ピン芸人No.１を決める「Ｒ-１ぐらんぷり２０１０」決勝が２３日、東京・フジテレビで行われ、あべこうじ（３５）が初優勝し、史上最多エントリー３５３９人の頂点に立った。２度のＶ経験があるザ・プラン９のなだぎ武（３９）、エハラマサヒロ（２７）とのファイナルを制し、６度目の決勝で悲願を果たしたあべは涙をにじませ、賞金５００万円を獲得した。
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“６度目の正直”に、うざいキャラは崩壊した。審査員７人中、６人が推した圧勝の瞬間、とめどなくあふれてくる涙を我慢できなかった。両手を掲げたあべは「もう、やっと（大会から）卒業できる…」と言葉を絞り出した。
フリップを利用するスタイル全盛時代に、センターマイク１本の漫談家が意地を見せた。決勝では芝居をまぜながら、濃密なお昼のドラマをいじって２位でファイナル進出。正念場のラストは「ドレミの歌」の替え歌で審査員の落語家・桂三枝（６６）らをうならせた。
何度もあきらめかけた。０６年の準優勝翌年には、まさかの準決勝敗退。迷いが生じ、コントも試した。ネタ後に舞台裏で号泣したこともある。しかし、最後は原点に戻った。しゃべくり勝負と決めたあべは、その後もＲ-１に懸けた。悩みに悩んだ末に増えた白髪は染めている。
優勝会見では、今まで見せたことのない“優しく素直なあべちゃん”に。賞金５００万円は、支えてくれた後輩へハワイ旅行を贈ることなどを照れながら明かした。ピン芸人の頂点を極めたことで、早くも仕事のオファーも舞い込んだ。２７日のフジテレビ系「めざましどようび」、ＴＢＳ系「王様のブランチ」に新王者として生出演する。
「やっと出なくてよくなった。出たくない、もう」。全身全霊を傾けた大会でやり切ったあべ。涙が乾くと同時に明るくうざい、でも最高に輝く笑顔が戻っていた。