事故で全身まひ、トヨタ公聴会で韓国人被害者に言及(下)
1984年に夫のチェ・ヒョンチョルさん(56)とともに留学し、温かい家庭を築いたチェさんの人生は、その瞬間から苦しい闘いへと暗転した。排せつはもちろん、たんを吐き出すのにも夫の助けが必要になった。
ソウル大機械工学科を首席で卒業し、イリノイ工科大で博士号を取得した夫は、その時から最長でも6時間以上、妻から離れることはできなくなった。ポラロイド社のエンジニアだった夫は、毎日早朝5時半に起床し、妻の排せつを手伝った後、子供たちを登校させた上で出勤する。そして、昼食時にはいったん帰宅し、妻の身の回りの世話をし、子供たちのおやつの準備をした後、職場に戻る。チェさんは、ストレスや栄養不足で夫の歯が5本も抜けたことを、最近になって知った。チェさんは「まるで腐ったロープをつかんで天に昇るように、目の前が真っ暗だった」と語る。
しかし、最もつらかったのはトヨタとのロングラン訴訟だ。チェさんは「車両の欠陥が明らかにもかかわらず、トヨタ側は運転ミスだと主張した」と振り返った。訴訟で、車両欠陥の立証責任はチェさん夫妻にあった。事故車の下に潜り、数百枚の写真を撮った夫は、自身の専攻を生かし、問題点を発見しようと努力した。さらに、廃車寸前のカローラを購入し、事故車と同様に破壊した上で、写真を撮影し、相違点を探そうとした。トヨタは訴訟3年目に過失を認めないまま、和解金100万ドル(約9000万円)を提示した。チェさんはそれを拒否した。「何の過ちもないのに、運転ミスという主張を曲げない会社のカネを受け取ることはできなかった」と語る。しかし、05年3月に一審でチェさんは敗訴した。チェさんはトヨタ側が証拠をねつ造したと確信している。
長期にわたる訴訟で多額の裁判費用を負担した上、夫が勤めていたポラロイド社が3年前に倒産したため、チェさんは経済的に困難な状況に置かれている。しかし、チェさん一家はほほ笑みと希望を忘れていない。小説家になるのが夢という長女はエール大英文科を卒業し、大学院への進学準備を進めている。大学進学を控えた長男は、トヨタとの闘いを映画化しようと心に決めている。
レキシントン(米マサチューセッツ州)=朴宗世(パク・ジョンセ)特派員
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