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フォトギャラリーNo.12 <表紙の人・特別版>「女優・原節子」 平成16年9月号
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原節子の輝き
「永遠の処女」と呼ばれた女優・原節子。その気高さ、美しさの虜となった者は数知れない。昨年この世を去った写真家・秋山庄太郎氏も原節子に心底惚れたファンの一人であり、彼女が四十二歳で引退するまでその輝きを撮り続けた。
今春、東京・南青山にある秋山氏のアトリエにて多数のガラス乾板が発見された。幸いなことにほとんど無傷の状態だった。ここに掲載する写真の中には、今日まであまり発表されることのなかったと思われる作品もある。
大変な照れ屋だった原節子が、自宅へ招いて撮影を許すほど信頼していた写真家に見せた素顔。永遠の大スター、原節子の歴史的とも言える写真である。
◇ ◇ ◇
戦中戦後社会の「希望の星」
昭和十年、十五歳のとき『ためらふ勿れ若人よ』でデビュー。日独のクォーターで、吸い込まれそうな大きな瞳と豊かな美貌が評判となった。
素顔の原節子は、小津安二郎監督作品で演じた貞淑な娘というより、黒澤明監督作品『わが青春に悔なし』(昭和二十一年)や吉村公三郎監督作品『安城家の舞踏会』(昭和二十二年)で演じた明るく気丈なヒロインに近かったという。それゆえ自然で伸び伸びとした演技が観る者に希望と感動を与えたのだろう。戦中戦後の混乱した社会の中で、原節子は日本人にとって「希望の星」だった。
しかし女優としてはまだこれからというときに引退。その後はマスコミやファンと一切連絡を断った。度重なるラブコールにも応じず、その徹底した沈黙は見事な程だ。現在、鎌倉市内の自宅にひっそりと暮らし、その姿を知る者はほとんどいない。
撮影 秋山庄太郎
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「正論」平成16年9月号 |
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