― 「生みの親」とはどういうことですか。
原口 私は1996年の総選挙に、小沢一郎党首率いる新進党から出馬して初当選したんです。そして、その後、小沢党首の補佐役も務めていました。ところがその親が、ある日突然、我が家である新進党をぶち壊して出て行ってしまう。
そしてその後、小沢さんは自由党時代に自自連立、自自公連立を組むわけです。それ以来、ずーっと私は反小沢です。そんな連立はとんでもない野合だ、政治的に死んでほしいとさえ思っていました。
― 死んでほしいとは、なかなか激しいですね。
原口 もちろん、あくまでも政治的に、ですよ。なにしろ、'97年の年末にハウステンボスで子どもと遊んでいたら「殿ご乱心で党を潰すと言っている。大至急上京しろ」という緊急連絡が来た。大あわてで東京に戻ったんですが、時すでに遅く、党は潰れていました。
『ホームレス中学生』の父親がある日、「解散!」と言って家族がバラバラになりますが、まったくそれと同じ状況でした。
― ひどい親ですね。
原口 それでもある日、和解のときが訪れます。小沢さんは、自民党との連立はおかしいと反省し、やはり二大政党制を目指そうと総括したんです。そして、民主党との合併を決断するわけです。ですから今は、死んでほしいという思いはなくなりました。
― 原口大臣にそう思わせる、小沢幹事長の魅力とはどんな部分ですか。
原口 チャーミングな人ですよ、小沢さんは。以前から言っているんですが、暗い菅(直人・副総理兼財務相)さんが小沢さんで、小沢さんを明るくすると菅さんになる(笑)。お二人からは、一緒にするなと怒られましたが、実はよく似ているんですよ。どちらも大きな変革をしようという思いが共通なんです。
― 小沢幹事長がチャーミング?
原口 ナイーブで、義理堅くて、他人を大切にしようという思いの強い人ですよ。こういう本来の姿を見せればいいと思うのですが、どうしても政治の衣を被って、相手を突き放してしまう。たとえば、かつて私が政治的に死んでほしいと思っていた当時の小沢さんは、警戒音というか、「自分に近づくな」という"気"を出しているように感じました。
― 一種のオーラですね。
原口 そう、「近づくなオーラ」です。しかし、自分と自分のチームを信じる人でなければ変革者にはなれません。辛くなったら周りの人を切るというのが変革者であるはずがない。
でも、小沢さんは変わりましたよ。現在の小沢さんからは警戒音を感じることはありません。よく笑うようにもなりました。人を包み込むような、本来の優しい面が出てきたように思います。急にニコニコされて戸惑っている人もいるみたいですが(笑)。
― でも、小沢チルドレンには言論の自由がないようにも聞こえてきますが。
原口 そんなことありません。リーダーの役目は人材を100%活かすことです。若手には優秀な人材がたくさんいる。彼らには政策、国会論戦、議員立法も自由にやらせていますよ。
― 議員立法は党から厳しく制限されているんじゃないですか。
原口 そんなことありません。私に言ってくれれば、自由にできるんです。もちろん党には一言断りますが、大臣がOKすればできるんです。
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