2010年02月27日

真珠鑑定士と浅田真央選手

キム・ヨナ選手が大差で浅田真央選手を破り、金メダルを手にしました。「おめでとうございます」と申し上げたいと思います。

 


私は、ショートプログラムの二人の演技を見て、フリー演技でもその差は縮まらないと直感し、フリー演技をテレビ観戦しませんでした。結果は想像した通りになりました。

 


さて、読者の皆さんは、真珠鑑定士の育て方をご存知でしょうか。真珠の「品定め」ができる、つまり「目利き」がきくようにするための育成方法とは「毎日毎日、一級品だけを見せ続ける」のだそうです。

 


一級品だけを見続けた「目」に、ある日等級の劣る真珠を見せると、たちまち等級が劣る真珠であることを見抜くようになるそうです。

 


私は、東京ディズニーランドのテーマショーの品質を維持向上させる責任者を長く務めてきました。ですから、真珠の鑑定士のようにキャストの笑顔やおもてなしの「レベル」は、すぐに見分けることができます。エンターテイメントショーの担当ではありませんでしたが、ゲストコントロールの責任者でもありましたので、世界のディズニーのエンターテイメントショーは見続けてきました。

 


その私がみたキム・ヨナ選手と浅田真央選手の「出来栄えの差」は歴然でした。もちろん、浅田真央選手は恥じることはありません。銀メダルを獲得したことをほめたたえるべきです。

 


しかしながら一方で、大差で敗れた原因は何かに気づかなくてはならないと考えます。私はその原因は、浅田真央選手の内面にあると思います。

初めてのオリンピックであり、重圧もあったでしょう。浅田真央選手の内面の美しさを演技で表現することは困難であったと思います。残念ながら大舞台に立てる「楽しさ」が感じられませんでした。

 


それでも、プレッシャーはキム・ヨナ選手も同じです。

 


私の推測ですが、3年間韓国を離れ、カナダで練習したキム・ヨナ選手は、カナダやアメリカの一流のエンターテイメントを観賞することも多かったと思えるのです。専門用語では「ピグマリオン効果」といいますが、映画「マイ・フェア・レディー」のように、「〜のようになりたい」と夢を見、期待され、ほめられると人は本当に「〜のようになれる」のです。キム・ヨナ選手は観衆を魅了するエンターテナーとして、他の選手とは「格」が違う、私にはそう思えました。(このことが個人や集団のホスピタリティを向上させる「極意」であることを知っているプロは数少ないと思われます。)

 


私は、このエンターテナーとしての部分が浅田真央選手とキム・ヨナ選手の得点の違いとなって表顕したものととらえています。

 


私見ですが、浅田真央選手の持ち味は「無垢なやさしさ」であると思っています。浅田真央選手はまだ19歳です。

「箸が転がってもおかしい年頃」の気持ちを忘れずに、躍動感あふれる「無垢なやさしさ」を表現できるように、ディズニーのエンターテイメントショーなど、世界の一流のショーを見続けて欲しい。そして、4年後も「真央ちゃんスマイル」で金メダルに挑戦して欲しい、そう願いこれからも応援していきたいと思います。