県内の母子家庭の平均年収はわずか約179万5000円で、ワーキングプア(働く貧困層)の目安とされる200万円未満の世帯が全体の62・5%を占めることが県の調査で分かった。仕事に就いている母親の半数近くは非正規雇用で、離婚した前夫から養育費を受け取っていない母親も7割以上いるなど、経済的に不安定な家庭が多い。県児童家庭課は「資格を取ったり、条件のいい仕事を探したりしたくても、普段の生活に追われてその時間が取れず、悪循環に陥いるケースが多い」と話している。【関雄輔】
同課によると、県内の母子家庭は2万2424世帯(09年6月現在)で、01年の1万7082世帯から増加を続けている。昨年7~9月、児童扶養手当の受給資格がある母子家庭1500世帯を抽出し、アンケートを実施。回答率は73・5%だった。調査は04年以来2度目。
母子家庭になった理由は離婚が90・0%を占め▽未婚5・9%▽死別0・5%--と続いた。各種手当や前夫の養育費も含めた平均年収は前回調査より約20万円減。最も回答が多い「100万~150万円未満」が23・9%、50万円未満も4・7%あった。就業率は87・2%で、非正規雇用48・1%、正社員35・7%だった。
前夫の養育費の月平均額は3万4000円だった。養育費の取り決めがないのが46・1%、取り決めたがもらえないのも27・3%あった。前夫に経済力が無い場合や、家庭内暴力で離婚したため要求しにくいなど、泣き寝入りのケースも多いとみられる。
県が勧める職業訓練や資格取得などを行っている母親は11・8%にとどまった。66・8%が「費用が負担できない」、38・2%が「仕事が忙しい」と回答した。県は各種制度の周知や相談窓口の拡充、放課後児童クラブ(学童保育)の充実などを進める方針。看護師などの資格取得に際し、最大で月額14万1000円を支給する「高等技能訓練促進費」の活用を呼び掛けていく。
毎日新聞 2010年2月26日 地方版