広告企画会社Web担当。ブロガー。
『日本経済新聞電子版』はどうすべきだったのか?
2010年02月24日23時07分 / 提供:Parsleyの「添え物は添え物らしく」
そんなこんなで、お尻に火がついてしまったParsleyではありますが。
24日夜の日経カンファレンスルームで開かれた、日本経済新聞社主催、協力アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)のオープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」を聞きに行って参りました。
このフォーラム、実は午後に記者発表があった日本経済新聞電子版を記念してのフォーラムだったわけなのだが。新聞のWebでの有料化の試みは、世界的な潮流とはいえ、まだ成功例はほぼないという状況。当然、無料で読めるニュースに対するインセンティブは何なのですか、という話になる。
それで、フォーラムのオープニングで、このWeb有料版の紹介があったのだけど。スクリーンでのプレゼンで、日経の価値は何かということfで、「ブランド・信頼」と「編集力」だとおっしゃるわけ。だから、ロゴも誌面のものと同じものを敢えて使って、読者に何を伝えるべきか、編集者のセンスでのフィルタリングに価値で勝負する、とのこと。
「あーこれ、どこかで聞いたことある話だなぁ」と思っていると、2007年の9月に毎日jpの記者発表の時とほぼ同じような内容のプレゼンだったのだ。(参照)
日経電子版は毎日jpよりもさらにハードルが高いことに、定期購読者月額1000円、電子版のみだと4000円という課金だということだ。朝夕刊の誌面が完全掲載+マーケットonlineなどの日経グループのコンテンツ+記事検索....etc これでこの値段を出す価値があるのか。個人的は「ないな」と言わざるを得ない。
パネリストの津田大介氏が指摘していたけれど、記事データーベースの日経テレコン21との差別化はどうするのだろう、というのにも「?」が付く。ちなみに、こちらも有料サービスだが、一部オンライン証券会社の講座を持つと無料で利用できるという裏技を佐々木俊尚氏が著書で明かしちゃっています。
毎日jpの時とも思ったのだが、プレゼンの対象のミスマッチングが、今回も繰り返されたように思えてならない。
日経のブランド力を信じている、既存の購読者層に、このサービスをアピールすべきだったのだ。可能ならば、キンドルかiPadの日本語版が出たタイミングで、バンドルで売りまっせ、という話だったなら、なおタイアップとして面白かっただろう。
例えば日経ブランドが訊く広告・PR会社の部長クラス以上とか企業広報とか、未だにANAに入社したいと考えている大学生とかを集めてプレゼンをして、従来の顧客の囲い込みと、将来顧客のオルグを図るべきだったんじゃないかな。
少なくとも、USTやTwitterを日常的に利用しているようなコアユーザーに向けてアピールしたところで、身のない批判や実現の難しい提案しか得られないだろうし、「メディアとジャーナリズム」と題したフォーラムなのに、結局のところ「ぶっちゃけ日経Web有料化どうでしょう?」と内部の方がパネリストに訊いてみてCMにまでダメ出しを頂戴するの巻、という結果にはならなかったと思う。
だいたい、パネリストも日経的には「冒険」をしたつもりだったのだろうけれど、高広伯彦氏に徳力基彦氏に藤代裕之氏って、5年ほど前からネット界隈の有名人で、パネリストとしてお馴染みと言っていい顔ぶれ。例えばそらのさんとか出てきたら「おーっ」って驚いたかもしれないけど。
あと、ジャーナリズムの話にはほとんど触れないまま終わってしまったのは、残念といえば残念だった。
日経IT-PLUSなどでは、外部の書き手も積極的に起用なさっているわけだし、記者だけではない、総合的な情報メディアの構築、という部分ではこれからのジャーナリズムのあり方、ということにも踏み込む部分は沢山あったのにね。
これまた津田氏が、「会場で皆ノートPCに向かってiPhone見てる」みたいな発言をして笑いを誘っていたけれど、先日Parsleyが参加した福島みずほ大臣の記者会見(参照)でも、ほぼ同じような光景だった。大臣が発言すると、ほとんどの記者さんがいっせいにカタカタとキーボードを叩く音が会見場に響く感じ。目の前に資料配られていることだし、一言一句逃すことがそんなに重要なのだろうか?
実際に動画配信があちこちで実施されるようになると、テキストメディアはどうしても速報性では敵わないわけだし、正確さも何もない。
そんな中で、新聞記者でもジャーナリストでもブロガーでも何でもいいのだけど、分析や批判、検証を加えていくというのに最適な人材は誰なのか、それを誰が決めるのか、そういったことを、既存メディアは考える端緒にまで到達していないのではないのだろうか? とにかく自前のコンテンツに自信持ちすぎなんだよ!!
というわけで、PRとしてもフォーラムとしても、お世辞にも成功とはいえなかった今回の会でしたが。
個人的には、このツイートで、高広氏にリツイートして頂いて、徳力氏に笑って頂いただけでも収穫がありました。

……いや、ほんとにほんとうに、お仕事頂けると嬉しいです。連載はもちろん、単発でも!!
・記事をブログで読む
24日夜の日経カンファレンスルームで開かれた、日本経済新聞社主催、協力アジャイルメディア・ネットワーク(AMN)のオープンフォーラム「ネット時代のメディアとジャーナリズム」を聞きに行って参りました。
このフォーラム、実は午後に記者発表があった日本経済新聞電子版を記念してのフォーラムだったわけなのだが。新聞のWebでの有料化の試みは、世界的な潮流とはいえ、まだ成功例はほぼないという状況。当然、無料で読めるニュースに対するインセンティブは何なのですか、という話になる。
それで、フォーラムのオープニングで、このWeb有料版の紹介があったのだけど。スクリーンでのプレゼンで、日経の価値は何かということfで、「ブランド・信頼」と「編集力」だとおっしゃるわけ。だから、ロゴも誌面のものと同じものを敢えて使って、読者に何を伝えるべきか、編集者のセンスでのフィルタリングに価値で勝負する、とのこと。
「あーこれ、どこかで聞いたことある話だなぁ」と思っていると、2007年の9月に毎日jpの記者発表の時とほぼ同じような内容のプレゼンだったのだ。(参照)
日経電子版は毎日jpよりもさらにハードルが高いことに、定期購読者月額1000円、電子版のみだと4000円という課金だということだ。朝夕刊の誌面が完全掲載+マーケットonlineなどの日経グループのコンテンツ+記事検索....etc これでこの値段を出す価値があるのか。個人的は「ないな」と言わざるを得ない。
パネリストの津田大介氏が指摘していたけれど、記事データーベースの日経テレコン21との差別化はどうするのだろう、というのにも「?」が付く。ちなみに、こちらも有料サービスだが、一部オンライン証券会社の講座を持つと無料で利用できるという裏技を佐々木俊尚氏が著書で明かしちゃっています。
毎日jpの時とも思ったのだが、プレゼンの対象のミスマッチングが、今回も繰り返されたように思えてならない。
日経のブランド力を信じている、既存の購読者層に、このサービスをアピールすべきだったのだ。可能ならば、キンドルかiPadの日本語版が出たタイミングで、バンドルで売りまっせ、という話だったなら、なおタイアップとして面白かっただろう。
例えば日経ブランドが訊く広告・PR会社の部長クラス以上とか企業広報とか、未だにANAに入社したいと考えている大学生とかを集めてプレゼンをして、従来の顧客の囲い込みと、将来顧客のオルグを図るべきだったんじゃないかな。
少なくとも、USTやTwitterを日常的に利用しているようなコアユーザーに向けてアピールしたところで、身のない批判や実現の難しい提案しか得られないだろうし、「メディアとジャーナリズム」と題したフォーラムなのに、結局のところ「ぶっちゃけ日経Web有料化どうでしょう?」と内部の方がパネリストに訊いてみてCMにまでダメ出しを頂戴するの巻、という結果にはならなかったと思う。
だいたい、パネリストも日経的には「冒険」をしたつもりだったのだろうけれど、高広伯彦氏に徳力基彦氏に藤代裕之氏って、5年ほど前からネット界隈の有名人で、パネリストとしてお馴染みと言っていい顔ぶれ。例えばそらのさんとか出てきたら「おーっ」って驚いたかもしれないけど。
あと、ジャーナリズムの話にはほとんど触れないまま終わってしまったのは、残念といえば残念だった。
日経IT-PLUSなどでは、外部の書き手も積極的に起用なさっているわけだし、記者だけではない、総合的な情報メディアの構築、という部分ではこれからのジャーナリズムのあり方、ということにも踏み込む部分は沢山あったのにね。
これまた津田氏が、「会場で皆ノートPCに向かってiPhone見てる」みたいな発言をして笑いを誘っていたけれど、先日Parsleyが参加した福島みずほ大臣の記者会見(参照)でも、ほぼ同じような光景だった。大臣が発言すると、ほとんどの記者さんがいっせいにカタカタとキーボードを叩く音が会見場に響く感じ。目の前に資料配られていることだし、一言一句逃すことがそんなに重要なのだろうか?
実際に動画配信があちこちで実施されるようになると、テキストメディアはどうしても速報性では敵わないわけだし、正確さも何もない。
そんな中で、新聞記者でもジャーナリストでもブロガーでも何でもいいのだけど、分析や批判、検証を加えていくというのに最適な人材は誰なのか、それを誰が決めるのか、そういったことを、既存メディアは考える端緒にまで到達していないのではないのだろうか? とにかく自前のコンテンツに自信持ちすぎなんだよ!!
というわけで、PRとしてもフォーラムとしても、お世辞にも成功とはいえなかった今回の会でしたが。
個人的には、このツイートで、高広氏にリツイートして頂いて、徳力氏に笑って頂いただけでも収穫がありました。
……いや、ほんとにほんとうに、お仕事頂けると嬉しいです。連載はもちろん、単発でも!!
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