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中国人観光客が日本で「大量買い」をする理由

日本の商品に限定した日本郵便による中国人向けサイト「JapaNavi」

　また、中国で圧倒的なシェアを握るオンラインショッピングサイト「淘宝網（TAOBAO）」でも、日本在住の華僑や留学生によって、多数の日本向け日本製品が出品されている。だが、中国の多くの消費者は、ネットという文明の利器よりも、日本にまで行って買い物することを選ぶ。これは、中国人消費者が見ず知らずのネット出品者を信頼していないことを意味するといえるだろう。

一人の観光客が託される
何十人分もの買い物資金

　まだまだ中国人にとって、国外旅行は簡単にはできないだけに、日本ツアーは羨望の的となる。同時に、友人や親族や仕事仲間など「仲のよい気の知れた知り合い」に対して遠慮をしない中国人は「資生堂のこの型番の化粧品を買ってきて」とお願いする。高い買い物だけにお金は前払いのケースが多い。かくして日本行きチケットを得た旅行者は、数十人分のお使いミッションを抱えて日本にやってくることになる。

　筆者の知り合いの日本旅行の経験多い中国在住中国人ガイドも、日本に仕事で行くときは毎度買い物を頼まれるという。中国に戻るとき荷物が非常に多くなって面倒だが、「気の知れた知り合いの頼みは断れない」のが中国人的筋の通し方だとか。さらには、日本旅行に行くことが決まれば、日本で買ってきたものを前述の淘宝網で売ったり、自身の持つ店舗で売ろうという商魂たくましい中国人もいる。

　中国人が日本に旅行に行くのは、日本製の電化製品・化粧品・アパレルなどに興味があるためであって、中国人が同じ春節に中国国内を観光旅行するのとは全く目的が異なっている。日本でしか買えない日本向け商品を求めて、中国人観光客それぞれが数十人分の大金を携え、ないしは銀聯クレジットカードをフル活用すべく、来日するわけだ。

　月10万円以上の収入がある中国人はまだ少数派だが、中国人観光客をひとりみたら、その人には数十人分の消費力があることを、日本人は心しなくてはならない。