柏市が6月1日にオープンを予定していた障害者向けの特殊歯科診療施設で、市医療公社が採用を決めていた唯一の常勤医師が辞退を申し出ていたことが分かった。市議会は26日、診療に必要な高額の医療器械を購入するための予算案(6850万円)を賛成多数で可決したが、一部議員は「オープンの見通しが不透明なのに多額の予算を通すのはおかしい」と反発している。
この特殊歯科診療施設は、今春開所する保健医療福祉施設「ウェルネス柏」の中に設置される予定。夜間医療施設を含む約900平方メートルのフロアに全身麻酔室、治療室、レントゲン室などがあり、一般歯科では治療困難な障害者や障害児、体の弱った高齢者に全身麻酔を施したり特殊器具を使って治療する。
医師は常勤1人、非常勤3人体制。常勤医師は、救急医療や麻酔医療の経験があるとして松戸市の日大歯学部の医師に内定していた。ところが、この医師は25日「家庭の事情」などを理由に辞退を申し入れてきたという。
市は「業者と器械購入の仮契約も済んでおり、予算を通さないと契約も無効になる可能性がある。医師本人の慰留に努める一方、別の医師の採用も視野に3月中旬までに決めたい」と市議に理解を求め、予算案が可決された。しかし、末永康文市議は「施設建設自体にも多額の金をかけている。オープンできるかどうかもわからないのに、多額の予算は認められない」と反対を表明した。【橋本利昭】
毎日新聞 2010年2月27日 地方版