陳情第177号

                          平成21年2月17日

川崎市議会議長    潮田智信  様

                      川崎区小川町11−13

                      日本基督教団川崎教会付

                     「新しい川崎をつくる市民の会」

                      代表  滝澤 貢

 

                    「永住外国人の地方参政権の確立の早期実現を求める」

決議を川崎市議会であげる事に関する陳情

 

陳情の要旨

表題の法案につき、今通常国会での法案化の議論がなされると聞き及んでおります。川崎市はどの政令都市よりも早く日本国籍を有しない外国籍住民(無国籍を含む。以下、同じ)の人権保障政策を推進し、「多文化共生社会の実現」を市のスローガンにした都市であるがこそ、外国籍住民の政治参加を積極的に受け入れ、「多文化共生」の内実化を図り、開かれた地域社会をめざすべきであります。市議会におかれましては、あらゆる住民一人ひとりを大切にするネットワーク作りと街の活性化に励み、住民主権の地方自治を目指して、過去(1994103日)の市議会全員起立で国への「定住外国人に参政権を求める」意見書が可決されたことと、情勢の変化を踏まえた上で、国会において早急に法案化を実現すべく、川崎市の意思と要望を決議していただきますようにお願いいたします。

 

陳情の理由

1.       参政権は日本人「固有」の権利、という主張について

巷間、外国籍住民の地方参政権に反対すべく憲法論議がまことしやかに行われていますが、いずれもこれまでの諸説を比較、検討した成果を踏まえた正確な理解ではなく、偏狭なナショナリズムに基づく外国籍住民排斥を主張するものです。憲法15条1項の「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」の「固有」とは、「譲り渡すことのできない」権利ということであり、これは戦前、公務員を任命する権利をもっていた天皇大権のあり方に対して、国民が自らの権利として「譲りわたすことなく」堅持すべきものである、国民から任命権を奪ってはいけないという、国民主権の立場を明確に宣言したものです。したがって、日本の国籍を有する住民の参政権が保障される限り、外国籍・無国籍の住民に参政権を拡大する立法を行っても、何ら憲法に違反するものではありません。憲法15条1項の条文を、住民自治の保障ではなく住民の一部排除の方向に解し、外国籍住民の排斥を主張するのは、歴史的な経緯を背景とする憲法の趣旨を無視した誤ったものです。

政府の憲法解釈を代表する内閣法制局の長官であった高辻正巳は、憲法15条の「固有の権利」とは、日本国民だけが「専有」するのでなく、「奪うべからざる権利」の意味に解することが正しいとしています(昭和28年3月25日法制局1発第29号)。このように政府そのものが「固有の権利」の解釈を明確にしており、それを日本人にの限ると読むのは、明らかに間違いです。

 

2、 外国人の参政権を認めた最高裁判は「傍論」である、という主張について

平成7年2月28日の最高裁判決は、本論において外国籍住民の「地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」と本論においては、外国籍・無国籍住民の参政権について憲法による保障を否定しているものの、残る「憲法上は禁止か許容か」の問題については、傍論において、「永住権者等に、「法律を持って、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講じることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生じるものではない」と記しています(最判1995年2月28日民集49巻2号164頁)。 すなわち、同判決の判旨(最高裁の憲法解釈)は、地方参政権については国会での立法政策の裁量が許されるとするもので、外国籍・無国籍住民の参政権を承認する法案であっても、認めない法案であっても、いずれにしてもそれは「違憲」ではないということです。外国籍住民の地方参政権に関する最高裁の憲法解釈は、「許容説」であるという理解が現在の学問の常識になっています。

 また、訴えた個人の権利の法的保障を否認する結論を出しながら、傍論においては立法改革の必要性、可能性を国会に示す判決は、制度改革を目的とした訴訟では他にも例があります(1992年の台湾住民元日本兵戦死者の損失補償請求事件など)。傍論だから拘束力をもたないというような主張は、個別立法による権利の制限と憲法上の保障の問題が争われたケースにおいて、憲法上の保障が否定された際に、残る「憲法上は禁止か許容か」について最高裁が憲法解釈を判示する際の方法論を知らぬ暴論です。

 

3.     韓国が永住外国人に地方参政権を付与したことについて

永住外国籍・無国籍住民に参政権(主に選挙権)を認める世界の流れは北欧のみならず、英国やドイツ、フランス、スイスなどのEUに属する国に限らず、アメリカやニュージーランドでも実現されてきており、韓国における永住外国籍住民への参政権付与は、そのような世界的、歴史的な流れに即した施策とみるべきでありましょう。相互互恵主義は国家間における絶対的な条件ではありませんが、韓国が、世界の潮流の中で自らが外国籍住民の地方参政権を実行し、それを日本にも要望するということに対して、韓国の永住外国籍住民の数が少ないことを指摘することで、自らは閉鎖的な施策を取り続けることを正当化するのは間違いです。ましてや、日本政府首相と民主党の幹事長が外国籍住民の地方参政権の実現を内外に公言していることを重く受け留めるべきでありましょう。

 

4.     在日韓国人が韓国の国政選挙に参加することについて

韓国政府が、海外の韓国籍を持つ者に対して、韓国の国政選挙(大統領と国会議員選出)への参政権承諾を国会決議したことは事実です。在日韓国人が韓国の国政と地方の参政権をもちながら、日本における参政権を取得することになるとして同法案を論難する陳情も出されていますが、この陳情はまず基礎的な事実関係において誤った事実認識に基づいています。在日韓国人は、韓国においては地方選挙に関与することはできず国政選挙しか関与できません。国政選挙については、海外にいる日本人が日本の国政選挙に関わることは、日本においても当然視されています。地方選挙については、海外に住む日本人が帰化をせず日本国籍のままその国の永住権をもち、自分が住む地域での選挙に関わる権利をもつことは住民自治と民主主義の理念に照らして自然なことでありましょう。国政選挙についても地方選挙についても「一人一票」の平等性は維持されます。同様に、在日韓国人が、韓国の国政選挙と同時に、日本の地方参政権を付与されて、自分の住む地域社会に関わろうとすることは「不公平」「不自然」なことではありません。

   ましてや、今回の法案は、韓国籍の住民のみを対象としたものではなく、すべての外国籍の住民に関わるものであり、韓国との関係だけで法案を否定する論拠を探すのは、意図的な論点の誘導と言わなければなりません。

 

5.     地方自治体が危険に晒される、という主張について

 外国籍・無国籍住民の地方参政権によって、地方自治体が危険に晒されるという議論もありますが、それはあくまでも一定の外国を敵対視し、相手国を対等に話し合うべき対象とは考えず、信頼できない、制裁すべき国としているからです。これは日本の戦前の歴史を思い浮かべるならば、まさにナショナリスティックな立場から国益を掲げて感情的になり、相手国を対話に値しないと武力に訴え戦争に向かうしかなかった過ちに類似した、危険な考え方です。自分たちに危害を加えるかもしれないという警戒心をもって、外国籍住民を潜在的な敵国の人間とみなすことが、今のこの国際社会において正当化されるでしょうか。もっと冷静に、感情に走ることなく、同じ住民として外国籍住民と胸襟を開き、徹底的に対話を求めるべきでありましょう。自分と意見が異なる者でさえ、対話を通して一致点を見出すように務めるその態度こそ、住民自治にとって最も必要なものであるはずです。

 

6.     朝鮮「籍」を対象外にする法案内容について

巷間聞かれる今回の法案の内容に問題がないわけでもありません。国交がないという理由で、外国人登録における国籍欄に「朝鮮」と記入された「在日」を参政権の対象から外すということは日本にとって大きな禍根を残すことになるでしょう。憲法14条は、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と謳っています。北朝鮮による拉致事件は許されない事件でありますが、それに対して「報復」「制裁」の意味を込めて、国籍欄が韓国でなく朝鮮となっている「在日」に対してのみ参政権という政治的権利を認めないというのは、憲法の精神に反します。アメリカの9・11に対する「報復」と同じような考えに基づく朝鮮「籍」排除の内容が、もし今回の法案の中に含まれるのであれば、川崎市議会は率先して、その過ちを指摘すべきでありましょう。

  北朝鮮と国交がないというのは、日本の植民地支配の清算が未だなされていないということであり、両国が真摯な対話を通して解決していかなければならない課題です。しかしそれは国家としての課題であって、国交がないということで朝鮮「籍」の「在日」の政治的権利を認めないという差別は、国際社会の、国籍の如何に関わらず個として人間の権利を保障するべきであるという常識からはずれた、許されない行為です。

 法的・行政的には、日本政府の見解では、外国人登録における国籍欄の「朝鮮」は、国名ではなく地域名に過ぎません。実態としても、「朝鮮」籍のままにした者やその子孫の中には、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を支持するからという理由からではなく、朝鮮半島が統一される日が訪れることを願ってという理由で、そのままにしている者もいます。もし仮に、北朝鮮との国交の不在を理由とするのであれば、北朝鮮政府に公式に確認を照会することにより、外国人登録において国籍欄に「朝鮮」と記入されている者のうち、北朝鮮の国籍を有する者と有していない者とを峻別する行政的作業が必要となりますが、両国間に国交がない現在の状態では、行政的にそのような作業を実行することは不可能です。すべての「朝鮮」籍の住民を地方参政権から排除した場合、「北朝鮮国籍の者を排除する」という立法目的に照らして過度に広範な範囲の者を排除する手段を採用した立法として、憲法14条違反の憲法裁判に堪えられない可能性も高いと言わなければなりません。

 

7.       納税と参政権について

外国籍・無国籍住民が日本人と同じように納税しているからといって、それは自分たちが受けている地方自治体からのサービスに対する費用への対価であって、参政権とは関係がないという議論も見受けられます。また、納税していない日本人にも参政権はあるのだから、納税と参政権は関係がない、納税と参政権とに関係があったのは制限選挙の時代であって普通選挙の現在では関係がない、等の反論もあります。

しかし、個々人がその所得水準により非課税であるかどうかに関わらず、外国籍住民は全体として、日本国籍の住民と同じように、法的納税義務(課税対象)の範囲に含まれています。そして日本国籍の住民と同様、実際に納税しているかどうかに関わりなく、納税義務の範囲に含まれているのであれば、その税金の使い道について意見を反映させる回路を有する立場を保障されるべきだという意味で、基本的人権の問題として参政権の問題はとりあげられるべきです。同じ住民として外国籍住民地方が「法的納税義務の範囲に含まれている」ということは、自治体政府からサービスを受けているだけでなく、地方自治体の構成員として地方自治体の発展、維持、保全という営みに参加しているということであり、それは既に地域住民であることを逆に証明しています。地域に住む外国籍住民が、自分の住む地域社会をよくするために、住民自治に参加していくことは全く自然なことです。

 

8.      地方自治体と日本国との関係について

地方自治体は確かに独立国ではなく、日本国と一体であることは論を待ちません。しかしそれは地方自治体が国家に従属するということとは全く異なります。地方自治体は、教育・治安・安全保障等重要な役割を担っていることは事実です。しかしそれは地域住民が自分たちの住む地域社会にとってもっとも必要なものは何かを、行政や市議を交えながら、市民が対話を重ねて決めていくことです。そして国の所管事項であっても地方自治体の住民の生活に関係することは住民の意思として当然、国に求めていくべきでしょう。その際、国政選挙によるルートは、日本国という統治体(法人)の構成員だけが自らの責任で参政権を行使し、国の方向性を政党に委ねて決定していくものであり、このルートでは国という法人の構成員ではない者が直接関わる余地はありません。このような明確な役割分担があるにも拘わらず、地方参政権を外国籍住民に認めることは国を危機に落とし込むという主張をすることは、国と地方自治体が別法人であり、国の法律の範囲内で地方自治体の立法権が成立している等の、現在の日本の統治システムに関する無理解に基づくものです。その主張は、日本国籍を有する者のうち日本民族の民族感情をいたずらに扇動刺激するものであり、誤った判断に導く可能性があります。外国籍住民を悪意と敵愾心で見る主張は徹底的に自制されるべきでありましょう。

 

9.      参政権と公務就任権の関係について

最後に、地方参政権と公務就任権の関連性について言及いたします。外国籍住民の地方参政権とは、今回の国会では選挙権のことだけが取り上げられていますが、参政権は広く被選挙権と公務就任権を含む概念です。海外では、二重国籍とあわせて承認されつつある大きな流れです。EUやニュージーランドの限られた国だけでなく、韓国でも二重国籍が承認されたことは注目に値します。現在、国籍条項をもち外国籍公務員の職務と昇進の制限をしている川崎市は、参政権によって、さらに外国籍公務員への開かれた対応が求められるでしょう。

   

   川崎市は、どこよりも早く実現させた外国籍住民施策の実績の上で、国籍に
   関わらず全ての住民の人権を守るという、国際都市川崎のメッセージを世界に
   発信すべきであります。これまで川崎においてはどのような「在日」の歩みが
   あり、それと呼応して市の施策が実施されたのか、確認します。  
         

(1)戦後から1970年代、民族差別撤廃の運動の始まり

敗戦直後の総理庁統計局調査では川崎市に在住する朝鮮人〔総称〕は8,157人を数え、国籍による差別の開始と偏見の中で過酷な生活を強いられ、なおかつ、東西の冷戦による“祖国の分断”という新たな民族の苦難を背負い、異国の地で子どもたちを育て、戦後の川崎の経済復興を底辺で支えてきました。日本人のベビーブームと時代をともにするように、1970年代前後は、戦後日本生まれの在日二世が高校生、大学生に成長する時期になりました。彼らにとって日本は好き嫌いに関係なく「定住の地」であり、この社会で働き生活基盤を築かざるを得ません。そして日本の戦後民主主義教育を受けた彼らは、差別は人権侵害であり、法の下の平等に反し、外国人の基本的人権も尊重されるべきであることを学びました。入社試験に合格したが国籍を唯一の理由として日立製作所に採用拒否された朴鐘碩(ぱく・ちょんそく)さんは、ストレートに裁判に訴えてやろう!と考え横浜で出会った日本人学生(その後川崎市役所に2名が就職)に相談し支援を依頼しました。横浜地裁への提訴が報道され在日大韓キリスト教川崎教会の信徒が支援に加わり、運動は広がりました。

74年横浜地裁で勝訴し、日立側は控訴せず、判決は確定しました。日立本社との交渉も日本各地の市民運動の協力と韓国とアメリカのキリスト者の不買運動の応援もあって民族差別を繰り返さない措置を約束させました。

 

(2)川崎の在日の地域活動

川崎にある韓国教会が69年、地域への奉仕活動の一環として共働きの親たちの支援のために無認可の保育園を開設しました。そして70年の日立裁判支援への参与は保育園に大きな影響を与えることになりました。

「在日」の子どもの大半は日本名を名乗っていたのですが、子どもに本名を名乗らせたいと思っても、何よりも自分たちが受けてきた差別を子どもたちに味合わせたくないという親の理解を得るのに時間がかかりました。しかし、保育園側の思いは時間をかけて徐々に浸透し、本名を名乗ることをはじめ、民族保育が進められました。

19744月、日立裁判の判決前に地域集会が開かれ、この席で「差別は民間企業だけでなく自治体でもしているではないか、何故、在日朝鮮人は市営住宅に入れないのか、児童手当を受けられないのか」という意見が述べられ、6月の勝利判決後、川崎市への行政交渉の準備を開始されました。753月、伊藤市長〔当時〕は市営住宅については条例の国籍条項を撤廃すること、児童手当については国の法改正まで市の負担で日本人と同額を支給することを約束しました。

この運動の成果は日立闘争に関わった運動体(民族差別と闘う全国連絡協議会、民闘連と略す)を通じて全国に広がりました。その後、地域の運動は@教育を軸に保育園、卒園児のアフターケアとして学童保育、中学生部へと子どもの成長に応じて拡充し、A行政差別撤廃はその後も指紋押捺反対運動、公務員の国籍条項撤廃へと発展しました。地域教育運動と差別撤廃運動の結節点が川崎市外国人教育基本方針の制定〔86年〕、公設民営の在日と日本人の交流施設と子ども文化センターの機能を併せ持つ「ふれあい館」開設〔公設民営88年〕といえます。

 

(3)川崎市の取組み

1988年、日立就職差別裁判闘争を担った『民族差別と闘う神奈川連絡会議』は川崎市に対して、公務員採用の国籍条項撤廃を中心に総合的な外国人政策の確立を求める要望書を提出し交渉を開始しました。自治体は、指摘されて改善するのではなく主体的に総合的な外国籍市民政策を策定すべきである、というのが申し入れの趣旨でした。それを受けて市側は関係部局の職員からなる「外国人市民施策推進幹事会」設置し、市の検討すべき政策課題として24項目を提示しました。@旧植民地出身者への見解表明、A二世、三世の永住資格、B地方参政権保障、C指紋押捺制度、登録証明書常時携帯の廃止,D公平なサービスの提供、住民台帳の整備、E職員採用、F民間企業への就職差別撤廃の啓発、G審議会委員への登用、H市政モニターへの参加、I各種市民意識調査等への参加、J行政サービス受給のための広報の充実、K外国人学校への助成、L外国人学校から大学受験の資格付与、M社会教育の推進、N相談窓口の充実、Oガイドブックの作成、P国民年金等受給資格のない在日への救済措置、Q在日の旧軍人・軍属への年金受給資格の付与、R在日の歴史・文化理解のための啓発冊子の作成、S本名を名乗れる体制づくり、(21)入居差別撤廃、(22)在日多住地域の住宅環境整備、(23)職員の研修、(24)担当課の設置です。未だに多くの課題が残りますが、検討課題から実施に移した市側の政策は以下のものが特筆されます。

⇒外国人市民意識実態調査(93年・95年)・市民向け啓発冊子発行93年

⇒外国人高齢者福祉手当(月額20,000円)94年

⇒外国人市民代表者会議設立・職員採用時の国籍条項撤廃96年

⇒全区の市民館で社会教育事業として外国人市民向けの識字・日本語学級開設96年

⇒川崎市住宅基本条例(入居差別禁止規定を盛り込む)2000年

⇒川崎市多文化共生社会推進指針2005年

 このように、川崎市では「在日」の要求を受け留めて政策化する努力を1970年代から30年以上にわたって継続してきたのです。

 

外国人の地方参政権に関しては、多くの反対意見が述べられていますが、国会レベルにおいては、既に10年に及んで、公明党、共産党、民主党そして一部の良心的な自民党政治家が、外国籍住民の地方参政権の法案化に努力をしてきたという、ゆるぎのない事実があります。憲法違反の疑いがあるのであれば、このように長い時間をかけながら各政党が法案の準備を官僚の協力を得て準備できたはずがありません。外国籍住民の地方参政権付与問題は、憲法の面では違憲ではないということは、これまでの各政党の努力の前提であったのです。

外国籍住民の地方参政権反対は正確な憲法の理解に基づくものでなく、外国籍住民に対する偏見とナショナリスティックな感情からなされているものであり、川崎市議会は、理性をもって、「外国籍住民をかけがいのない隣人」とみなすという、歴代川崎市長の見解を深く受け留めるべきであります。そしてどこよりも早く、かつ徹底して、経済分野のみならず人権の分野においても、川崎市の国際化を進めるべく努力する必要があると思われます。

 もって、川崎市の有権者の一人として、朝鮮「籍」排除の過ちを糺して同法案の法制化に賛成し、良識の総意をもって、法案実現に全力を尽くされますように念じ、陳情を申し上げます。

 

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