もとないところもあるのだが、東京全都民、東京都に事業所を構えるあらゆる企業と東京都議会議員が、真の良識でもって、このような有害無益かつ危険な規制強化しか含まれていない条例改正案を速やかに廃案にすることを私は心から願っている。
次回は、「P2Pとかその辺のお話@はてな」でも取り上げられているアクセスコントロール規制強化の話も含め、知財本部の検討の話を書くつもりである。
(1)提案理由
青少年の健全な育成を図るため、児童ポルノの根絶等への気運の醸成等に関する規定を設けるとともに、インターネット利用環境の整備等に関する規定を改めるほか、規定を整備する必要がある。
(2)条例改正案(赤字強調は追加部分)
目次
(略)
第二章 優良図書類等の推奨等(第五条—第六条)優良図書類等の推奨及び表彰(第五条・第六条)
第三章の三 児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二—第十八条の六の五)
第三章の四 インターネット利用環境の整備(第十八条の六の六—第十八条の八)第三章の三 インターネット利用環境の整備(第十八条の七—第十八条の九)
(略)
(携帯電話端末等の推奨)
第五条の二 知事は、携帯電話端末又はPHS端末(以下「携帯電話端末等」という。)で、青少年がインターネットを利用して青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を得ることがないよう必要な配慮を行つていることその他の東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な育成に配慮した機能を備えていると認めるものを、青少年の年齢に応じて推奨することができる。
2 知事は、前項の規定による推奨をしようとするときは、東京都規則で定めるところにより、業界に関係を有する者、青少年の保護者、学識経験を有する者その他の関係者の意見を聴かなければならない。
(表彰)
第六条 知事は、青少年の健全な育成を図る上でうえに必要があると認めるときは、次の各号に掲げるものを表彰することができる。
一 青少年を健全に育成するために積極的に活動し、その功績が特に顕著であると認められるもの
二 青少年又はまたは青少年の団体で、その行動が他の模範になると認められるもの
三 第五条前条の規定により知事が推奨した図書類、映画等及びがん具類で、特に優良であると認められるものを作成し、または公衆の観覧に供し、又はこれらに供したもの及びこれに関与したもの
四 次条の規定による自主規制を行つた者で、青少年の健全な育成に寄与するところが特に大であると認められるもの
第三章 不健全な図書類等の販売等の規制
(図書類等の販売等及び興行の自主規制)
第七条 図書類の発行、販売又は貸付けを業とする者並びに映画等を主催する者及び興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条の興行場をいう。以下同じ。)を経営する者は、図書類又は映画等の内容が、次の各号のいずれかに該当する青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認めるときは、相互に協力し、緊密な連絡の下に、当該図書類又は映画等を青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は観覧させないように努めなければならない。
一 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの(以下「非実在青少年」という。)を相手方とする又は非実在青少年による性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を資格により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
(略)
(不健全な図書類等の指定)
第八条 知事は、次に掲げるものを青少年の健全な育成を阻害するものとして指定することができる。
一 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、青少年に対し、著しく性的感情を刺激し、甚だしく残虐性を助長し、又は著しく自殺若しくは犯罪を誘発するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
二 販売され、若しくは頒布され、又は閲覧若しくは観覧に供されている図書類又は映画等で、その内容が、第七条第二号に該当するもののうち、強姦等著しく社会規範に反する行為を肯定的に描写したもので、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を著しく阻害するものとして、東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
三二 販売され、又は頒布されているがん具類で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認められるもの
四三 販売され、又は頒布されている刃物で、その構造又は機能が東京都規則で定める基準に該当し、青少年又はその他の者の生命又は身体に対し、危険又は被害を誘発するおそれがあると認められるもの
2 前項の指定は、指定するものの名称、指定の理由その他必要な事項を告示することによつてこれを行わなければならない。
3 知事は、前二項の規定により指定したときは、直ちに関係者にこの旨を周知しなければならない。
(指定図書類の販売等の制限)
第九条 図書類の販売又は貸付けを業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関して図書類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者(以下「図書類販売業者等」という。)は、前条第一項第一号又は第二号の規定により知事が指定した図書類(以下「指定図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
2 図書類の販売又は貸付けを業とする者及び営業に関して図書類を頒布する者は、指定図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合を除く。以下この条において同じ。)は、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装しなければならない。
3 図書類販売業者等は、指定図書類を陳列するときは、東京都規則で定めるところにより当該指定図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置かなければならない。
4 何人も、青少年に指定図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。
(表示図書類の販売等の制限)
第九条の二 図書類の発行を業とする者(以下「図書類発行業者」という。)は、図書類の発行、販売若しくは貸付けを業とする者により構成する団体で倫理綱領等により自主規制を行うもの(以下「自主規制団体」という。)又は自らが、次の各号に掲げる基準に照らし、それぞれ当該各号に定める第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準に照らし、青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあると認める内容の図書類に、青少年が閲覧し、又は観覧することが適当でない旨の表示をするように努めなければならない。
一 第八条第一項第一号の東京都規則で定める基準 青少年に対し、性的感情を刺激し、残虐性を助長し、又は自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
二 第八条第一項第二号の東京都規則で定める基準 非実在青少年を相手方とする又は非実在青少年による性交又は性交類似行為に係る非実在青少年の姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として肯定的に描写することにより、青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあるもの
2 図書類販売業者等は、前項に定める表示をした図書類(指定図書類を除く。以下「表示図書類」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けないように努めなければならない。
3 図書類発行業者は、表示図書類について、青少年が閲覧できないように東京都規則で定める方法により包装するように努めなければならない。
4 図書類販売業者等は、表示図書類を陳列するとき(自動販売機等により図書類を販売し、又は貸し付ける場合を除く。)は、東京都規則で定めるところにより当該表示図書類を他の図書類と明確に区分し、営業の場所の容易に監視することのできる場所に置くように努めなければならない。
5 何人も、青少年に表示図書類を閲覧させ、又は観覧させないように努めなければならない。
(表示図書類に関する勧告等)
第九条の三 知事は、指定図書類のうち定期的に刊行されるものについて、当該指定の日以後直近の時期に発行されるものから表示図書類とするように自主規制団体又は図書類発行業者に勧告することができる。
2 知事は、図書類発行業者であつて、その発行する図書類が第八条第一項第一号又は第二号の規定による指定(以下この条において「不健全指定」という。)を受けた日から起算して過去一年間にこの項の規定による勧告を受けていない場合にあつては当該過去一年聞に、過去一年間にこの項の規定による勧告を受けている場合にあつては当該勧告を受けた日(当該勧告を受けた日が二以上あるときは、最後に当該勧告を受けた日)の翌日までの間に不健全指定を六回受けたもの又はその属する自主規制団体に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
3 知事は、前項の勧告を受けた図書類発行業者の発行する図書類が、同項の勧告を行つた日の翌日から起算して六月以内に不健全指定を受けた場合は、その旨を公表することができる。
4 知事は、前項の規定による公表をしようとする場合は、第二項の勧告を受けた者に対し、意見を述べ、証拠を提示する機会を与えなければならない。
52 知事は、表示図書類について、前条第二項から第四項までの規定が遵守されていないと認めるときは、図書類販売業者等又は図書類発行業者に対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
(略)
(指定映画の観覧の制限)
第十条 興行場において、第八条第一項第一号又は第二号の規定により知事が指定した映画(以下「指定映画」という。)を上映するときは、当該興行場を経営する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、これを青少年に観覧させてはならない。
2 何人も、青少年に指定映画を観覧させないように努めなければならない。
(略)
第十三条 がん具類の販売を業とする者及びその代理人、使用人その他の従業者並びに営業に関してがん具類を頒布する者及びその代理人、使用人その他の従業者は、第八条第一項第三号第八条第一項第二号の規定により知事が指定したがん具類(以下「指定がん具類」という。)を青少年に販売し、又は頒布してはならない。
2 何人も、青少年に指定がん具類を所持させないように努めなければならない。
(指定刃物の販売等の制限)
第十三条の二 何人も、第八条第一項第四号第八条第一項第三号の規定により知事が指定した刃物(以下「指定刃物」という。)を青少年に販売し、頒布し、又は貸し付けてはならない。
2 何人も、青少年に指定刃物を所持させないように努めなければならない。
(略)
(自動販売機等に対する措置)
第十三条の五 自動販売機等業者は、表示図書類若しくは青少年に対し性的感情を刺激し、残虐性を助長し、若しくは自殺若しくは犯罪を誘発し、青少年の健全な成長を阻害するおそれがあり、第八条第一項第一号若しくは第二号の東京都規則で定める基準に準ずる内容の図書類(指定図書類を除く。)又は特定がん具類(指定がん具類を除く。)を収納している自動販売機等について、青少年が当該図書類又は特定がん具類を観覧できず、かつ、購入し、又は借り受けることができないように東京都規則で定める措置をとらなければならない。
(略)
(青少年の性に関する保護者等の責務)
第十八条の三 保護者及び青少年の育成にかかわる者(以下「保護者等」という。)は、異性との交友が相互の豊かな人格のかん養に資することを伝えるため並びに青少年が男女の性の特性に配慮し、安易な性行動により、自己及び他人の尊厳を傷つけ、若しくは心身の健康を損ね、調和の取れた人間形成が阻害され、又は自ら対処できない責任を負うことのないよう、慎重な行動をとることを促すため、青少年に対する啓発及び教育に努めるとともに、これらに反する社会的風潮を改めるように努めなければならない。
2 保護者等保護者及び青少年の育成にかかわる者は、青少年のうち特に心身の変化が著しく、かつ、人格が形成途上である者に対しては、性行動について特に慎重であるよう配慮を促すように努めなければならない。
3 保護者は、青少年の性的関心の高まり、心身の変化等に十分な注意を払うとともに、青少年と性に関する対話を深めるように努めなければならない。
(略)
第三章の三 児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都の責務)
第十八条の六の二 都は、児童ポルノ(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律(平成十一年法律第五十二号)第二条第三項に規定する児童ポルノをいう。以下同じ。)を根絶すべきことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と連携し、児童ポルノを根絶するための環境の整備に努める責務を有する。
2 都は、青少年性的視覚描写物(第七条各号に該当する図書類又は映画等のうち当該図書類又は映画等において青少年が性的対象として扱われているもの及び第十八条の六の五第一項の図書類又は映画等をいう。以下同じ。)をまん延させることにより青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて事業者及び都民の理解を深めるための気運の醸成に努めるとともに、事業者及び都民と運携し、青少年性的視覚描写物を青少年が容易に閲覧又は観覧することのないように、そのまん延を抑止するための環境の整備に努める責務を有する。
3 都は、みだりに性的対象として扱われることにより心身に有害な影響を受けた青少年に対し、その回復に資する支援のための措置を適切に講ずるものとする。
4 都は、事業者及び都民による児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延の抑止に向けた活動に対し、支援及び協力を行うように努めるものとする。
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた事業者の責務)
第十八条の六の三 事業者は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
2 事業者は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、その事業活動に関し、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、他の事業者と協力して、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないようにするための適切な措置をとるように努めるものとする。
(児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向けた都民等の責務)
第十八条の六の四 何人も、児童ポルノをみだりに所持しない責務を有する。
2 都民は、都が実施する児童ポルノの根絶に関する施策に協力するように努めるものとする。
3 都民は、青少年をみだりに性的対象として扱う風潮を助長すべきでないことについて理解を深め、青少年性的視覚描写物が青少年の性に関する健全な判断能力の形成を阻害するおそれがあることに留意し、青少年が容易にこれを閲覧又は観覧することのないように努めるものとする。
(青少年を性的対象として扱う図書類等に係る保護者等の責務)
第十八条の六の五 保護者等は、児童ポルノ及び青少年のうち十三歳未満の者であつて衣服の全部若しくは一部を着けない状態又は水着若しくは下着のみを着けた状態(これらと同等とみなされる状態を含む。)にあるものの扇情的な姿態を視覚により認識することができる方法でみだりに性的対象として描写した図書類(児童ポルノに該当するものを除く。)又は映画等において青少年が性的対象として扱われることが青少年の心身に有害な影響を及ぼすことに留意し、青少年が児童ポルノ及び当該図書類又は映画等の対象とならないように適切な保護監督及び教育に努めなければならない。
2 事業者は、その事業活動に関し、青少年のうち十三歳未満の者が前項の図書類又は映画等の対象とならないように努めなければならない。
3 知事は、保護者又は事業者が青少年のうち十三歳未満の者に係る第一項の図書類又は映画等で著しく扇情的なものとして東京都規則で定める基準に該当するものを販売し、若しくは頒布し、又はこれを閲覧若しくは観覧に供したと認めるときは、当該保護者又は事業者に対し必要な指導又は助言をすることができる。
4 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者及び事業者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。
第三章の四第三章の三 インターネット利用環境の整備
(インターネット利用に係る都の責務)
第十八条の六の六 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。
2 都は、青少年がインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害について適切に理解し、これらの除去に必要な知識を確実に習得できるようにするため、青少年に対して行われるインターネットの利用に関する啓発についての指針を定めるものとする。
(インターネット利用に係る事業者の責務)
第十八条の七 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者(青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律(平成二十年法律第七十九号。以下「青少年インターネット環境整備法」という。)第五条に規定する青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者をいう。以下同じ。)及び青少年有害情報フイルタリングソフトウェア(青少年インターネット環境整備法第二条第九項に規定する青少年有害情報フィルタリングソフトウェアをいう。以下同じ。)に関係する事業を行う者(青少年インターネット環境整備法第三十条第一号のフィルタリング推進機関並びに同条第二号及び第六号の民間団体をいう。)は、その業務に関し提供等を行う青少年有害情報フィルタリングソフトウェア及び青少年有害情報フィルタリングサービス(青少年インターネット環境整備法第二条第十項に規定する青少年有害情報フイルタリングサービスをいう。以下同じ。)が、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為を行い、又は犯罪若しくは被害を誘発することを容易にする情報を閲覧する機会を最小限にとどめるものとなるように努めなければならない。
2 インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第六項に規定するインターネット接続役務提供事業者をいう。)は、インターネット接続役務(同条第五項に規定するインターネット接続役務をいう。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年有害情報フィルタリングサービスを提供している旨を告知し、その利用を勧奨するように努めなければならない。
3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者(青少年インターネット環境整備法第二条第八項に規定する携帯電話インターネット接続役務提供事業者をいう。以下同じ。)は、携帯電話インターネット接続役務(同条第七項に規定する携帯電話インターネット接続役務をいう。以下同じ。)に係る契約を締結するに当たつては、当該契約の相手方に対し、青少年の利用の有無を確認するように努めなければならない。
4 第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインターネットを適正に利用できるように、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアを利用した機器又は青少年有害情報フィルタリングサービスの提供を受けた機器の提供に努めなければならない。
5 青少年のインターネットの利用に関係する事業を行う者は、青少年のインターネットの利用に関する健全な判断能力の育成を図るため、その利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害並びにこれらの除去に必要な知識について青少年が適切に理解できるようにするための啓発に努めるものとする。(インターネット利用に係る事業者の責務)
第十八条の七 電気通信設備によるインターネット接続サービスの提供を行うことを業とする者(以下「インターネット事業者」という。)は、青少年の健全な育成を阻害するおそれがある情報を取り除くためのフィルタリング(インターネットを利用して得られる情報について一定の条件により受信するかどうかを選択することができる仕組みをいう。)の機能を有するソフトウェア(以下「青少年に有益なソフトウェア」という。)を利用したサービスを開発するとともに、利用者に提供するように努めなければならない。
2 インターネット事業者は、利用者と契約を行う際には、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年に有益なソフトウェアを利用したサービスを提供している旨を告知し、その利用を勧奨するものとし、及びこれを利用することが可能であることを標準的な契約内容とするように努めなければならない。
3 インターネット事業者のために利用者と契約の締結の媒介、取次ぎ又は代理(以下「媒介等」という。)を業として行う者は、利用者と契約の締結の媒介等を行う際には、青少年の利用の有無を確認し、利用者に青少年が含まれる場合には、青少年に有益なソフトウェアを利用したサービスが存在する旨を告知し、その利用を勧奨するように努めなければならない。
4 第十六条第一項第四号に掲げる施設を経営する者は、青少年が当該施設に備え付けられた機器によりインターネットを利用する場合には、青少年がインターネットを適正に利用できるように、青少年に有益なソフトウェアを利用した機器の提供に努めなければならない。
(携帯電話端末等による青少年有害情報の閲覧防止措置)
第十八条の七の二 保護者は、青少年が携帯電話インターネット接続役務に係る契約(当該契約の内容を変更する契約を含む。以下同じ。)の当事者となる場合又は保護者が青少年を携帯電話端末等の使用者とする携帯電話インターネット接続役務に係る契約を自ら締結する場合において、青少年インターネット環境整備法第十七条第一項ただし書の規定により青少年有害情報フィルタリングサービスを利用しない旨の申出をするときは、東京都規則で定めるところにより、保護者が携帯電話インターネット接続役務提供事業者が提供するインターネットの利用状況に関する事項の閲覧を可能とする役務を利用すること等により青少年がインターネット上の青少年有害情報(青少年インターネット環境整備法第二条第三項に規定する青少年有害情報をいう。)を閲覧することがないように適切に監督することその他の東京都規則で定める正当な理由その他の事項を記載した書面を携帯電話インターネット接続役務提供事業者に提出しなければならない。
2 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、前項に規定する契約を締結するに当たつては、青少年又はその保護者に対し、青少年有害情報フイルタリングサービスの内容その他の東京都規則で定める事項を説明するとともに、当該事項を記載した説明書を交付しなければならない。
3 携帯電話インターネット接続役務提供事業者は、青少年有害情報フィルタリングサービスの利用を条件としない第一項に規定する契約を締結したときは、当該契約に係る同項の書面に記載された正当な理由その他の事項を、東京都規則で定めるところにより、書面又は電磁的方法により記録し、保存しなければならない。
4 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が第二項又は前項の規定に違反していると認めるときは、当該携帯電語インターネット接続役務提供事業者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告することができる。
5 知事は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者が前項の規定による勧告に従わなかつたときは、その旨を公表することができる。
6 知事は、前項の規定により公表しようとするときは、第四項の勧告を受けた携帯電話インターネット接続役務提供事業者に対し、意見を述べ、証拠を提出する機会を与えなければならない。
7 知事が指定した知事部局の職員は、第二項から第五項までの規定の施行に必要な限度において、当該携帯電話インターネット接続役務提供事業者の営業又は事業の場所に営業時間内において立ち入り、調査を行い、又は関係者に質問し、若しくは資料の提出を求めることができる。
(インターネット利用に係る保護者等の責務)
第十八条の八 保護者は、青少年有害情報フィルタリングソフトウェアの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めるとともに、青少年がインターネットを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発することを防ぐため、青少年のインターネットの利用状況を適切に把握し、青少年のインターネットの利用を的確に管理するように努めなければならない。
2 保護者等は、家庭、地域その他の場において、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、自らもインターネットの利用に伴う危険性及び過度の利用による弊害についての理解並びにこれらの除去に必要な知識の習得に努めるとともに、これらを踏まえて青少年とともにインターネットの利用に当たり遵守すべき事項を定めるなど適切な利用の確保に努めるものとする。
3 行政機関は、その業務を通じて、青少年がインターネツトを利用して自己若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めたときは、これを知事に通報することができる。
4 知事は、青少年がインターネツトを利用して自已若しくは他人の尊厳を傷つけ、違法若しくは有害な行為をし、又は犯罪若しくは被害を誘発したと認めるときは、その保護者に対し、当該青少年について再発防止に必要な措置をとるとともに、そのインターネットの利用に関し適切に監督するよう指導又は助言をすることができる。
5 知事は、前項の指導又は助言を行うため必要と認めるときは、保護者に対し説明若しくは資料の提出を求め、又は必要な調査をすることができる。(インターネット利用に係る保護者等の責務)
第十八条の八 保護者は、青少年に有益なソフトウェアの利用により、青少年がインターネットを適正に利用できるように努めなければならない。
2 保護者及び青少年の育成にかかわる者は、家庭、地域その他の場において、インターネットの利用に関する健全な判断能力の育成を図るため、その利用に伴う危険性、過度の利用による弊害等についての青少年に対する教育に努めなければならない。
(インターネット利用に係る都の責務)
第十八条の九 都は、インターネットの利用に関する青少年の健全な判断能力の育成を図るため、普及啓発、教育等の施策の推進に努めるものとする。
(略)
(小委員会)
第二十四条の二(略)
7 前条第二十四条の規定は、小委員会の定足数及び表決数について準用する。
(略)
(3)附則
1 この条例は、平成二十二年十月一日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。
一 第一条の規定平成二十二年四月一日
二 第二条の規定中目次の改正規定(「児童ポルノの根絶に向けた気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二)」を「児童ポルノの根絶及び青少年性的視覚描写物のまん延抑止に向欠た気運の醸成及び環境の整備(第十八条の六の二—第十八条の六の五)」に、「(第十八条の七—第十八条の九)」を「(第十八条の六め六—第十八条の八)」に改める部分に限る。)、第七条、第九条の三及び第十八条の六の二の改正規定、第三章の三中第十八条の六の二の次に三条を加える改正規定、第三章の四中第十八条の七の前に一条を加える改正規定、第十八条の七の改正規定(同条に一項を加える部分を除く。)、第十八条の八の改正規定並びに第十八条の九を削る改正規定並びに次項及び附則第三項の規定 平成二十二年七月一日
2 平成二十二年七月一日から同年九月三十日までの間、第二条の規定による改正後の東京都青少年の健全な育成に関する条例(以下「新条例」という。)第九条の三第二項中「第八条第一項第一号又は第二号」とあるのは「第八条第一項第一号」とする。
3 新条例第九条の三第二項に規定する指定の回数の算定に当たっては、平成二十二年七月一日以後に新条例第八条第一項第一号の規定に該当するものとしてなされた指定及び同年十月一日以後に新条例第八条第一項第二号の規定に該当するものとしてなされた指定を対象とする。
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コメント
以下のページに東京都の強姦の統計データを掲載しました。
http://like700.hp.infoseek.co.jp/53.html#ken-filter
以下のグラフです。
http://like700.hp.infoseek.co.jp/Rape-Tokyo.jpg
2005年に東京都が青少年保護育成条例を強化して規制を強化したら、
http://hp1.cyberstation.ne.jp/straycat/watch/news/archive/2005/47.htm
上のグラフが示すように、東京都の強姦件数が増えました。
今回の青少年保護育成条例の強化でも、
また東京都の強姦数が増えることがないかどうかを、
東京都に質問して頂ける議員さんを探して頼んで欲しいと思います。
投稿: ランナー | 2010年2月27日 (土) 09時28分
このままでは、秋葉原や池袋の衰退を招きますし、
オタク向けのイベントも無くなってしまいます。
さらに、東京には様々なオタク産業が軒を構えているのに、追い出すのは甚だしいです。
結局、「21年前の宮崎勤事件から頭が離れていない」という訳なので、悔しいです。
投稿: *ダッフィー* | 2010年2月27日 (土) 18時29分
そんなにサブカルチャーが青少年にとって害悪であると言うなら、
何故より現実に近い暴力描写のあるバラエティ番組やAV、グラビア等を規制しないのでしょうか?
三次元的な物でも上記の内容が適用されるべき表現は未だ横行していますが
規制出来ない理由でもあるのでしょうか?まるで故意的に世間の目を反らしているように受け取れます
投稿: | 2010年2月27日 (土) 22時25分
まずはAVとかそっちを規制するべきじゃないのか?
投稿: | 2010年2月27日 (土) 22時39分
>何故より現実に近い暴力描写のあるバラエティ番組やAV、グラビア等を規制しないのでしょうか?
ホントだよ。AVとかのほうを先に規制すべきだろうが
確か野田はエロゲつぶすためにAV側のほうから金もらってる
投稿: | 2010年2月27日 (土) 22時40分
日本人と在日外国人を分けた統計表ってある?
投稿: | 2010年2月27日 (土) 23時15分
二次元規制は勘弁
むしろAVとテレビ番組だけ規制して
投稿: | 2010年2月27日 (土) 23時22分
「まずは何々を規制しろ」という主張は愚の骨頂です。
相手は「それは後で規制します」と返答するだけです。
この条例案は東京都青少年問題協議会のメンバーである、警察庁生活安全局出身でエクパット・ストップ子ども買春の会の顧問弁護士である後藤啓二、警察御用学者である前田雅英、警察傘下組織であるインターネットホットラインセンターの吉川誠司の思惑が強く反映されているのであって、野田聖子は関係ありません。
感情論や陰謀論は規制に反対するにあたってノイズにしかならないですよ。
自重して頂きたい。
投稿: sss | 2010年2月27日 (土) 23時24分
ロビー活動も盛んでなく
票にも金にも貢献しない集団であるうちは
点数稼ぎの格好の的だ
でも、そういう教育を受けなければ風土も感心も無かったから
何をすればいいか良く分からない
戦ってくれるヒーローでも待つかね
投稿: | 2010年2月27日 (土) 23時38分
お前らメール突撃しとけ
意見集まれば破棄にできる
ttp://www.seisyounen-chian.metro.tokyo.jp/seisyounen/09_seisyokyo.html
東京都青少年・治安対策本部総合対策部総務課(広報担当)
電話03-5388-2258 ファックス03-5388-1217
メールもここからおくれる
投稿: | 2010年2月28日 (日) 00時23分
D.C.Ⅱのさくらさんdisってるのか?
設定上は外見があれでも70近いんだぞ
投稿: | 2010年2月28日 (日) 00時50分
つーかさ、こんなのただの表現規制なんだから、全員1日休んででも抗議活動しろよ!!
どう考えたっておかしいだろうがよ!!
投稿: ただの表現規制。 | 2010年2月28日 (日) 01時15分
AVの審査団体って警察の天下り先だったけか?
投稿: | 2010年2月28日 (日) 01時30分
AVを審査していたビデ倫は警察の天下りを拒否するようになって潰されました。現在は映像審。勿論警察が天下ってます。
またアダルトゲームを審査するソフ倫やメディ倫にも警察は天下ってます。
エロ規制は警察にとって天下りの為の道具。
警察は以前から漫画を審査する団体の創設を狙っていると言われています。
児ポ法問題で日本ユニセフ協会が「漫倫」を主張したのは、実は警察が吹き込んだからだそうです。
投稿: | 2010年2月28日 (日) 01時45分
宮崎勤事件も出歯亀事件と同じく、国民の何事も汚らしくしたがる犬的、あるいは差別的性質を程よく刺激してくれるんだよ。
人の頭の中を勝手にこさえて、差別するをよしとするなら、
あんたらのその根性をこそ差別してやりたいよ。
投稿: | 2010年2月28日 (日) 03時29分
規制規制と騒ぎ立てながらもう何年も
露骨に未成年略取や児童買春を唆すような内容の大量の糞スパムメールなどは完全無視ですか
半島や中国や在日がからむから完全無視ですか
投稿: マーダー | 2010年2月28日 (日) 04時02分