2010年02月25日

トヨタリコール問題での「米公聴会」に物申す

これまでアメリカ人は日本人より理性的と考えていましたが、日本での下院公聴会の報道を見る限り、アメリカ人のレベルが相当下がったと言わざるを得ませんでした。

    

科学の「科」は分けるという意味ですが、問題点が分けられてないため、論点がぼけてしまい、何が問題なのかが全く明確にされていません。

    

サンディエゴでレクサスのアクセルが固定し(被害者が携帯電話で話しています。)暴走、4人が死亡する事故がきっかけになっての「騒動」でしょうが、余りにも「科学的捜査」からかけ離れています。

    

事故原因を推定する前には必要となるデータがありますが、未だに明らかにされていないようです。(ここがトヨタの苦しいところでしょう。)

   

1、事故車は、アメリカで組み立てられたものなのか。日本で製造し輸出されたものなのか。

2、事故原因とされる部品は日本製か否か。

3、同じレクサスES350は、日本では販売されていないのか、いるのか。

4、販売されているとした場合、日本での「アクセルの固定」による暴走はあったのか。

 

私は、東京ディズニーランドでジェットコースターなどの安全運航の責任者を務めてきましたが、整備部門を含め、私たちにはある「定説」がありました。

   
 

それは、「アメリカ製の部品は、日本製に比べ品質が劣る」ということです。最近のアトラクションはどうなっているかは知りませんが、ビックサンダー・マウンテンなど当初のアトラクションはアメリカ製でした。


 
   

整備担当者とともに、日本製の部品への変更が終わるまでは、アトラクションがたびたび停止することは覚悟しなくてはいけないことが、日本側の常識でした。そのくらい、日米の部品製造に関する技術力は違っていたのです。

  
  

アメリカ製の部品を使い、アメリカで組み立てられたとしたら、日本製より何らかの故障を引き起こす確率は高いと私は推測しています。

 
   

次に、事故原因を探る上で決して忘れてはいけない視点があることを明らかにしておきます。それは「メカ、ハード」「信号、ソフト」を分けて考える視点です。

    

トヨタの豊田社長は「設計やプログラムに問題はない」と繰り返していました。一方で被害者は携帯電話で「アクセルが固定した」と証言しています。

  
  

「アクセルが固定した」とはメカニズムが原因の可能性が残ります。アクセルは、人の足で踏みこむものです。それが「固定」するということは、アクセルが「戻らない」と被害者は言いたかった可能性もあるということです。なぜならば、アクセルは「信号、ソフト」で作動するのではないからです。

 
   

私は、運転前に事故防止のためにあることに気をつけています。それは、メガネのハードケースなどの物体が足元に落ちない状態を保つことです。その理由は簡単です。ブレーキの下に挟み込まれブレーキが利かなくなることを恐れるからです。

 
   

レクサスの事故では、反対にアクセルの上部に何かが挟まりアクセルが固定した可能性はないと言い切れるのでしょうか。当然左ハンドルでしょうから、右足で踏み込む位置にあるアクセルの状態を、右側に座る助手席の人は確認することはできなかったでしょう。

  
  

アクセルが固定した原因は、作業員の組み立てミスや整備ミスの可能性も否定できません。

 
   

このように、「メカ、ハード」の領域の要因が存在するにもかかわらず、「信号、ソフト」の領域である設計やプログラムだけを取り上げても問題の解決にはなりません。

 
   

被害者の遺族が公聴会に出られるそうですが、「感情」で真実が判明するわけではありません。アメリカ国民に限らず世界中のマスコミも「感情脳」に支配されることなく、「理性脳」で冷静に対応して欲しい、そう願ってやみません。