トヨタ内部文書、07年フロアマットリコールでの費用節減を強調

2010年 02月 22日 13:41 JST
 

 [ワシントン 21日 ロイター] トヨタ自動車(7203.T: 株価, ニュース, レポート)が、フロアマットのリコールという比較的安価な対応により米当局にトヨタ車の急加速問題をめぐる2007年の調査を終了するよう説得し、1億ドル超を節減したことが、同社の内部文書で明らかになった。

 リコールをめぐる今週の公聴会を前に、トヨタ車の安全性をめぐる危険サインへの米当局の対応を同社が遅らせたかどうかをめぐり、あらたに疑問が浮上している。

 この文書は、2009年7月にワシントンのトヨタ従業員が稲葉良睨・北米トヨタ自動車(TMA)社長向けに準備した報告書とみられ、24日の米下院監督・政府改革委員会公聴会への豊田章男社長の出席に先立ち同委員会に提出され、21日に明らかにされた。

 文書は、トヨタ従業員が1億ドル超の節減を強調する内容となっており、同社が急加速に関する苦情を看過あるいは無視したか、また安全当局の対応が十分だったかをめぐる議論がいっそう加熱することは必至とみられている。

 文書は、急加速の問題を「重要な」安全問題として挙げ、米当局が強制リコールについて態度を硬化させていたと指摘。「交渉によってカムリと(レクサス)ESの『部品』のリコールで折り合い」をつけたことで1億ドル超を節減し、米高速道路交通安全局(NHTSA)による欠陥指摘を回避したとして、ワシントンのトヨタ安全チームを評価している。

 トヨタは過去数カ月にわたり、アクセルペダルの不具合やフロアマットの問題などで意図しない急加速が起きる恐れがあるとして、世界で850万台超をリコールしたが、2009年8月の自動車衝突事故以前は、急加速問題に関するの苦情への対応を「カムリ」と「レクサスES350」の5万5000件のフロアマットのリコールにとどめていた。

 トヨタは21日、事業運営全体について徹底的な調査を行っているとあらためて強調し、「当社の最優先事項は顧客の安全であり、一つの内部文書からそれを否定する結論を導くのは不適切」との見方を示した。

 一方、米運輸省は、安全性問題に対するトヨタの対応の遅れを浮き彫りにする文書だとし、同省の報道官は電子メールで送った声明で「残念ながら、この文書が多くを語っている」と表明した。

 
 
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