キタとミナミにユニーク飲食街 街づくり会社、再開発に一役…高島屋と堂島のホテル

料亭〜居酒屋まで３５店・料理人試験選抜

　大阪の繁華街、キタとミナミに今春、ユニークな飲食街が誕生する。実技試験で選抜した若手料理人の店を集めた大阪・堂島の「ホテル　エルセラーン大阪」と、高級料亭から居酒屋まで３５店が並ぶ高島屋大阪店の増床部分。企画立案や店舗誘致を手がけたのは街づくり企画会社のケイオス（大阪市）で、隠れた名店を発掘し、全国各地の再開発計画の集客力向上に一役買っている。

「福太郎」の中西保夫社長（右）と高島屋への誘致について話し合う澤田充さん（中央）ら（大阪市中央区で）＝守屋由子撮影

　大阪・千日前のねぎ焼き・お好み焼きの人気店「福太郎」は３月２日、高島屋で開店する。中西保夫社長は「子供のころからあこがれだった高島屋に店を出せるとは。百貨店のお客さんにも来てもらえる」と喜ぶ。

　７〜９階を飲食街とするのが売り物で、運営する高島屋グループの東神開発（東京）がケイオスに依頼した。１２店が商業施設への出店が初めてといい「知る人ぞ知る」店がそろった。

　最上階のフランス料理店「リュミエール」は、「ミシュランガイド・京都大阪２０１０」に掲載された実力店。０６年、ケイオスの企画した若手料理人支援プロジェクトにより、神戸北野ホテル（神戸市）の統括シェフだった唐渡泰さんが独立して開業した。

　プロジェクトの第２弾として４月２２日に開業するのが、女性を主なターゲットにした「エルセラーン大阪」の地下レストラン街だ。独立開業を目指す料理人に事業計画を提出させ、実技試験も行った。合格すると、内装などの初期費用なしで開業できる。約２０店の中からイタリア料理店、オーストラリア料理店など４店を選んだ。

　ケイオスは、リクルートでビル事業を担当していた澤田充代表が９３年に設立した。オフィスビルの空室に飲食店を誘致した「淀屋橋ＷＥＳＴ」、高さ日本一の超高層マンション「ザ・キタハマ・タワー＆プラザ」の商業施設、ＪＲ東京駅前の新丸の内ビルディングの飲食街などを手がけた。社員はわずか１１人だが、三井不動産や三菱地所などが依頼主に名を連ねる。

　店探しのコツは、現場に足を運び、経営者の姿勢を見ること。大阪南部の飲食店１２店を集めた専門店街づくりでは、スタッフ８人が計４１３店を試食して回った。澤田代表は「この街にこんな店があれば、と常に考える。店では、メニューや内装ではなく、お客さんを見る。そうすれば伸びる店はわかる」と話している。