2010年2月27日0時10分
脱官僚、政治主導を掲げた民主党政権が発足し、5カ月が過ぎた。事業仕分けでの無駄排除、ダム工事の見直し・凍結、独立行政法人の全廃を含めた見直し方針、官僚の天下り禁止……。今までに実現できなかった行政改革が、本気で進められようとしている。
退官した官僚は、監督先の行政法人を数年ごとに渡り歩き、退任するたびに高額の退職金を手にする。国民から預かった年金は、職務怠慢の結果、「宙に浮いた」「消えた」と大騒ぎ。仕事帰りのタクシーでは、運転手からビールやつまみを振る舞われ、現金や金券まで受け取る。
地方でも、職員に様々な名目の手当を支出。議員は、高額な報酬を受け取りながら、議会へ出席すると「日当」を受け取る。不透明な政務調査費には、疑念の目が向けられている。まじめな庶民から見れば、怒り心頭な話ばかりだ。
民間と地方公務員の年収格差を仕事別に示すデータがある。2007年の総務省の発表などをもとに、作成されたものだ。
「ごみ収集業務」でみると、自治体の清掃職員は平均年齢43.8歳で年収730万8千円。ところが、民間の廃棄物処理業従業員は43.3歳で419万6千円。「給食調理業務」にしても、学校給食員は46.0歳で589万2千円。民間の調理師は41.5歳で351万3千円だ。
身近に、これだけの格差。さらに民間は、リストラ解雇という不安も抱える。
民主党には、断固たる行革を求めたい。しかし、知らずに年十数億円を母から受け取っていたり、数億円の土地購入資金の記載を間違えたり。こんな指導者を抱えたまま、庶民感覚の政治ができるとは思えない。(樹)
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「経済気象台」は、第一線で活躍している経済人、学者など社外筆者の執筆によるものです。