2010年02月24日
フィギュア女子SPはトリプルアクセルを決めた浅田真央が真の王だった件。
美しい、あまりにも美しい奇跡でした。
日本中が注目したバンクーバー五輪・女子フィギュアの戦いが始まりました。日本の3人娘、金メダルの本命キム・ヨナ、悲しみを力に変える地元の星ジョアニー・ロシェット。かつてない激戦に僕も緊張で震えてしまったほど。こんな壮絶な舞台に立つ少女たちの強さ、美しさはそれだけでも尊いもの。どんな結果が出ても彼女たちを讃えよう、笑顔で帰ってきて欲しい、そう誓って見守った一戦。
結果は本命キム・ヨナが78.50点のSP世界最高得点で首位発進。2位には、SPでは史上初となるトリプルアクセルを決めた浅田真央ちゃんが73.78点で金を射程圏に捕らえます。3位にはお母さんが急逝し悲しみをこらえての演技となったジョアニー・ロシェットが71.36点で飛び込みました。日本注目の安藤美姫さんは64.76点で少し離れた4位、鈴木明子さんは61.02点で11位からの巻き返しを図ります。実質的な金メダル争いはキム、真央、ロシェットの3人に絞られました。3強が頭ひとつ抜けてメダルを分け合った男子と似たような展開。今は順位点をつける採点方式ではありませんが、ジャッジの中にも「誰が金メダルに値するか」という考えはあるはず。金の資格あるスケーターをふるいにかけ選んだSP…といったところでしょうか。この3人の中から金メダルが出ることは間違いないでしょう。
僕は今回の女子フィギュアを見るにあたり、トリノ五輪での戦いをビデオで振り返りました。そこで感じたのは、現在の女子フィギュアの進化のすさまじさ。トリノ大会でのSP得点は66点台が最高だったところで、現在は70点台にまで突入。まぁ採点は基準自体が一緒とは言えないので置いておくとしても、得点以上に演技の内容・完成度が段違いで、いかにこの4年間で各スケーターが自分を磨き上げてきたかがうかがえます。
そして、その先頭を突っ走ってきたのが浅田真央ちゃんだと思うのです。
真央ちゃんはトリプルアクセルという人が真似できない技を、この五輪という大舞台で決めました。歴史上、女子選手でこの技を決めた選手が何人いるか。片手で足りるでしょう。まして五輪で、となれば伊藤みどりさんだけ。みどりさんは1度転倒し、再度挑戦して決めるという流れでしたが、真央ちゃんは一発で決めてみせました。もちろんスピンやステップ、スパイラルでも高レベルの判定を得るなど、ジャンプ以外もクリーンで美しい滑りを披露した真央ちゃん。これだけでもすでに、真央ちゃんのSPはフィギュアの歴史に残る演技。後世の誰が見てもブラボーの拍手を贈る大傑作です。
確かに採点基準に照らせば、3Aを跳ぶよりも余裕のあるジャンプで加点を得る方がトク。今頃それに気づいたワイドショー・お茶の間では、採点に関する議論が一周遅れで始まるでしょう。僕自身も、女子における3Aの希少さを考えれば、基礎点8.2点というのは低すぎると常々思っています。上位選手はほぼ全員ができる3Lzが6.0点あるのに、奇跡の3Aジャンプと2.2点しか差がないというのは馬鹿げた話。GOEで加点を得れば1点や2点簡単にプラスされるのですから。3Aなんか跳ぶのは回転飛行バカです。
だからこそ、男子シングルでは「4回転論争」がわき起こったわけです。そして、その決着をつけるのは真央ちゃんしかいません。真央ちゃんは「4回転派」が掲げる理想を体現しています。すべての要素 をクリーンにこなし、かつ、歴史上でも希少な高難度技を女子フィギュアに持ち込んでいるのです。その点において、ジャンプの軸はブレブレで全体の完成度も低かったプルシェンコとは一線を画すもの。真央ちゃんが「3回転半なんかイラネ」「こんな採点クソ」「フィギュアスケートは後退した」と言えば、この論争は決着せざるを得ません。そして、誰もトリプルアクセルや4回転に挑戦しなくなるでしょう…。
何とつまらない。何と退屈な話。そんなことを想像しながらじゃ、せっかくの真央ちゃんの演技が台無しです!
真央ちゃんはあくまでも、“勝利”ではなく“理想”を目指す勇者。リスク云々、採点云々ではなく、より高みに進むために彼女は3Aを跳び続けてきました。陸上男子ならカール・ルイスやモーリス・グリーン、ウサイン・ボルトが開いてきた「進化の扉」を、日本の少女が押し開いてきたのです。2010年の人間が勝手に決めた得点配分などに拘泥しても詮無きこと。あの銀盤の奇跡を8点と見るか、15点と見るかなんてのは、所詮雑魚同士の取り決めに過ぎません。そんなしょうもないことに憤りながら真央ちゃんの演技を見るのは勿体ない話。あの美しい奇跡を目撃できる、それもあと2回も目撃できる。歓びをもって真央ちゃんのフリー演技を見守りたいもの。
時代によって採点法や評価は変わります。しかし、「進化の扉」を開いた人物は時を超えて敬われ、その名を永く残します。フリーの演技を見た世界の人々が、過去の演技を振り返る後世の人々がどう思うか。それは、たまたまあの場にいる10人そこそこのジャッジが決められることではありません。時代によって評価は変わっても、あのリンクに刻んだ軌跡は変わらないのですから…。
どこまでも高く跳んで、最高の笑顔を見せてください。
金メダルを獲るヤツはたくさんいても、3Aを跳ぶヤツはいないのだから…。
堂々と、自分らしく、頑張れ真央ちゃん!
ということで、真央ちゃんの偉業などについて、24日にフジテレビが中継した「フィギュア女子シングル ショートプログラム」からチェックしていきましょう。
◆ノーミス、パーフェクトの演技で浅田真央のファンタジアを見せてやれ!
緊張感高まるパシフィック・コロシアム。スタンドには多くの観衆が詰めかけ、カナダ国旗、韓国国旗、日の丸などそれぞれの想いを揺らします。国民の期待と重圧を一身に背負うキム・ヨナの精神状態は。直前にお母さんを亡くしたジョアニー・ロシェットは力を出し切れるのか。日本の3人娘はメダルを持ち帰れるのか。多くの視線と注目が集まります。
←日本の男子選手たちも3人娘を見守ります!
※靴紐が切れるようなヤツには、日の丸をひざ掛けにする権利はありません。あしからず。
つ浅田真央公式写真集「MAO」(楽天市場)
そして始まった競技。優勝候補が登場する第4グループまではまったりとした展開。妙に早い出番となった全米選手権2位の長洲未来(※長州力とは無関係)が60点台をマークすると、それをかわす選手は出てきそうもありません。期待のゲデバニシビリたんもせっかくのおっぱいを隠すような衣装で、ジャッジ・フモフモのGOEはマイナス評価。谷間の見え具合、振り付けによる揺れ具合などもいまひとつで演技構成点も伸びません。やはり本当の戦いは第4グループからです。
今季のここまでの戦いからは、キム・ヨナが金メダルの本命。特にSPのプログラムは高得点が出るケースが多く、SPの時点で10点以上もの差がつくこともしばしば。ヘタをすれば、ここで勝負が決まる可能性もあります。カナダ開催という地の利の影響も見逃せません。地元のジョアニー・ロシェットへの声援は当然大きくなりますし、キム・ヨナも地元の英雄ブライアン・オーサーの教え子。オーサーがカルガリーで逃した金のリベンジを託す…とまでは考えなくとも、カナダファミリーのひとりとして声援を集めそう。日本勢はミスなく演技を終え、トップとの点差をできるだけ少なくしておくのが目標です。
メダル候補で最初に登場したのは真央ちゃん。一際大きい歓声が真央ちゃんを出迎えます。とにかく今季はSPで苦しみました。問題は最初のトリプルアクセル。決めれば世界初の偉業で高得点も狙えますが、なかなか成功させられずにここまでシーズンを過ごしてきました。もっと簡単なジャンプで演技を構成する手もありましたが、浅田真央といえばトリプルアクセル。世界が見たいのは「This is Mao Asada」という演技。ならば、跳ぶしかありません!
そして決めた、トリプルアクセル。
誰にもできないことをやってのけた日本の少女。
「みんなができることを上手にできた」と「誰にもできないことができた」の間には天地の差があります。その意味を観衆は知っているのか、演技の途中ではスタンドから自然に拍手が始まり、歓声が起こります。そして演技を終えた真央ちゃんには、スタンド全体から惜しみない賛辞の声。それに応えるようにピョンピョンと跳ね回る笑顔の真央ちゃん。少女の背負った重圧の大きさ、この演技の出来栄え、すべてをその笑顔が物語ります。
↓浅田真央、会心の演技!会心のスマイル!
さすが真の王、浅田真王ちゃんだ!
つ勝者の条件(楽天市場)
真王の完璧な演技のあとに登場するのはキム・ヨナ。今季のSPは常に圧倒的。大差をつけて逃げ切る必勝パターンで国際大会を連勝中。真王のトリプルアクセル攻撃は少なからずプレッシャーとなったはずですが、ボンドガールはそれを受け止め、いつもどおりの演技を披露。3回転ルッツ-3回転トゥループのコンビネーションではジャッジ全員が2点以上のGOE加点をつける高評価。演技全体でも、基礎点では0.5点差だった真王との差を、TESで3.2点、PCSで1.52点ずつ広げ4.72点差でトップへ。この状況でこの演技、さすが金メダル本命候補です。
↓会心のドヤ顔で、真王のプレッシャーを撃ち返しました!
ボンドガール:「キム・ヨナが、金よね!」
ボンドガール:「とにかく金が欲しい」
ボンドガール:「金!金!金!金!」
あまりにもレベルの高い争い。その重圧に気圧されたか、続いて登場した鈴木明子さんは最初の3Fで大きくバランスを崩すなどミスの目立つ演技。コーチからの最後の指示も「とにかく目ヂカラ出せ」と、逆にGOEで減点されそうな勢いで、得点は61.02点にとどまります。
↓どやさ、どやさ、どやさ、どやさ、どやさ!
※目ヂカラは採点項目にはありません。
そして迎えた最終グループ。まず登場したのは、世界選手権・銀、地元の星ジョアニー・ロシェット。彼女は悲しみを力に変え、美しい演技を披露。それを知る観衆からも「頑張れ」という祈りにも似た拍手・歓声が送られます。演技終了と同時にこぼれ出す涙。いや、演技の間だけこらえていたという方が正しいでしょうか。この演技はジャッジからも71.36点の高評価で3位に。悲しみを金にできるのか、フリーに希望をつなぎました。
そして注目は最終演技者、僕らのミキティ。大技だろうが、完成度だろうが、摂食障害だろうが、悲しみだろうが、すべてミキティは経験済み。世界初の女子4回転を決めたのはミキティです。新採点法式に対応しすべての要素を磨き上げてきたのはミキティです。ファンから手紙で「太りすぎ」「痩せろ」と言われて摂食障害になったのはミキティです。悲しんでいるのはロシェットだけではありません。亡き父へ捧げる祈り…それがSP「レクイエム」なのです!
しかし、ミキティの弱点は滑ってみるまでわからない当日のデキ。あの娘の中には、「天才・安藤美姫」と「泣き虫で甘えん坊な少女・ミキティ」が同居しています。天才のありすぎる力を抑え込み、甘えん坊の性根を鍛え上げて融合を図ってきたのがこの4年間。力を出せば勝てるが、いつ力が出るかはわからない…そんなミキティのこの日は、ちょっと弱い方が出てしまいました。最初の3Lz-3Loのコンビネーションはバランスを崩すなど、ジャンプがもうひとつ。結局3Loはダウングレードされ、続けて跳んだ3FもGOEで減点される始末。そのほかの要素でもこまかいレベルの取りこぼしが続き、真王・キム・ロシェットが8点台をそろえたPCSでは7点台のスコアにとどまります。結局ミキティは64.76点の4位。銅メダルを視野に、フリーでの巻き返しを図ります。
↓まだまだ!フリーのクレオパトラがあるぞ!頑張れミキティ!
ひとりでもコケれば、クレオパ寅の餌食じゃ!ガオー!
フリー最終組の滑走順はフラット→ミキティ→金→真王→ロシェット→長州力の順。とにかくフリーでは真央ちゃんのクリーンな演技と、クリーンなトリプルアクセル2回を期待したいところ。採点の結果がどう出たとしても、それはそれ。手出しできないジャッジのことに思い巡らすよりも、今度はいつ見られるかわからない奇跡に集中しましょう。
とりあえず言えるのは、クレオパ寅を見て笑ったヤツは負けだということ…!
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日本中が注目したバンクーバー五輪・女子フィギュアの戦いが始まりました。日本の3人娘、金メダルの本命キム・ヨナ、悲しみを力に変える地元の星ジョアニー・ロシェット。かつてない激戦に僕も緊張で震えてしまったほど。こんな壮絶な舞台に立つ少女たちの強さ、美しさはそれだけでも尊いもの。どんな結果が出ても彼女たちを讃えよう、笑顔で帰ってきて欲しい、そう誓って見守った一戦。
結果は本命キム・ヨナが78.50点のSP世界最高得点で首位発進。2位には、SPでは史上初となるトリプルアクセルを決めた浅田真央ちゃんが73.78点で金を射程圏に捕らえます。3位にはお母さんが急逝し悲しみをこらえての演技となったジョアニー・ロシェットが71.36点で飛び込みました。日本注目の安藤美姫さんは64.76点で少し離れた4位、鈴木明子さんは61.02点で11位からの巻き返しを図ります。実質的な金メダル争いはキム、真央、ロシェットの3人に絞られました。3強が頭ひとつ抜けてメダルを分け合った男子と似たような展開。今は順位点をつける採点方式ではありませんが、ジャッジの中にも「誰が金メダルに値するか」という考えはあるはず。金の資格あるスケーターをふるいにかけ選んだSP…といったところでしょうか。この3人の中から金メダルが出ることは間違いないでしょう。
僕は今回の女子フィギュアを見るにあたり、トリノ五輪での戦いをビデオで振り返りました。そこで感じたのは、現在の女子フィギュアの進化のすさまじさ。トリノ大会でのSP得点は66点台が最高だったところで、現在は70点台にまで突入。まぁ採点は基準自体が一緒とは言えないので置いておくとしても、得点以上に演技の内容・完成度が段違いで、いかにこの4年間で各スケーターが自分を磨き上げてきたかがうかがえます。
そして、その先頭を突っ走ってきたのが浅田真央ちゃんだと思うのです。
真央ちゃんはトリプルアクセルという人が真似できない技を、この五輪という大舞台で決めました。歴史上、女子選手でこの技を決めた選手が何人いるか。片手で足りるでしょう。まして五輪で、となれば伊藤みどりさんだけ。みどりさんは1度転倒し、再度挑戦して決めるという流れでしたが、真央ちゃんは一発で決めてみせました。もちろんスピンやステップ、スパイラルでも高レベルの判定を得るなど、ジャンプ以外もクリーンで美しい滑りを披露した真央ちゃん。これだけでもすでに、真央ちゃんのSPはフィギュアの歴史に残る演技。後世の誰が見てもブラボーの拍手を贈る大傑作です。
確かに採点基準に照らせば、3Aを跳ぶよりも余裕のあるジャンプで加点を得る方がトク。今頃それに気づいたワイドショー・お茶の間では、採点に関する議論が一周遅れで始まるでしょう。僕自身も、女子における3Aの希少さを考えれば、基礎点8.2点というのは低すぎると常々思っています。上位選手はほぼ全員ができる3Lzが6.0点あるのに、奇跡の3Aジャンプと2.2点しか差がないというのは馬鹿げた話。GOEで加点を得れば1点や2点簡単にプラスされるのですから。3Aなんか跳ぶのは回転飛行バカです。
だからこそ、男子シングルでは「4回転論争」がわき起こったわけです。そして、その決着をつけるのは真央ちゃんしかいません。真央ちゃんは「4回転派」が掲げる理想を体現しています。すべての要素 をクリーンにこなし、かつ、歴史上でも希少な高難度技を女子フィギュアに持ち込んでいるのです。その点において、ジャンプの軸はブレブレで全体の完成度も低かったプルシェンコとは一線を画すもの。真央ちゃんが「3回転半なんかイラネ」「こんな採点クソ」「フィギュアスケートは後退した」と言えば、この論争は決着せざるを得ません。そして、誰もトリプルアクセルや4回転に挑戦しなくなるでしょう…。
何とつまらない。何と退屈な話。そんなことを想像しながらじゃ、せっかくの真央ちゃんの演技が台無しです!
真央ちゃんはあくまでも、“勝利”ではなく“理想”を目指す勇者。リスク云々、採点云々ではなく、より高みに進むために彼女は3Aを跳び続けてきました。陸上男子ならカール・ルイスやモーリス・グリーン、ウサイン・ボルトが開いてきた「進化の扉」を、日本の少女が押し開いてきたのです。2010年の人間が勝手に決めた得点配分などに拘泥しても詮無きこと。あの銀盤の奇跡を8点と見るか、15点と見るかなんてのは、所詮雑魚同士の取り決めに過ぎません。そんなしょうもないことに憤りながら真央ちゃんの演技を見るのは勿体ない話。あの美しい奇跡を目撃できる、それもあと2回も目撃できる。歓びをもって真央ちゃんのフリー演技を見守りたいもの。
時代によって採点法や評価は変わります。しかし、「進化の扉」を開いた人物は時を超えて敬われ、その名を永く残します。フリーの演技を見た世界の人々が、過去の演技を振り返る後世の人々がどう思うか。それは、たまたまあの場にいる10人そこそこのジャッジが決められることではありません。時代によって評価は変わっても、あのリンクに刻んだ軌跡は変わらないのですから…。
どこまでも高く跳んで、最高の笑顔を見せてください。
金メダルを獲るヤツはたくさんいても、3Aを跳ぶヤツはいないのだから…。
堂々と、自分らしく、頑張れ真央ちゃん!
ということで、真央ちゃんの偉業などについて、24日にフジテレビが中継した「フィギュア女子シングル ショートプログラム」からチェックしていきましょう。
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緊張感高まるパシフィック・コロシアム。スタンドには多くの観衆が詰めかけ、カナダ国旗、韓国国旗、日の丸などそれぞれの想いを揺らします。国民の期待と重圧を一身に背負うキム・ヨナの精神状態は。直前にお母さんを亡くしたジョアニー・ロシェットは力を出し切れるのか。日本の3人娘はメダルを持ち帰れるのか。多くの視線と注目が集まります。
←日本の男子選手たちも3人娘を見守ります!
※靴紐が切れるようなヤツには、日の丸をひざ掛けにする権利はありません。あしからず。
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そして始まった競技。優勝候補が登場する第4グループまではまったりとした展開。妙に早い出番となった全米選手権2位の長洲未来(※長州力とは無関係)が60点台をマークすると、それをかわす選手は出てきそうもありません。期待のゲデバニシビリたんもせっかくのおっぱいを隠すような衣装で、ジャッジ・フモフモのGOEはマイナス評価。谷間の見え具合、振り付けによる揺れ具合などもいまひとつで演技構成点も伸びません。やはり本当の戦いは第4グループからです。
今季のここまでの戦いからは、キム・ヨナが金メダルの本命。特にSPのプログラムは高得点が出るケースが多く、SPの時点で10点以上もの差がつくこともしばしば。ヘタをすれば、ここで勝負が決まる可能性もあります。カナダ開催という地の利の影響も見逃せません。地元のジョアニー・ロシェットへの声援は当然大きくなりますし、キム・ヨナも地元の英雄ブライアン・オーサーの教え子。オーサーがカルガリーで逃した金のリベンジを託す…とまでは考えなくとも、カナダファミリーのひとりとして声援を集めそう。日本勢はミスなく演技を終え、トップとの点差をできるだけ少なくしておくのが目標です。
メダル候補で最初に登場したのは真央ちゃん。一際大きい歓声が真央ちゃんを出迎えます。とにかく今季はSPで苦しみました。問題は最初のトリプルアクセル。決めれば世界初の偉業で高得点も狙えますが、なかなか成功させられずにここまでシーズンを過ごしてきました。もっと簡単なジャンプで演技を構成する手もありましたが、浅田真央といえばトリプルアクセル。世界が見たいのは「This is Mao Asada」という演技。ならば、跳ぶしかありません!
そして決めた、トリプルアクセル。
誰にもできないことをやってのけた日本の少女。
「みんなができることを上手にできた」と「誰にもできないことができた」の間には天地の差があります。その意味を観衆は知っているのか、演技の途中ではスタンドから自然に拍手が始まり、歓声が起こります。そして演技を終えた真央ちゃんには、スタンド全体から惜しみない賛辞の声。それに応えるようにピョンピョンと跳ね回る笑顔の真央ちゃん。少女の背負った重圧の大きさ、この演技の出来栄え、すべてをその笑顔が物語ります。
↓浅田真央、会心の演技!会心のスマイル!
さすが真の王、浅田真王ちゃんだ!
つ勝者の条件(楽天市場)
真王の完璧な演技のあとに登場するのはキム・ヨナ。今季のSPは常に圧倒的。大差をつけて逃げ切る必勝パターンで国際大会を連勝中。真王のトリプルアクセル攻撃は少なからずプレッシャーとなったはずですが、ボンドガールはそれを受け止め、いつもどおりの演技を披露。3回転ルッツ-3回転トゥループのコンビネーションではジャッジ全員が2点以上のGOE加点をつける高評価。演技全体でも、基礎点では0.5点差だった真王との差を、TESで3.2点、PCSで1.52点ずつ広げ4.72点差でトップへ。この状況でこの演技、さすが金メダル本命候補です。
↓会心のドヤ顔で、真王のプレッシャーを撃ち返しました!
ボンドガール:「キム・ヨナが、金よね!」
ボンドガール:「とにかく金が欲しい」
ボンドガール:「金!金!金!金!」
あまりにもレベルの高い争い。その重圧に気圧されたか、続いて登場した鈴木明子さんは最初の3Fで大きくバランスを崩すなどミスの目立つ演技。コーチからの最後の指示も「とにかく目ヂカラ出せ」と、逆にGOEで減点されそうな勢いで、得点は61.02点にとどまります。
↓どやさ、どやさ、どやさ、どやさ、どやさ!
※目ヂカラは採点項目にはありません。
そして迎えた最終グループ。まず登場したのは、世界選手権・銀、地元の星ジョアニー・ロシェット。彼女は悲しみを力に変え、美しい演技を披露。それを知る観衆からも「頑張れ」という祈りにも似た拍手・歓声が送られます。演技終了と同時にこぼれ出す涙。いや、演技の間だけこらえていたという方が正しいでしょうか。この演技はジャッジからも71.36点の高評価で3位に。悲しみを金にできるのか、フリーに希望をつなぎました。
そして注目は最終演技者、僕らのミキティ。大技だろうが、完成度だろうが、摂食障害だろうが、悲しみだろうが、すべてミキティは経験済み。世界初の女子4回転を決めたのはミキティです。新採点法式に対応しすべての要素を磨き上げてきたのはミキティです。ファンから手紙で「太りすぎ」「痩せろ」と言われて摂食障害になったのはミキティです。悲しんでいるのはロシェットだけではありません。亡き父へ捧げる祈り…それがSP「レクイエム」なのです!
しかし、ミキティの弱点は滑ってみるまでわからない当日のデキ。あの娘の中には、「天才・安藤美姫」と「泣き虫で甘えん坊な少女・ミキティ」が同居しています。天才のありすぎる力を抑え込み、甘えん坊の性根を鍛え上げて融合を図ってきたのがこの4年間。力を出せば勝てるが、いつ力が出るかはわからない…そんなミキティのこの日は、ちょっと弱い方が出てしまいました。最初の3Lz-3Loのコンビネーションはバランスを崩すなど、ジャンプがもうひとつ。結局3Loはダウングレードされ、続けて跳んだ3FもGOEで減点される始末。そのほかの要素でもこまかいレベルの取りこぼしが続き、真王・キム・ロシェットが8点台をそろえたPCSでは7点台のスコアにとどまります。結局ミキティは64.76点の4位。銅メダルを視野に、フリーでの巻き返しを図ります。
↓まだまだ!フリーのクレオパトラがあるぞ!頑張れミキティ!
ひとりでもコケれば、クレオパ寅の餌食じゃ!ガオー!
フリー最終組の滑走順はフラット→ミキティ→金→真王→ロシェット→長州力の順。とにかくフリーでは真央ちゃんのクリーンな演技と、クリーンなトリプルアクセル2回を期待したいところ。採点の結果がどう出たとしても、それはそれ。手出しできないジャッジのことに思い巡らすよりも、今度はいつ見られるかわからない奇跡に集中しましょう。
とりあえず言えるのは、クレオパ寅を見て笑ったヤツは負けだということ…!
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コメント一覧
1. Posted by ぶほ 2010年02月24日 19:34
やっぱりオチはミキティか
2. Posted by ま 2010年02月24日 20:08
面白い!!前半で感動しつつ後半はw
解説にも突っ込んで下さい(^0^)村主さん。。。
解説にも突っ込んで下さい(^0^)村主さん。。。
3. Posted by 熱血応援団長 2010年02月24日 20:19
浅田真央選手完璧でした!
フリーも期待しています
フリーも期待しています
4. Posted by あ 2010年02月24日 20:20
村主の妹は可愛かった
5. Posted by とおり 2010年02月24日 20:32
フリーの真王の演技が今から楽しみでなりません。
6. Posted by ジュノ 2010年02月24日 20:33
フモフモさん、はじめまして。そしてありがとうございます胸の中にあった釈然としない思いが、フモフモさんの文章読んで、スッキリしました。
7. Posted by まじかな 2010年02月24日 20:35
号外?
8. Posted by あ 2010年02月24日 20:48
ここにきてまた素晴らしい文章!うなりました。
モヤモヤしたものを昇華させてもらえた思いです。自分もフリーはジャッジ云々抜きに、真央ちゃんの演技を純粋に楽しもうと思います。
ありがとうフモさん。
モヤモヤしたものを昇華させてもらえた思いです。自分もフリーはジャッジ云々抜きに、真央ちゃんの演技を純粋に楽しもうと思います。
ありがとうフモさん。
9. Posted by nao 2010年02月24日 20:53
まったく同感です。流れに乗るのではなく、流れを変える者の輝き。
10. Posted by ラッキーストライク 2010年02月24日 21:06
楽しく読ませてもらいました。フリーでさそり固めがキマれば長州の逆転金もありますかね?
僕も多くの人と同じくジャッジに色々思うところあったんですが今さっき解説の八木沼さんの言葉に驚かされました。
「追いかける立場の方が強い」
当たり前の事だけど、完全に忘れてました。
真央ちゃんにはフリーでもう一度歴史を塗り替えて欲しいっすね。
僕も多くの人と同じくジャッジに色々思うところあったんですが今さっき解説の八木沼さんの言葉に驚かされました。
「追いかける立場の方が強い」
当たり前の事だけど、完全に忘れてました。
真央ちゃんにはフリーでもう一度歴史を塗り替えて欲しいっすね。
11. Posted by うーん 2010年02月24日 21:14
真央のトリプルアクセルが果敢な挑戦であればそれでいいけど、
真央の場合はルッツが変だから仕方なく跳んでるだけだし
伊藤みどりと比べるのはちょっとね。
真央の場合はルッツが変だから仕方なく跳んでるだけだし
伊藤みどりと比べるのはちょっとね。
12. Posted by きゃわわ 2010年02月24日 21:45
仕方なく跳んでるだけって、そもそも跳べることがすごいと思うんですが…。
トリプルアクセルを跳べるのは、現世界で魔王ただ一人。
そこは認めないと。
トリプルアクセルを跳べるのは、現世界で魔王ただ一人。
そこは認めないと。
13. Posted by てんちゃん 2010年02月24日 21:57
村主妹は普通に喋れて普通の顔です。つまんないぞ、顔芸の一つでもしろい。
14. Posted by 螺旋の力で3A突破! 2010年02月24日 21:59
真央ちゃん何かに似てると思ったらガンメンに見えました。フモピーコさんの(おもしろ)衣装チェックでスルーなんて!
15. Posted by 靴紐には気をつけろ 2010年02月24日 22:18
ミキティ、SP終わって3位に点差を開けられての4位。
どこかで見たような…。
どこかで見たような…。
16. Posted by お米 2010年02月24日 22:18
毎度高尚な文章を提供してくださり誠にありがとうございます。
今回の男子フィギュアの優勝もそうですし、前回トリノの荒川さんもそうでしたが、採点基準やジャンプの出来云々よりも、自分の本当に表現したいことを信念持って演じた人が金メダルにふさわしいと評価されたのかもしれませんね。
確かにミスは気になりますが、あまりジャッジに気を取られずに自分の培ったスケートを存分に発揮してほしいと思います。
でもやっぱり本音は真央ちゃんに期待したいですね。がんばれ日本(^O^)/
今回の男子フィギュアの優勝もそうですし、前回トリノの荒川さんもそうでしたが、採点基準やジャンプの出来云々よりも、自分の本当に表現したいことを信念持って演じた人が金メダルにふさわしいと評価されたのかもしれませんね。
確かにミスは気になりますが、あまりジャッジに気を取られずに自分の培ったスケートを存分に発揮してほしいと思います。
でもやっぱり本音は真央ちゃんに期待したいですね。がんばれ日本(^O^)/
17. Posted by え 2010年02月24日 22:29
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
>期待のゲデバニシビリたん
18. Posted by 2010年02月24日 23:10
「どやさ、どやさ、どやさ、どやさ、どやさ!」
クソワロタw
クソワロタw
19. Posted by はて? 2010年02月24日 23:40
>>12
少なくとも現役女子選手なら、キミー・マイズナーと中野友加里は3A跳んだことあります。
バンクーバーオリンピックで3Aを跳んでくるのは浅田選手だけ、というのが正しいかと。
確かに浅田選手が3Aを跳ぶことは凄いことですし、3Aの得点も低いとは思いますが、3Aだけの論議になってしまうのは何だかなーと思います。
少なくとも現役女子選手なら、キミー・マイズナーと中野友加里は3A跳んだことあります。
バンクーバーオリンピックで3Aを跳んでくるのは浅田選手だけ、というのが正しいかと。
確かに浅田選手が3Aを跳ぶことは凄いことですし、3Aの得点も低いとは思いますが、3Aだけの論議になってしまうのは何だかなーと思います。
20. Posted by ややや 2010年02月24日 23:45
ここ5大会SPでトップだった選手が金メダルを取れていないのは有名な話。
21. Posted by ご 2010年02月24日 23:53
真央ちゃんの演技後の小さいジャンプは3Aくらい感動しましたよ
22. Posted by Lasakongawa 2010年02月25日 00:15
編集長、俺のミライさんを長州力だなんてひどすぎます(泣)
23. Posted by ポン太 2010年02月25日 00:30
金メダルにからめるだけでも偉大
24. Posted by 名無し 2010年02月25日 01:03
SPでの3Aは浅田が史上初と聞きましたが。
25. Posted by ナンシー・ケリガン 2010年02月25日 02:28
ちょうどお昼だったんでリアルタイムに見ていましたけど真央ちゃんは露出が足りないですね。キムヨナの腋のジョリジョリを見て興奮しつつ、くるよ師匠の演技もヨカッタナーとくつろいでおりました。しかし、一番良かったのは長州小力の鼻血を出しながらのスピンターンですね。
26. Posted by あ 2010年02月25日 02:31
ドヤサドヤサwww
27. Posted by E.T. 2010年02月25日 02:34
ガンバレ浅田!魔王になれ!
ガンバレ安藤!殿の結果は忘れろ!
やばい・・・SP4位って・・・。
ガンバレ安藤!殿の結果は忘れろ!
やばい・・・SP4位って・・・。
28. Posted by 佐藤 貝 2010年02月25日 02:35
「手出しできないジャッジのことに思い巡らすよりも、今度はいつ見られるかわからない奇跡に集中しましょう」
末尾のこの文を読んで、モヤモヤしていた気分がすっきり。
当日はすでに今から興奮している婆さんと一緒に真央ちゃんを応援しまーす。
ちなみに(完璧にやれば)勝つのは真央ちゃんだと思います。キムさんは完璧にやっても「100点」、でも真央ちゃんは「150点」のレベルで勝負してると思うからです(ど素人意見)。
末尾のこの文を読んで、モヤモヤしていた気分がすっきり。
当日はすでに今から興奮している婆さんと一緒に真央ちゃんを応援しまーす。
ちなみに(完璧にやれば)勝つのは真央ちゃんだと思います。キムさんは完璧にやっても「100点」、でも真央ちゃんは「150点」のレベルで勝負してると思うからです(ど素人意見)。
29. Posted by あるとり 2010年02月25日 07:01
>金メダルを獲るヤツはたくさんいても、3Aを跳ぶヤツはいないのだから…。
いいなぁ、この言葉。
フモフモさん、さすがです。
いいなぁ、この言葉。
フモフモさん、さすがです。
30. Posted by
2010年02月25日 07:22
浅田もキムヨナも本当に凄いよなあ。
点数とか国籍とか全部忘れて、ただただ二人の天才に見惚れてたい。
点数とか国籍とか全部忘れて、ただただ二人の天才に見惚れてたい。
31. Posted by 福耳 2010年02月25日 07:28
”どやさどやさ”に珈琲噴いちまったw
32. Posted by ぬ 2010年02月25日 10:30
イイ事書きますねー☆
フリーの真央ちゃんの演技も楽しみですね。
でも、できることなら真央ちゃんに金メダル取らせてあげたいな。
てかフモフモさん、信長、いや信成に厳しいですねw
フリーの真央ちゃんの演技も楽しみですね。
でも、できることなら真央ちゃんに金メダル取らせてあげたいな。
てかフモフモさん、信長、いや信成に厳しいですねw