ザ・在日特権──三重県伊賀市で住民税「半減」の優遇措置
『ザ・在日特権』(宝島社/税込900円/ISBN:4-7966-5329-5)
三重県伊賀市で、長年、在日韓国・朝鮮人を対象に住民税「半減」の優遇措置が取られていた事実が報じられている。
「関係者によると、減額措置は、昭和30年代から40年代にかけ、旧上野市(現伊賀市)と地元の在日本大韓民国民団(民団)や在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)との交渉で始まったとみられ、納付額を半減するなどしていた。市は条例などを制定しないまま、最近まで続けていた」(中日新聞2007年11月11日付)
元記事では、この優遇措置を税務課長が悪用して、「減税」分から着服していたという事件が主に報じられている。「弱者」を利用してエリートや権力側がうまい汁を吸い、一方で「弱者」も「既得権」を享受するというニッポンの馴れ合い関係がここにも見られる。
引用文中にある「民団や総連との交渉」とは、いわゆる「五項目合意」に含まれる団体交渉権と同様のものであろう。1976年に総連が国税庁との間に結んだと主張している五項目合意は、1998年11月29日付の産経新聞で報じられて、広く知られるようになった。
・朝鮮商工人のすべての税金問題は、朝鮮商工会と協議して解決する
・定期、定額の商工団体の会費は損金として認める
・学校運営の負担金に対しては前向きに解決する
・経済活動のための第三国旅行の費用は、損金として認める
・裁判中の諸案件は協議して解決する
産経新聞がこの記事を載せた直後、12月8日には朝鮮商工連などが約50人の抗議団を産経新聞に送り込んできて、激しい「圧力」をかけられたという(野村旗守『北朝鮮送金疑惑』より)。この五項目合意は「五カ条の御誓文」とも呼ばれているが、現在は団体交渉権(「朝鮮商工人のすべての税金問題は、朝鮮商工会と協議して解決する」)以外、ほとんど機能していないらしい。
いわゆる「在日特権」とは、大雑把に言えば税金の減免措置問題、および在日神話という「こわばり」のことである。
在日神話という「こわばり」については、強制連行神話の崩壊や、北朝鮮による拉致問題、在日韓国・朝鮮人以外の在日外国人の存在感などによって、大体ほぐれつつある。「こわばり」を背景に地方参政権や歴史認識問題といった政治運動を強引に進めることは、以前に比べて難しくなっている。
一方、税金の減免措置問題については、総連関連施設の固定資産税減免措置を見直す自治体が相次いでおり、特権はなくなりつつある(民団関連施設についても同様)。五項目合意などによる団体交渉権についてはまだまだ不透明だが、今回の住民税優遇措置の発覚などによって、見直しが進んでいくのではないだろうか。
2007/11/12(Mon) 17:12:37 | 政治