ゲーム制作会社カプコン(大阪市)が今夏に発売予定のゲームソフト「戦国BASARA3」について、日本ハンセン病学会が「ハンセン病患者や回復者の人権や心情を深く傷つける可能性がある」として、誤解や差別を招く表現を避けるよう要望書を送ったことが23日分かった。
同社ホームページによると、このゲームは実在した戦国武将を操り、関ケ原の合戦などを戦う。実際にハンセン病患者だったとされる武将、大谷吉継をモデルにしたキャラクターが登場し「重い病に侵され、己の身のみに降り掛かった不幸を許容することができず、すべての人間を不幸に陥れることを目的に暗躍する」などと設定している。顔を含む全身を包帯で巻いた姿で描写。「不幸よ、さんざめく降り注げ」「我は人が苦しむ姿を見たい」などのせりふもある。
同学会に一般女性から連絡があり対応を協議。16日付で要望書を郵送した。要望書は「ゲームは遊び的な要素も入っているが、中高生が主な購買層で、彼らはハンセン病の知識をほとんど持っていない。誤解や偏見・差別を招くような表現を避けてほしい」との内容。同学会の石井則久庶務幹事(国立感染症研究所ハンセン病研究センター長)は「ゲームは、人によって受け止め方がさまざまだと考え、抗議ではなく要望という形を取った」と話している。
ハンセン病療養所・菊池恵楓園(熊本県合志市)の工藤昌敏・入所者自治会長は「家族のために我慢して生きてきた人の気持ちを踏みにじる内容。たとえゲームでも許されない」と批判。カプコン広報IR室は「要望書の内容を精査して対応を検討したい」としている。
=2010/02/24付 西日本新聞朝刊=