― 国会で説明している総理や大臣でさえ、実は最終決定に関わっていなくて、舞台裏ですべてを決めているのは小沢幹事長なのではないか。二重権力構造になっているという批判が根強いですが?
原口 それは一人の存在を過大評価しています。私は学生時代、演劇の演出をやっていたのですが、自分の言葉で話せない人を舞台に上げることはできなかった。同じように、自分で決定に関わった人でなければ、答弁などできませんよ。
私たち民主党政権の大臣たちは、ほとんどノーペーパーで答弁しています。何も決められないお飾りの大臣などいません。 なにかとてつもなく大きな権力があって、それが小沢さんだというのは、いかにも古い自民党型の体質に当てはめた見方です。この民主党は私たちがつくってきた党なんです。
新進党がなくなってバラバラになったとき、前原(誠司・国交相)さん、枝野(幸男・行政刷新担当相)さん、そして私のような、歯を食いしばって二大政党制を目指した仲間たちが新しい民主党をつくった。私たちこそがオリジナル民主党であって、そこに「改心」した小沢さんが後から入ってきてパワーアップしたんです(笑)。
枝野入閣は吉か凶か
― 反小沢の姿勢が鮮明な枝野氏が行政刷新担当相に起用されましたが、これで党と内閣にまた不協和音の火種ができたという受け止め方もあるようです。この人事をどう見ますか。
原口 最高の人事ですね。枝野さんは、親友中の親友だし、枝野さんと一緒に民主党を作ってきたという自負がある。彼が入らない内閣は、真の民主党内閣じゃないと思っていたくらいですから、本当に嬉しい。でもせっかくの人事が、小沢さんとの関係で報じられるのは気の毒です。とにかく頑張ってほしい。
― 小沢幹事長は枝野さんの入閣をよく認めましたね。
原口 小沢さんが認めるとか認めないとかじゃなくて、党内で最も能力があって、民主党をゼロから支えてきた人間を起用するのは当然ですよ。
― 世論調査によれば7割の国民が小沢氏に幹事長辞任を求めていますが、この政局、そして民主党の今後をどう展望しますか。
原口 私たちのリーダーは常に撃墜されてきました。顕著な例が菅さんです。'04年に年金未納問題で党代表を辞任されましたが、本当に申し訳ないことをしました。
というのも当時、私たちは年金の制度改革を最重要課題としていました。それなのにトップが年金未納だったのでは話にならないと思ってしまったのですが、後に、未納は行政側の不手際だったとわかる。菅さんは辞める必要などなかったわけです。
これは大きな教訓となりました。真実は時間が経たなければわからない。一致団結して変革しなければいけないのに、いちいち私たちが揺れていては変革など実現できないのだということを学習したのです。
今後、気をつけなければならないのは、政権をとったことによって民主党がピラミッド型にならないようにすることです。ピラミッド型のヒエラルキーを形成すると、新しい人が入ってこられなくなってしまいます。
とにかく民主党はフラットで風通しのいい組織でなければなりません。
― それにしても、原口大臣のように間近で見る小沢像と、世間が受け止めている小沢像には、相当の違いがありそうですね。
原口 かなり違うと思いますね。でも、私もあまり近づきすぎないようにしているんです。カリスマに魅入られるのは恐いことですから(笑)。
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