ニュース商店街がなぜつぶやくのか “Twitter商店街”の先駆け・高円寺ルックに聞く (2/2)2010年02月19日 17時35分 更新
生まれも育ちも商店街 Twitterで客がより身近に中澤さんの実家は、高円寺ルック商店街にある金物屋だった。80年前に祖父が始めた店で、父親が跡を継いだ。中澤さんが15歳のとき父親が亡くなってからは、母親が切り盛りしてきた。 中澤さんは「家業を継ぐことを拒否」してデザイン学校へ進学。一時実家を離れたが、1人で頑張る母親を助けようと、25歳で戻ってきた。だが景気が悪い上に、中澤さんが跡を継げば母親が店を手伝うことになり、いつまでも引退できないんじゃないか――こう考え、金物屋をたたむことを決心した。 金物屋があった建物は別のテナントに貸している。中澤さん自身はフリーのWebデザイナーとして、近隣の店のWebサイトを作ったり、プロモーションを支援。杉並区の商店街関係者が集まる「杉並区商店会連合会」では、講師としてネットの基礎知識やWebサイトの作り方などを教えている。 生まれも育ちも高円寺の中澤さんだが、@koenjilookを始めるまでは、商店街に来る客のイメージをつかめていなかったという。高円寺の外から訪れる客が多いことや、高円寺ルック商店街を熱心にひいきにしてくれる人がいることを、Twitterに取り組み始めてから実感するようになった。 「Twitterが楽しい」――中澤さんの笑顔が弾ける。@koenjilookは中澤さんが自発的に始めたことで「何の報酬もない」。Twitterで報告するために、高円寺の話題の店にわざわざ出掛けたりと、出費はむしろTwitterを始める前よりかさんでいる。 だが「Twitterは将来への投資。長い目で見たら大きな利益が得られるはず」と信じている。Twitter効果はまだそれほど見えていないが、フォロワーから反応があることがうれしいし、「高円寺の中で今までよりもルック商店街という存在を意識してもらえるようになってきたのではないか」と話す。 商店街のTwitter活用を広めた「ドットコム委員会」
新高円寺通商店街振興組合の副理事長で、婦人服店を営む大出吉一さん(左)は、@koenjilookのオフ会に差し入れを届けるなど、中澤さん(右)のTwitterでの取り組みを積極的に後押ししている1人だ
商店街のTwitter活用の例はほかにもあり、特に杉並区で盛んだ。 中澤さんが参加する杉並区商店会連合会では、商店街のネット利用を考える勉強会「ドットコム委員会」を2000年から毎月開催しており、@koenjilookの取り組みもすぐに共有した。「これはもう始めないとダメだから。帰ったらすぐにやってみて! 高円寺ルック商店街だけやっても盛り上がらない」と、中澤さんがTwitterを猛プッシュしたという。 中澤さんのすすめを受け、教会通り商店街や阿佐谷すずらん通り商店街など、複数の商店街がTwitterを開始。教会通りでは一部店舗が各自でアカウントを取得。店内の様子を伝えたり、パン屋がパンの焼き上がりを写真入りでツイートするといった取り組みも始まっている。「Twitterは地域との相性が抜群にいい。チラシは準備に時間がかかる。今を伝えるにはTwitterが最適だ」 中澤さんは今、高円寺ルック商店街のすべての店舗が@koenjilookにつぶやきを投稿できるシステムの開発を、外部と協力して進めている。新高円寺通商店街振興組合の理事は60〜70代が多く、PCをほとんど使ったことがない人もいるため、携帯電話などを使って、「孫とメールしているような感覚で簡単に情報発信できるようにする」ことが目標だ。 今後は、高円寺に関するつぶやきをまとめて見られるサイト「高円寺なう」や、高円寺のお店を紹介するサイト「となりのおみせ[高円寺]」など外部サイトと@koenjilookを連携させることも計画している。 関連記事
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