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yosukeによる 2010年02月20日 13時25分の掲載
Cpは昔のcassiopeiumと被るらしい部門より。

kai_swl 曰く

日本化学会メール通信にて配信された記事により知りましたが、2/19にIUPAC(International Union of Pure and Applied Chemistry)から112番元素の名称についてプレスリリースがあったと伝えられました。合成した研究機関であるドイツのGSI(重イオン研究所)からもプレスリリース(独語)されています。

  • 元素名:Copernicium
  • 元素記号:Cn

ドイツGSIの研究グループが1996年2月9日に発見した112番元素ウンウンビウム Uubは、昨年中にIUPACにより認定されていました。研究グループは、コペルニクスの業績を称える為に、Uubに対してCoperniciumと名付けるよう提案していました。この提案が認められ、今回、IUPACが名称の宣言を行いました。2月19日にUubの名称を宣言したのは、この日がコペルニクスの誕生日である為だそうです。粋なはからいですね。
プレスリリースによると研究者グループは「Cp」を提案していたそうですが、IUPACとの作業中に「Cn」に換えられました。残念ながら、日本語のカナ表記は後日発表されるそうです。日本化学会からの日本語の宣言を楽しみに待ちましょう。
さて、次(113番元素ウンウントリウム Uut)にくるのは、リケニウム?ニッポニウム?どんな名前になるのでしょう?
この分野、安定な大陸から遠く離れた、魔法数を満たすあたりにあるという安定な島(元素)を目指して、世界中の研究者が努力していると聞きます。原子核がラグビーボール状な形状を取ったりする可能性もあるとか。安定な超重元素には、いったいどんな物性を持つのか、そして、どんな世界をもたらしてくれるのか。楽しみですね。

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  • JかQ (スコア:3, 興味深い)

    wd-nara (25864) : 2010年02月20日 16時26分 (#1721376)
    アルファベット26文字のうち、JとQだけは、まだ、元素記号に使われていないんですよね。そろそろ、ほしいな。 JaponiumとかJordaniumとかQatariumとか。
    • 1個のコメント が現在のしきい値以下です。
  • 204504bySE (35220) : 2010年02月19日 21時17分 (#1721040) ホームページ 日記
    「モリタン」(Mt)という候補も挙げられていました。
    理研先任研究員の森田浩介氏にちなんでとのことです。
  • 初めてのたれ込みしちゃいます。
    すらっしゅどっとの正式開設前からアカウント持ってるので、10年目にして、初かも。

    • Re:ついでだから (スコア:2, 参考になる)

      aspenleafjp (36074) : 2010年02月20日 16時59分 (#1721389) ホームページ
      > 原子核がラグビーボール状な形状を取ったりする可能性もあるとか。

      変形領域の核で,ラグビーボール型やみかん型に変形しているものは多いですか,
      リンク先に書かれているのは,球形だと考えられていたものが,
      実は変形核だったという話ではないですか.
      二体力に基づく平均場計算では,色んな原子核の形状が出てきます.
      そこまで詳しい計算をしなくても,変形した原子核の集団運動は,
      単純なニルソン模型でも説明されていますね.
  • elderwand (34630) : 2010年02月21日 9時39分 (#1721632) 日記

    こういう仕事(新元素の発見/合成)は物理屋さんの仕事と思っていましたが、できた元素に名前をつけるのは、化学屋さんなんですね。

  • wd-nara (25864) : 2010年02月20日 16時13分 (#1721370)
    単に、un(1)-un(1)-bi(2)-um です。
  • phason (22006) : 2010年02月20日 17時02分 (#1721392) 日記

    ekaなんたらは,メンデレーエフが周期表を作った際に未発見だと予想した元素に暫定的につけたもの(*)で,最近はほぼ使わないと思う.

    *メンデレーエフが似た性質の元素が縦に来るようにして原子量順に周期的に並べた時(一部,縦での性質の類似性が良くなるよう前後の入れ替えあり.のちに陽子・中性子により核が構成されていることが発見され,原子量と原子番号の違いによる逆転の意味が明らかになる),三カ所に空席を作った方が縦での性質の一致が良くなるということに気づいたため,そういった空席にはきっと未発見の元素がいるんだろうと考え,ホウ素の一つ(eka)下の元素(eka-boron,後にSc),アルミニウムの一つ下の元素(eka-aluminum,後にGa),ケイ素の一つ下の元素(eka-silicon,後にGe)と仮の名前をつけた.ekaはサンスクリット語か何かで「1」を意味する語.
    Scは現在よく目にする長周期の周期表だとBの下ではないけれども,短周期表記の周期表で,かつBをIIIaに分類すると下がScになる.

    ウンウンなんちゃらなどは,別の人もかいてますが単なる数.ijk番元素をあい-じぇい-けいとそのまま読んでいるのと同じで,1,2,3,4…などをun,bi(昔は2はdiだったけど),tri,tetra…などと置き換えただけ.

  • 原子核は主に中性子と陽子から出来ているわけですが,これらの間には主にクーロン力と核力が働きます.
    クーロン力に関しては陽子-中性子間はほぼ無視できますが,陽子-陽子間には反発が働き,その総和は陽子の数をZとしたときにおよそZ^2に比例します(Z-1個の陽子から反発を受ける陽子が計Z個存在するため,和はほぼZ^2に比例する).
    一方,これら核子を結びつけている引力=核力は非常に近距離でのみ働く力なので,隣接する核子同士の間でしかほぼ働かず,その力の総和は中性子の数Nと陽子数Zの和に比例するぐらいになります.
    そうすると,原子番号Zの小さいときは核力が相対的に非常に強く原子核として一体にまとまっていられるものの,Zが大きくなるにつれて
    ・クーロン力による反発はZ^2で増えて
    ・核力による引力は(N+Z)^1で増える
    ために,大きなZになると反発力が勝って原子核としての構造を保てず分裂します.これが重い方の元素で不安定核が多い理由です.
    また,中性子が多すぎる核や少なすぎる核も不安定になる(ZとNがだいたい同じぐらいの数が安定.ただし重い核ほど,陽子間の反発を緩和するために中性子が多めに必要)ため,陽子数と中性数を二軸に取ったグラフを書くと,安定核は斜めに伸びる半島状(重い方は不安定核しかいないので途切れる)の領域にのみ存在することになります.(この部分が,安定な大陸)

    さてこれは簡略化した概要ですが,実は細かく見ていくと,核子の集合においても,「原子における電子軌道」における殻構造のように,ある決まった数の核子が集合したときに核子一個あたりの結合エネルギーが(相対的に)大きくなる,という量子論由来の性質があります.
    例えば原子では,電子が2個(1s軌道がちょうど埋まる)のHe,10個のNe(1s,2sと2pが埋まる),18個のAr(1s,2s+2p,3s+3pが埋まる)等々の希ガス配置の時に電子一つ当たりのエネルギーが低く反応性が下がります.
    同様に,原子核も核子の数がある値の時に(少しずれた周囲の原子に比べて)安定になることが予言され,その数はマジックナンバー/魔法数として例えば陽子の魔法数として2,8,20,28,50,82が予測され確認されています.また同様に中性子にも魔法数(2,8,20…)があり,陽子・中性子共に魔法数の場合(二重閉殻構造)はかなり安定な原子核となります.
    そうすると,不安定核の領域の中でも,陽子・中性子共に魔法数となる核とその周辺は比較的安定であることが予想され,その領域を「安定の島」等と呼びます(不安定な海にぽっかり浮かぶ小さな領域のため).この領域は,安定な「大陸」からかなり離れているため,一気にそこまで飛んで核を合成してやらなくてはいけないのでなかなか大変なようではあります.
    今のところターゲットは,Z=114,N=184や,Z=120,N=184あたりで,特に前者に関しては中性子の数が異なる同位体までは作成されており,中性子の数が184に近い方が崩壊までの時間が劇的に長いなど安定性が高く,安定の島に繋がる浅瀬が見えているのではないか,と言われています.

    またこういった安定の島を狙う研究とは別に,やたらと中性子が多い/少ない不安定核を作りまくってその性質を調べる研究もあります(エキゾチック核の研究).こういった不安定核の領域で核子がどうなるのかに関してはよくわかっていないところもあるため(原理・理論はわかっているが,方程式が厳密に解けないため完全な予測が出来ない),実験と理論の突き合わせなども積極的に行われています.

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