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【政治】

『参院選前に支給を』子ども手当法案審議入り 民主 急ぐ

2010年2月24日 朝刊

自民が審議拒否、欠席のなか10年度子ども手当法案が実質審議入りした衆院本会議=23日、国会で

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 2010年度に中学卒業までの子ども1人につき月額1万3000円を支給する子ども手当法案が23日、衆院本会議で審議入りした。民主党が自民党欠席の中、審議を急いだわけは、参院選前の6月の初回支給に向け、年度内成立で準備期間を確保したいからだ。ただ、看板政策にしては10年度支給に限定した暫定法案で、公約した月額2万6000円の満額支給にメドは立っていない。(吉田昌平)

 本会議場に自民党議員もいなかったが、ひな壇に鳩山由紀夫首相の姿もなかった。

 首相は議場で長妻昭厚生労働相の趣旨説明を聞いていたが、野党は「なぜ首相が出て説明しないのか」(公明党の古屋範子氏)と批判した。

 首相がひな壇に座らなかったのは、民主党が子ども手当法案を首相が登壇し、趣旨説明を行う最重要法案(重要広範議案)に“格上げ”するのを拒んだためだ。重要広範に位置付けると「参院では(野党が)三週間審議が必要と理屈をつけてきたこともある」(高嶋良充筆頭副幹事長)として、成立が四月にずれ込むのを嫌ったようだ。

 子ども手当は児童手当と同様、六、十、二月の年三回に分けて支給する仕組み。内閣支持率の低下や、民主党系候補の長崎県知事選敗北などを受け、支給開始を参院選の弾みにしたいとの切実な思いが強まっているのは間違いない。

 もっとも、そんな思い入れとは裏腹に、制度の枠組みは不完全のままだ。

 子ども手当は当初、児童手当を廃止して創設するはずだったが、地方負担を実質的に残すため、手当の一部として児童手当制度を存続させた。昨年の衆院選で約束していた全額国庫負担を棚上げする一方、支給金額も一〇年度は半額なので、野党は「実態は児童手当の拡充法案」と批判した。

 一一年度以降の満額実施には、必要財源が年約五兆三千億円(一〇年度国庫負担は約一兆五千億円)に跳ね上がる。地方負担の扱いも決まっていないのが実情だ。首相は二十三日夜、満額支給を目指す意向をあらためて示したが、長妻氏は一一年度以降について「一一年度の予算編成過程であらためて検討する」と歯切れが悪かった。

 

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