劇場の名前は…すでに亡き「快傑ライオン丸」の敵役から

下町に誕生した「戸野広浩司記念劇場」。演劇を志す若者に好評だ Photo By 共同

　下町の代表格として人気のある東京・谷中に、ふと足を止めたくなる小劇場が誕生した。「戸野広浩司記念劇場」。３８年前に２５歳で事故死した俳優の名前を冠にしている。

　戸野広さん（１９４７〜７２年）は、１９７０年代初めの特撮ヒーロー番組「快傑ライオン丸」で敵役タイガージョーを演じ、次作も決まってこれからというところで急逝した。

　同劇場を運営する会社社長でテレビディレクターの平山陽さん（３５）が、その存在を“発見”したのは３年ほど前。たまたま番組を目にして「すごみのある俳優。存命なら松田優作さんのようになったはず」と感動。遺族から人となりを聞いた上「もう一度世に出したい」と、劇場名に使う承諾を得た。

　谷中の地と戸野広さんの接点はないが、平山さんは「昭和のにおいが漂い、文化的なイベントにふさわしい」と選んだ。元パブだったビル地下を改装し、約１００席。使用料も４万〜１０万円と相場より安く設定、演劇のほか落語会などもＯＫだ。志を継いで若者が育っていくのを願っている。

[ 2010年02月26日 15:35 ]