2010年2月27日 11時14分 更新:2月27日 13時12分
【ワシントン斉藤信宏】トヨタ自動車の大規模リコール(回収・無償修理)問題を調査している米下院監視・政府改革委員会のタウンズ委員長は26日、トヨタが交通事故の訴訟に関連する書類を意図的に隠していた疑いがあるとの声明を発表した。北米トヨタの稲葉良※(よしみ)社長に書簡を送って、3月12日までに回答するよう要求した。
24日の同委員会の公聴会で豊田章男社長がリコール問題で証言したが、議会側は引き続きトヨタの経営体質を厳しく追及する方針を鮮明にした。
タウンズ委員長の指摘は、トヨタの米販売子会社で03年4月から07年9月まで顧問を務めた弁護士の提出した書類などに基づいている。書類は今回の一連のリコール問題とは別の自動車横転事故の被害者らがトヨタを相手取って起こした訴訟に関するもの。
訴訟はすでに和解が成立しているが、タウンズ委員長は書簡で「提出された書類によると、裁判所からの開示命令に日常的に違反し、法律を意図的に軽視していたことは明らかだ」とトヨタの姿勢を非難。トヨタが米当局にも情報を隠したかどうかについて「極めて深刻な疑いが浮上している」と指摘した。
一連のリコール問題では、トヨタの対応が遅れたため、「欠陥隠し」の疑惑が浮上。豊田社長は公聴会で「欠陥隠し」を否定したが、今回の疑惑で議会側の不信が強まる可能性がある。
これに対し、トヨタは26日、「適切に行動したと確信している」と反論する声明を発表した。声明は「訴訟で企業秘密にかかわる文書の提出を拒むのは珍しいことではない」と説明。「法的責任を果たし、高い倫理水準を保つ努力を続けている」と強調した。
(※は、目ヘンに見)