自分は、どのようなスイングをしているのか? ラウンド中はもちろん、練習場などで鏡に映してみても、自分のスイングを客観的に見るのは難しいものです。そこで、私たちのスクールでは、ビデオ画像を解析してのスイング診断を取り入れています。上達には、スイング中の細かい動作や、クラブの位置を確認することが欠かせないからです。
診断する際のポイントの1つとして、スイングプレーン(軌道)が挙げられます。画像上でアドレス時に後方(プレーヤーの右サイド)から見て2本の線を引きます。1本は、クラブシャフトとその延長線の「シャフトプレーン」(写真〔1〕のA)。もう1本は、首の付け根とボールを結んだベン・ホーガンが命名した「ホーガンプレーン」(同〔1〕のB)です。
スイング中、クラブヘッドとグリップエンドが、この2つの線の間を通過することが理想です。しかし、アマチュアの場合、テークバックで内側にクラブを引きすぎてAのラインより下方を通過したり、手だけでクラブを上げようとして、Bのラインより上方を通過したりと、この2本のラインからはみ出るケースが多いのです。
より遠くへ、より正確にボールを放つためには、スイングプレーンを安定させる必要があります。スイングを診断するためのシステムが身近になくても、自分でチェックできる方法があります。ロングアイアン2本と、いす2脚を用意してください。
いすは両足の外側にそれぞれ1足分ほど離して置き、2本のアイアンを「シャフトプレーン」と同じ角度で立ててセットします(同〔2〕、〔3〕)。
アドレスから普段通りにテークバックしてみましょう。持っているクラブが立てかけてあるクラブをなぞるようにテークバックできていますか? 接触してしまう方は、クラブを内側に引きすぎている証拠です。腕と体を同調させながら右へ回し、右ひじの先が地面を指し、あまり右脇を開けないようにするのがポイントです。グリップが右腰の高さまで上がった時、クラブのリーディングエッジが自分から見て、時計の11時から12時の間を指すのが理想です(同〔4〕)。
そしてダウンスイングからインパクト、フォローへと移行します。その際、右側に立てかけたクラブをなぞるようにクラブを下ろし、左側に立てかけたクラブをなぞるようにフォローをとりましょう。左側のクラブに接触するのは、左ひじが引けて、両腕とクラブのローテーションがスムーズにできていない証拠です。グリップが左腰まで上がった時、クラブのリーディングエッジは自分から見て、12時から1時の間を指すようにしましょう(同〔5〕)。
ゴルフは基本を理解した上で、合理的に練習を重ねれば、誰でも上達できるスポーツです。約1年間にわたって連載してきた上達ドリルを繰り返し体得すれば、ゴルフがより楽しくなりますよ。(おわり)
■内藤雄士スクール・オブ・ゴルフ(NYSG)のHPは、http://www.naitoyuji.com/
■井下 幾元(いのした・ちかゆき) 1982年10月28日、徳島県生まれ、27歳。12歳でゴルフを始め、香川西高3年時には「日本ジュニア」出場。東北福祉大ゴルフ部では、先輩の谷口拓也、宮里優作らと公式戦出場。卒業後はゴルフメーカーに勤務し、昨年は谷口拓也のスイングチェッカーとしてツアーに帯同し、8月の「サン・クロレラクラッシック」の優勝に貢献した。現在はアマゴルファーへのレッスンほか、東京・駒場学園高ゴルフ部コーチを務める。