奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」で肝腫瘍(しゅよう)の摘出手術を受けた男性入院患者(当時51)が失血死した事件で、業務上過失致死容疑で逮捕された主治医の塚本泰彦容疑者(54)が25日朝、拘置中の奈良県警桜井署で突然倒れ、搬送先の同県天理市内の病院で午前10時45分、死亡が確認された。県警は病死とみている。
塚本容疑者は今月6日、山本病院前理事長の山本文夫容疑者(52)とともに逮捕され、業務上過失致死罪での起訴を目前に控えていた。逮捕後は不眠や食欲不振などを訴え、3回病院に行った。24日に急性腎不全の疑いがあると診断されたという。
捜査関係者によると、塚本容疑者は25日午前7時半ごろ、洗顔や歯みがきなどをした後、いびきのような音を発して倒れた。桜井市消防本部によると、桜井署員から午前7時42分、「うめき声が聞こえたので見に行ったら、倒れており意識がなかった」との通報があった。約4分後に救助隊員が駆けつけた際には心肺停止状態だったという。
県警によると、塚本容疑者と山本容疑者は2006年6月、肝腫瘍の摘出手術で輸血用血液を準備せず、患者を出血多量で死亡させた疑いがある。手術は山本容疑者が執刀、塚本容疑者は助手として立ち会った。調べに対し、塚本容疑者は「腫瘍が良性で、切る必要はないとわかっていたが、山本医師の指示で手術を決めた。(勤務医だったので)従わなかったら病院を辞めさせられるおそれがあった」などと容疑を認めていた。一方、山本容疑者は容疑を否認しているという。