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きょうのコラム「時鐘」 2010年2月26日
中央で政権交代があると、地方の知事の顔ぶれもがらっと変わった。明治期の官選知事の話である。当時の政党政治が背景にあった
辞令が出たのに赴任せず、そのまま辞任してしまい「幻の知事」と呼ばれた者までいる。在任数カ月の短命知事はざらにいた。現在のように、地方の大統領と呼ばれるのとは大違いである。明治期の知事は「浮き草稼業だった」(日本の歴代知事=平成3年刊)という 明治からの全都道府県知事を紹介する先の一冊に登場するのは官選知事が圧倒的に多いが、なかなか面白い。明治末期に富山県知事から石川県知事に横滑りした李家驩(りのいえたかすけ)。富山県出身で石川県知事(32代)や東京府知事になった館哲二らの経歴も興味深い 第5代石川県知事の岩村高俊は土佐出身で戊辰戦争の軍監として名を残す大物だ。研究も少なく意外と知られていないのが不思議なほどである。地方自治の道のりは長く、歴代知事の顔ぶれは波瀾万丈の地方史そのままである 石川県知事選が幕を開けた。どんなドラマが追加されるのか。官選知事時代と違い、選ぶ県民の力も後世評価されるに違いない。 |