朝青、暴行問題立件なら引退相撲中止も

白色のメガネをかけスーツ姿で来日した元横綱・朝青龍

　暴行問題で今月４日に大相撲を引退した元横綱・朝青龍関（２９）が２４日、成田空港着の日航機でニューヨークから来日した。５日からハワイに渡り、ロサンゼルス、ニューヨークで静養していたが暴行問題は捜査が進んでおり、近日中に警視庁麻布署から事情聴取される可能性がある。立件されれば１０月３日に予定している引退相撲の開催も厳しくなるだけに予断を許さない状況だ。

　黒のスーツにノーネクタイで白いシャツ。長い髪を束ね、白縁のメガネをかけた姿は、横綱の面影が消えて完全に実業家のものだった。朝青龍は空港では無言を貫いたが、１００人を超える報道陣に左手を上げて笑顔をふりまいた。

　５日からハワイ、ロス、ニューヨークと米国内を渡り、１１年間の土俵生活の疲れを癒やした。一方、水面下では母国モンゴルで実質的オーナーを務める「ＡＳＡグループ」がスキー場の運営に乗り出し、実業家として始動。今後は正式にオーナーに就任し、本格的に第２の人生をスタートさせる。

　ただ、実業家として活動する前に難題が立ちはだかる。警視庁麻布署が「事情聴取を検討中です」と明言。近日中に事情聴取を受ける可能性が浮上した。既に相手側の知人男性は事情を聞かれ、暴行の事実を証言。刑法を専門にする日大の板倉宏名誉教授は「仮に朝青龍関が酒に酔って覚えていないと供述しても、知人の証言と提出された診断書からけがを負わせたことは事実。傷害罪での立件は免れない。ただ、示談が成立しているため逮捕はない。書類送検になる」と断言する。

　朝青龍は１０月３日の断髪式と引退相撲（両国国技館）の開催を日本相撲協会に仮申請しているが、正式な許可は出ていない。立件なら引退相撲が却下されることは確実。２億円近い興行収益を実業家としての投資資金に充てたい元横綱にとって実利面で大打撃となり、横綱としての栄光にも大きな傷が付く。都内の自宅で来日中の家族と久々に水入らずの時間を過ごしたが、安らぎの日々はもう少し先になる。