ナイジェリアで特に地位が低い女性たちの生活支援に取り組む日本人女性を追いました。
貧困にあえぐナイジェリアで、特に地位が低い女性たちの生活支援に取り組む日本人の女神を追いました。
2010年、独立50周年を迎えるアフリカのナイジェリア。
しかし、南部では石油利権をめぐり、武装組織が戦闘再開を宣言、北部では大規模な宗教抗争が伝えられた。
そんな中、ナイジェリアでは今、ある日本人女性の努力が小さな実を結ぼうとしている。
取材班が訪れた北部カノ州は、ナイジェリアでも貧しいとされる地域。
カノ州では女性の地位が低く、そうした女性のために、日本のJICA(国際協力機構)が自立支援のプログラムを行っている。
ナイジェリア政府運営の女性センターでは、地域の女性たちが主に洋裁や編物を学んでいる。
日本人の甲斐田 きよみさんは、ここでただ1人、女性センターの運営を支援してきた。
JICAの甲斐田さんは「大体彼女たちは6カ月ここで学んで、そのあとに自宅で、自分で洋裁なり編物のビジネスを開始したいと思ってスキル習得に励んでいます」と話した。
教室で使われるミシンや編み機は、日本で集め、送られた中古品。
懸命に学ぶ生徒たちだが、ここは厳格なイスラム圏ということもあり、本来、女性たちが家庭から出て、こうした活動に参加することすら難しい。
しかし、甲斐田さんには秘策があった。
地域の宗教指導者は「(皆さんの活動は)ナイジェリア全体の利益となっています。非常に感謝しています」と話した。
甲斐田さんは、地域のイスラム指導者に女性センターが生むメリットを説明し、協力を取りつけた。
実はこうしたイスラム地域では、キリスト教などの背景を持たない日本の支援が受け入れやすいという。
JICAの甲斐田さんは「彼ら(宗教指導者)がお祈りのときなんかに、コミュニティーの男性に、女性たち、妻や娘たちを家にただ置いているんじゃなくて、女性センターに送って、スキルを学ぶようにっていうふうに言ってくれたので」と話した。
ある日、甲斐田さんらは女性センターの卒業生を訪ねた。
母親など家族を抱えるウマル・アブデルラーヒさん(24)は今、自宅でニット製品を製作・販売している。
独自のデザインを盛り込んだ製品は好評で、わざわざ自宅に買いに来る客までいるという。
ウマルさんは「以前は、現金収入を得ることがなかったので大変でした。そんな状態で生活の糧がなかったのですが、今は両親を助けることができます」と話した。
混乱と貧困はまだ続く中で、立ち上がろうとするナイジェリアの女性。
その彼女らの希望は、日本人によってしっかりと支えられていた。
(02/27 00:57)