先日、奈良県は2年遅れで全国で最後となる保健医療計画の案を公表しました。パブリックコメントを募集していますので、私も意見をメールしました。その内容は以下のとおりです。
第5節 3.具体的な取組策(救急) についてです。
「救急患者を断らない医療体制の確立」のため、管制塔機能等々の施策を掲げていらっしゃいます。それはそれで結構なことで、是非とも前向きに進めて頂きたいと思います。 しかし救急を断る根本原因への踏み込みが弱すぎると思いますし、結果 施策も形だけのものになっているように思えてなりません。 二次救急病院が自分のミッションを忘れて、「ベッド満床」とか「医師不在」といった言い訳にもならない言い訳で救急を断る原因は様々ですが、私経験上以下のような理由があると思っています。
1. 救急は赤字で採算が取れない。よって救急は極力やりたくない。
2. 特に、休日や夜間は人手も足りないし、また救急のための人手は置きたくない。 3. そもそも、医師数等もぎりぎりで回しており、救急に人を回す余裕はない。
4. しかし、急性期病院を名乗っている以上、形だけでも救急告示病院の看板は欲しいし補助金も欲しい。
5. 医療過誤が怖い。
6. 当直医師は医局派遣の若手で経験も少なく、救急患者には対応できない。
7. 医師が救急受入を了解しても、看護師他のスタッフが多忙とか何とかで嫌がる。 8. 専門外。指先の火傷 程度なのに、内科医なので処置できない もしくは しない。
9.他諸々の理由。
10.致命的なものは、社会の公器たる意識が無い もしくは希薄なこと。
こうした様々な理由が複雑に絡み合った結果救急患者のたらい回しが発生するわけですが、こうした根深い理由はそう簡単に解決できるものではありません。 県としての医療体制の確立とは「仏を作る」ことなのでしょうが、「魂を入れる」こととは別の話だと思います。現在の奈良県(全国レベルでも同じですが)の公的病院や民間病院は、社会の公器であるという自覚がないままに、救急の万全受入という社会的使命を放棄しています。こうした現状のお粗末な意識レベルは、そう簡単に改善されるものではなく、結局“仏は作れども魂が入らず”ということになります。そう考えておいたほうが良いと思います。
そこで少々乱暴な提案をします。性悪説に立った荒療治の話ですので医療界ではご法度かもしれませんが、今が今の酷い状況なのですから県民は理解してくれることと思います。
1. 救急告示病院は、24時間365日対応を原則とする。
2. 輪番病院は互いに協力のうえ、特に圏域内の救急患者は100%受け入れる。 3. 救急告示病院の「救急患者拒否率」を固有名詞で公表する。公表には抵抗があるかと思うがこれくらいのショック療法が必要な状況。少なくとも県の段階で把握する。
4. 拒否率改善を県が指導し、改善が見られない場合は救急告示病院の指定を取り消す。
以上 独断と偏見の提案ですが、現下の“弛みきって社会的責任を忘れた”救急病院を再生しなければ、そもそもの地域医療崩壊は決して止まりませんし、その再生はあり得ません。 性善説で自主性に任せておくわけにはゆきません。地域医療の末期的状態を憂える一人の県民として申し上げた次第です。今回の計画の実行は待ったなしの最後のチャンスで、この機を逃すと未来永劫地域医療再生はないと思います。私は生駒市の住民ですが、計画中の生駒市民病院はこの医療崩壊を再生へと導いてくれる先導役になって呉れると思っています。
ご覧になってみて下さい。
NEWS ZERO「救急崩壊」1日目
患者を断らざるを得ない「受け入れ不能」の実態。
http://www.youtube.com/watch?v=Bua7R0bQioo
NEWS ZERO「救急崩壊」2日目
経営不振で「2次救急」が次々と撤退、「2次救急」レベルの患者が「3次救急」へ…。
http://www.youtube.com/watch?v=sQ7ufv7bfzM
NEWS ZERO「救急崩壊」3日目(1/2)
夜間救急に多数の患者が押し寄せパンク状態、その多くが、救急医療が不要な「軽症患者」。
http://www.youtube.com/watch?v=akEbC5khXKE
NEWS ZERO「救急崩壊」3日目(2/2)
「私たちの病院を守ろう」と立ち上がった市民。
http://www.youtube.com/watch?v=8VQlgK3UgQQ
上の動画をもとにして書いた記事です。読んでみて下さい。
http://krtsan.jugem.jp/?eid=146
いくら「仁術」や「モラル」や「使命感」や「人を救いたい気持ち」があっても、「マンパワー」「キャパシティ」「リソース」が無ければ、どうする事も出来ない。
いくら「命は大切だ」「命を大切に」と叫ぼうが、全ての人命を助けることは出来ないし、死んだ人を生き返らせることは出来ない。
こんな当たり前の事も理解しようとせず、「命は大切だ」「命を大切に」という「命は地球より重いんだ」論を振りかざして、医療従事者の限界や、医療そのものの限界を無視した要求を続ける人間がワンサカいる現状では、どうあがいても医療の完全崩壊は免れないでしょう。
「それでも医者か!」
「『医は仁術』は死語になったのか」
「命より金儲けのほうが大事なのか」
「患者を受け入れられない病院は看板を返上しろ」
「殺人病院だ!」
「病院が患者を殺した!」
「ベッドが無い?そんなの理由になるのか!」
「ベッドが無ければ廊下に寝せればいいじゃない」
「熱意が欠如している!」
「救いたい!という気持ちが無い!」
「ドラマのような熱意のある医者はいないのか!」
そういう、今の医療の窮状に無理解な輩の暴言が、限界状況で頑張っている医師の心を折った事で、医師不足(具体的に言うと、勤務医不足)に拍車をかけているんですよね…。
こうして救急受け入れ問題は更に悪化する…と。
このままでは「たらい回せる病院すらなくなり立ち往生」という日が来てもおかしくないでしょうね。
↓
●実際に病院が救急を撤退する、もしくは病院自体が倒産する
↓
●その病院が受け入れていた、もしくは受け入れるはずだった患者が他の病院に流れ込む
↓
●その病院がキャパシティオーバーで受け入れ不能に
↓
●患者を受け入れない救急など潰して(以下延々とループ)
…。
……。
………。
10リットルまでの水しか入らないバケツには、11リットルの水は入りきれません。
1リットルの水がこぼれてしまった事で、周囲の人間が「なんだこのクソバケツ!」と足蹴にしたら、
バケツが凹んで、10リットル入れられたはずの物が、9リットルまでしか入らなくなりました。
…っていうのが、今の日本の医療崩壊(ていうか、医療に無理解な人間による医療破壊)の現状。
教訓とかそういう以前の問題。
是非あなたがやってください。
もう心が折れたんです。
一回でもたらい回しした病院は救急告示を取り上げましょう。
以後救急患者を診ることを許さない病院としましょう。
ぜひともそんな病院で働きたい。
何故医者が患者を診たがると思うのだろうか?
貴方は理由2,3で指摘しているのに?
強制したって無理ですよ。
甘えるのもいい加減にして欲しいです。
診て欲しかったら金持って来いと言いたいですね。
指先の火傷程度で夜間に救急病院を受診するんですか?
夜間救急の意味分かってます?
それもせず、日本で最低水準の医療資源への投資しかしてこなかった奈良県住民が、何の権利があって医療のメリットを受益できるものか。
今ですら、妊婦の緊急事態には、大阪府側の救急診療体制に「ただ乗り」している県ではないか。
このブログ主は、大淀病院事件で亡くなられた若き婦人とそのご主人の悲しみを、一体全体なんだと思っているのだろうか。大阪府や京都府の医療体制にただ乗りしてばかりで、それでこのご一家の悲しみを汲み取れるとでも思うのか。反省が足りない。
ブログ主にでも出来る事がひとつある。
全財産を、「医療に使って下さい」と言って奈良県に差し出す事だ。
それもせず、ただ他人である医者や医療機関にあれこれと要求するばかりの下劣な根性には、本当にあきれ返るばかりだ。
fumichan様
ban様
寺内元帥様
ええええ様
生駒市の市民税を大増税しろ様
コメント有難うございます。
何せ、お粗末な経験に基づく独断と偏見のブログです。
色々勉強させていただきます。今後ともご指導をお願いします。
>>「ベッド満床」とか「医師不在」といった言い訳にもならない言い訳で
マンパワーの欠如、キャパシティの欠如は「これ以上ないくらいに決定的な理由」でしょう?
「やれ弾丸がない、食う物がないなどは戦いを放棄する理由にならぬ」ですか?
>4. しかし、急性期病院を名乗っている以上、形だけでも救急告示病院の看板は欲しいし補助金も欲しい。
「救急指定を返上したいけれど、自治体が返上させてくれない」ってケースが多数あるんですがね…。
補助金?雀の涙ですよ?
そもそも、補助金に関して文句を言うならば
「補助金がないと救急をやっていけないシステムなのはおかしくないか?」
「診療報酬だけでも救急をやっていけるようにすべきではないのか?」
となぜ言わないのですか?
>5. 医療過誤が怖い。
正しくは「正当な医療行為でも患者が不幸になってしまうという『医療の限界』までもが『医療過誤』とされることが怖い」でしょう。
割り箸事件、大野病院事件、加古川心筋梗塞事件、奈良心タンポナーデ事件、福島VBAC訴訟、などなど…。
(「墨東病院安全靴事件」はこれらのトンデモ事件のうちにカウントしてもいいのかしら?)
>8. 専門外。指先の火傷 程度なのに、内科医なので処置できない もしくは しない。
専門外の医師が処置できなくなったのは、間違いなく奈良心タンポナーデ事件の判例の影響でしょう。
文句を言うなら、現場の医師ではなく、司法であるべきでは?
そもそも、「指先の火傷程度」で救急は必要ですか?
救急医療が不要な軽症患者が、現場ののマンパワー・リソース・キャパシティを削ってしまっている事も、救急受け入れ不能の要因になっているのでは?
>4. 拒否率改善を県が指導し、改善が見られない場合は救急告示病院の指定を取り消す。
そんな事をしたら、その病院が受け入れていた患者、または受け入れるはずだった患者がほかの病院にあふれてそこがキャパシティオーバー…っていう「医療崩壊のドミノ」が起きる危険性があるんですが…。
…。
……。
………。
正直、「患者の受け入れを断るとは何事だ!!」なんて言葉を吐くのは、ちゃんと患者を受け入れられる体制を提供してからにしやがれ!!と言いたいんですがねぇ…。
「弾だけしか持たされずに前線に送り込まれて、『これでは戦えない』と撤退したら銃殺刑」レベルに無茶苦茶です。