第77回「オタク恋愛コンサルタントは日本を救えるか」(2010/02/26)
民主党政権は6月から子ども手当の支給を開始するなど、子育て支援を抜本的に強化しようとしている。少子化を食い止めないと、年金財源が破綻に向かうことが避けられず、医療や介護、福祉を続けることさえ難しくなってしまうからだ。しかし、政府が子育て支援をするだけで少子化は止められない。例えば2005年の国勢調査で見ると、30歳から34歳男性のほぼ半数が非婚になっているからだ。日本社会の場合は、結婚していないと子どもが生まれることは、ほとんどない。だから、少子化を防ぐためには、そもそも結婚ができる社会にしなければならないのだ。
元メイドが二次元の花畑から引き戻す
そして、いま結婚から最も遠いポジションにいるのがオタクだ。私は、大部分のオタクは二次元のアニメキャラクターを相手に積極的に恋をしているのではないと考えている。できれば三次元、つまり人間の女性と恋をしたいと思っている。少なくとも最初はそう思っていたはずだ。ところが、人間の女性に求愛するには、それなりの技術と経験が必要だ。もっとも、女性と付き合うことに失敗して、ひどく傷ついてしまったり、引っ込み思案で女性ときちんと話すことができなかったりする男性は、二次元に走る以外に恋愛欲求を満たす手段がないのだ。しかも、いったん二次元の世界に足を踏み入れてしまうと、そこはとても居心地のよい花畑だ。二次元のキャラクターは、人間の女性のように気まぐれだったり嘘つきだったり、裏切ったりしないからだ。だから、オタクを三次元の世界に引き戻すのは相当難しい。しかし、それをやらないと日本社会に未来はない。
私はそうした主張をこれまでずっと展開してきた。しかし、私の主張を理解してくれる人は、ほとんどいなかった。ところが、すんなり私の主張を理解しただけでなく、すでにオタクが恋愛できるようなコンサルティングまで展開している女性がいた。杉山祐香さん(ファービー苺さん)だ。
杉山さんは昨年秋まで、秋葉原の「@ほぉ〜むカフェ」で大学1年生からの4年間メイドさんとして働いていた。その経験を生かして、現在ブログでオタクの恋愛相談をしている(秋葉モテ術 恋愛道 http://ameblo.jp/strawberry0121/ 平均アクセス数は4000〜5000PV/日で、最高アクセス時は2009年12月12日の7897PV。この時はコスプレジャンルの人気ブログランキングでトップ3入りを果たした)。ブログに書き込まれた質問には、基本的に回答することにしているそうだ。
もちろん現在の活動は、ある意味ボランティアであって、収益を稼ぐ段階には至っていない。だから、将来はオタク向け恋愛指南の本を書いたり、直接相談を受け付ける仕掛けを考えているという。ただ、それは将来の夢というよりも、実現間近の課題なのだ。
3月からは、毎週月曜日16〜20時に恋愛相談ができる六本木のメイドカフェバーを限定オープンする(詳細はブログで)。オタクは足を運ぶ勇気がないので、次のような戦略を考えているそうだ。お酒を飲みにくる(動機付け)→愚痴・相談を言う(お酒も入ればなおさら)→恋愛体質に変わりたいと思う→杉山さんが個人コンサルする(服装・髪型・話し方・出会いの場の提供・デートする際の注意ポイント・お店の選び方……)→カップル誕生(オタクの恋愛モデルとなり他のオタクに自信がつく)→「アイツにできるなら俺にもできる!!」となる(連鎖的に反応)。また、六本木のお洒落なラウンジバーなので、オタクも雰囲気に合わせて服装や行動・話し方・女性への接し方等、変化が生まれることを期待しているのだそうだ。